エンタングル(逆ハー,3年Z組:第7話) | 空のブログ[銀小説]

エンタングル(逆ハー,3年Z組:第7話)

第6話 の続きになります!!いや、なんかもう長篇書くのも大変になってきたので

10話くらいで切り上げたい気持ちがこみ上がってきております(ちゃんとやれwww

10話はもしかしたら(というか確実)すぎるかと思うのですが、なるべく短く行きますッでは、どうぞ


肩で息をして、乱れた呼吸を少しずつ整えていく

沖田も、静かに息をしながらあたしのことを見ていた


「なんで、嘘ついたの?」

「なにがでィ」

「家が近くって」


前に、家はすぐ近くだから、と送ってもらったことがあったが、十四郎の話ではここからチャリで20分くらいだそうだ

沖田は少し居心地が悪そうな顔をしてあたしから視線をそらした

数秒の沈黙の後、やっと彼が口を開く


「家が近所の方が、アンタを家に送る都合ができるだろィ」

「送って、なんて頼んだ覚えない」


あの日は沖田が傘を忘れたから一緒に入れてあげただけで・・・

送ってなんて一言も告げた覚えはなかった

沖田はなぜかそこでため息をつくとあたしの手首をつかんだ


「いたいッ」

「んな、強くつかんでねぇだろ」


掴まれた手首を引っ張られ、数歩沖田の方へ近づいた

腕を回せば、抱きつくことができるくらいの距離だ


「じゃぁ、アンタはなんて俺のこと追いかけて来たんでィ」

「なんで・・・?」

「あのまま土方さんと家にいりゃ、元サヤにもどれたかもしんねぇってのに」


あたしととらえた沖田の視線が、とても鋭い

まるであたしの身体まで射ぬいてしまいそうなその目線から、逃げることができず沖田のことをみつめる

また少し沈黙が続いてから、あたしは沖田の問いかけに答えるため口を開く


「知りたいから」

「はぁ?」

「なんで沖田が嘘ついたのかも、なんでうちにきたのかも、なんであたしにそんなに構うのかも・・・。全部知りたいから」


それだけ言って、あたしは沖田の手を振り払い3歩後ろに下がった

沖田は少しだけ目を見開き、あたしのことを数秒見てから吹きだして笑った


「アンタ、やっぱ面白れェ奴でィ」

「な、何よ!その反応ッ」

「そこは『沖田のことが好きだから』くらいのこと、言えねェんですかィ?」

「なんであたしがアンタのこと・・・」


沖田は鼻でフンと笑ってからあたしの頬を鷲掴みにするようにガシッと掴んできた

彼の手の力と、いきなりのその行動に一瞬恐怖に襲われた


「気ィつけなせェ。男ってのは気のあるそぶりされると勘違いする生き物でィ」

「は?」

「土方より俺のが有利な立場に立ってるかと思ってやしたが、そうでもねぇみてぇですねィ」


沖田はそう言うとあたしから手を離し、そのまま振り返って歩き出してしまった

彼の名前を言って、呼びとめたが沖田は止まることなく歩いて行ってしまう


「沖田!」

「アンタ、月曜の放課後暇ですかィ?」

「・・・・ひまだけど」

「じゃぁ、あけときなせェ」


あたしの呼び掛けには応答しなかったがその会話をすると、ちょっと振り返ってあたしに顔を見せた

横顔に日の光を浴びて、眩しくてちょっと目を細めた

ヒラヒラと後ろ向きであたしの方に手を振るので見えないと分かっていながら手を振った

いきなり押しかけていきなり帰って・・・・本当に迷惑な奴・・・・

そう思いながらもなぜかちょっと笑ってしまった


―・・・


あの後家に帰ると十四郎からの置き手紙が置いてあった


『邪魔したな。今日は悪かった』


それだけ綺麗な字で書かれた、小さな紙切れが机の上に合った

すぐ十四郎にメールを入れると、1時間くらいしてから帰ってきた

そこから30分ほどメールでやり取りをしたが、特に進展はなく終わってしまった


「はぁ・・・。なんか疲れた」

「どうしたネ?」

「んーん、なんでもないよ」


あっという間に月曜日になり、あたしは土曜日のことでどっと疲れがたまっていた

ため息をつけば、酢昆布をかじる神楽がこちらに視線を向けて声をかけてくれた


(あ・・・十四郎)


神楽と廊下の壁に寄りかかっていると、向こうから十四郎が歩いてくるのが見えた

ついつい彼を目で追ってしまうのはきっと片思いしていた頃からの癖なんだろう

あと少しと言うことで十四郎もこちらの存在に気付きあたしと視線が絡んだ


「おはよう」

「はよ」


たったそれだけの短い挨拶

昨日はあんなに近い距離にまで近づいたのになぁ・・・・

またため息が出るとパコンと頭を叩かれ、下に下げていた頭を上にあげた


「朝から心気臭ェため息はいてんじゃねぇやィ」

「痛いんですけど」


沖田はあたしの頭にぶつけてきた、ペットボトルのキャップを開けて中身に口をつけた

中身の飲み物は半分ほど減っていた


「それより今日の放課後」

「分かってるって。あけとくよ」


放課後何があるのか知らないが、とりあえず付き合ってほしいことは分かっている

流すようにはいはい、と返事をすれば沖田はあたしたちの前から立ち去った


「お前今度はサドと付き合ったアルか?」

「違うよ!最近なんか一緒にいること多いだけ」

「ふうん。でもやたらと一緒にいるアルな。アイツと」

「うん・・・。確かに一緒にいるかもね、ここ最近は」


気がつけば十四郎と別れてから沖田と接する機会が多かった気がする

丁度十四郎と別れて心がおれかけていたこともあってか、沖田に寄りかかってしまった部分もあるだろう


「放課後どこ行くネ?デートアルか?」

「そんなんじゃないよ。きっと雑用手伝って、とかそんなんじゃん?」


笑いながら神楽に返すと、予鈴のチャイムが鳴り二人で教室へと入った


―・・・


「そんでねー、あたしそれからあの映画はまっちゃってさぁ」

「んな面白くなっかたろィ。あれ」

「そんなことないよ。ストーリーもよかったし・・・・」


(・・・・ってか、これデートじゃん)


場所は変わって駅ビルでウィンドウショッピング中

となりはゲーセンでガチャガチャピコピコと愉快な音がこちらに響いてきている


「てか沖田さ、今日用事があってあたしを誘ったんじゃないの?」

「だからこうしてデートしてるだろィ」

「・・・・あ、そうか」


やっぱり、遊びに誘ってくれたんだ・・・・

まさか沖田とこうやってデートするなんて思っても見なくてさっきまで平気だったのにいきなり緊張してきてしまった

会話が途切れるのがなぜか怖くなり、そういえばさ、と明るい口調で彼に話しかけた


「小腹空かない?ここさ、上にクレープ屋さんあるじゃん?それか近くのファミレスでもいいけど・・・・。ちょっとつまむ程度ならくれーぷでもいいかなって。てか、沖田って甘いもの大丈夫な感じ?」


そう問いかけ彼の方を向くとあたしの隣に沖田はいなくて、ゲーセンのUFOキャッチャーに小銭を投入しているとこだった

人がせっかく気を使って話しかけてやったのに、と口角が引きつりながら沖田の方に歩み寄った


「なにとってんのよ」


ため息交じりに聞けば、いきなりポンとこちらにぬいぐるみが投げられ反射的にそれを受け取った

それは、さっき話していたあたしが好きな映画のキャラクターのぬいぐるみだった


「やる」

「え、いいの?」

「やるって言ってんだから、一回で受け取りなせェ」


あたしは沖田とぬいぐるみの顔を2,3度交互に見てからぬいぐるみをぎゅうと抱きしめた


「ありがとう!大事にする」


そのぬいぐるみの顔をちょっと見つめてから、ねぇ、と沖田の方を向くと顔がそっぽ向いていた

あたしは近寄って彼の肩にポンと手を置く


「ねぇ、どうしたの?」

「ちょ、見んなよ!」

「え?なに?どうし・・・」


肩をぐっと引っ張り沖田の顔を見ると耳まで赤くなってしまっていた

その表情を見た瞬間、ドキンと心が大きく飛び跳ね、沖田との間に距離をとった

沖田はYシャツをパタパタと仰ぐようなしぐさをして、自分の体温を下げているようだ

チラチラと見える首筋から鎖骨のラインが、とても色っぽい


「沖田、あの・・・」

「アンタといると、ホント調子がくるいまさァ」

「・・・ごめん」


何がごめんなのか分からないが、反射的に口から軽い謝罪が飛び出した

沖田はやっとあたしの方に顔を向け、開いている距離を縮めようとあたしの方に歩み寄った

それから、ぬいぐるみを抱いているあたしの手を握った


「アンタ、俺と付き合いやせん?」


(・・・・え?)


ゲームセンターの音が、いきなり耳から入らなくなり、沖田の声だけがはっきりと聞こえた

心臓はここ最近の中で大きく、大きく鼓動を揺らしていた。





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