空のブログ[銀小説] -5ページ目

まゆゆさん誕生日小説(坂田銀時)

皆様こんにちは^^最近コメントもちょろちょろいただけてとても幸せです><

そして長い間更新しなかった間に『いいね』機能なんてついたんですね・・・

いいねもたくさんいただけてもう感激で涙出そうです!ありがとうございますッ

では、今日はまゆゆさんに誕生日小説送りますッ!どうぞ


布団の中が自分の体温で熱気がたまり、あまりの蒸し暑さに起き上がった


「んー・・・」


ちょっと伸びをすればさっきまでのだるさがなくなっていた

寝汗をかいておでこに張り付いていた髪の毛を手で直し、隣の空っぽの布団を見た


(銀時、もう起きてるんだ)


昨日の朝に身体のだるさと、頭痛、そして寒気を銀時にうったえた


『こりゃ風邪だな』


あたしのおでこに手を当てながら心配そうにそう言ってきた

それは分かる、いつもならそう言うだろうがあまりの身体の不調さにそんな突っ込みはどうでもよくなった


『病院いくか』

『いい。さっき市販の薬飲んだし、寝れば治る』

『こんな顔色悪そうにして、ほっとけるわけねぇだろ』


診察券と保険証を持ってあたしの意見には耳を傾けることなく病院へ行くことになった

歩くことさえもだるかったあたしは、いい、と弱弱しく言うばかり

それでも、銀時はあたしのことをおんぶして下へ降り、それからタクシーまで拾って病院に連れて行ってくれた


『さすがに病人を原チャリ使って、向かい風に晒すわけにもいかねぇしな』


後から原チャリを使わない理由を聞いたところそんな返事をもらった

おんぶされたときも、タクシーの中で寄りかかっているときも、ずっと銀時のにおいを肺に送っていた

体温が上昇して早くなる鼓動が、彼のにおいや体温でまた早くなるばかりだった

それからクスリをもらって、銀時に看病してもらって、1日以上寝ていたあたしはもう元気そのものだ


(もう夜の7時なんだ・・・・。汗かいたしお風呂入りたいな・・・・)


汗を吸って湿っぽくなっている寝巻をパタパタと仰いで涼しい風を身体に送る

高まっていた身体の温度を徐々に徐々に冷やしてくれる


「起きて大丈夫なのか?」


寝室の襖が開き、そこから銀時が顔をのぞかせた

様子を見に来たらしく、あたしが起きていたため少し心配そうだ


「ん、もう平気だよ」

「ホントか?」

「ホントだよー」


銀時はあたしのほうに近づき、すぐそこに座ると顔を近づけてきた

これはおでことおでこで熱を測るあれですね、とあたしはゆっくり目を閉じた

そうすれば、案の定銀時はおでこ同士をコツンと合わせてくる

少しだけ目を開けてみれば、目と鼻の先に銀時の顔があって、トクンと胸の奥で何かがなる


「ん、もう大丈夫そうだな」

「うん」


銀時はあたしの顔をみて頬の辺りに手をそえてきた

うっすらとにじんだ汗でくっついていた髪の毛を優しく撫でるように剥がしてくれる


「汗かいたな。風呂入るか?」

「熱も下がったし、入りたいな」

「よし、じゃ溜めて来てやるよ」


スッと立ちあがって言ってしまう銀時の着物を、待って、とキュッと握った

予想外の行動だったのか、銀時はちょっと目を大きくして振り返った


「どうした?」

「あの、いろいろありがとう」


病院に連れてってくれて、看病してくれて、心配してくれて、ありがとう

いろんな意味を込めて言えば、口元をゆがませた彼がまた顔を近づけてきた


「どーいたしまして」


言い終わればチュッとキスを交わす

風邪の間しなかっただけなのに、なんだか久しぶりのキスだった


―・・・


「いい!一人で入る!」

「病み上がりがんなこと言うんじゃないの!もー、ホントにアンタは」

「どこのお母さんよ!」


脱衣所でぐいぐい半裸状態の銀時の背中を押して廊下へと押し出す

風呂たまったぞ、と言うので脱衣所に来れば上半身裸になっている銀時の姿が目に入ってきた


「何やってんのよ」

「なにって、一緒に入るんだよ」

「なんでよ」


当然のように言う銀時にきりっと厳しい視線を向けるが、彼はケロッとした感じで返事をする


「オメ、病み上がりが一人で風呂はいっちゃいけねーってしらねーの?」

「知らない!てか、そんな教えないから!」


それから今に至るのだが、断固として銀時は一緒に入るらしい

というか、入りたいらしい


「いーじぇねーかよ。最近そっちの方もよろしくやってねぇじゃん」

「なにがよろしくよ」

「なんだよ、倦怠期かよ」

「別に倦怠期なんかじゃないけど」


でもダメ、と強く言えば彼は目がしらに指を当てて頭を下げた


「俺はさ、ただまゆが心配なだけなのによ。まゆは俺のこと嫌いなのか」


わざとらしく重たいため息まで疲れ、こっちまでつられてため息が出た


「分かった。一緒に入ろう」

「よっしゃ。そうこなくっちゃな」


先ほどまでの態度はどこかへ行き、ケロッとした表情で彼は風呂場へと入って行った


「寒いから早く来いよ」


風呂場から聞こえてきた声に、わかってる、と返事を返す

汗を吸っている寝巻は若干重く、ヒンヤリとしていた

久しぶりに一緒に入るお風呂にドキドキとしながらドアを開ければ、白い湯気がこちら側へ逃げ込むように流れてきた


「身体洗ってやろうか?」

「いい」


すっぱりと断れば、つめてェな、と不満げな声が返ってきた

身体をざっと洗いながらそう言えば、と気になっていたことを切り出した


「神楽ちゃんは?みないけど」

「新八んとこ。風邪うつったらまゆが気にするだろうからってあいつんとこ泊まらせてる」

「今日も?」

「あぁ。お妙がいるから楽しいんじゃねェの?」


ちょっと迷惑かけちゃったな、なんて思いながら身体のあわを流し銀時が入っている湯船の中にあたしも使った

お湯が湯船からながれ、そのお湯の流れに乗って洗面器が船のようにゆらゆらと動いた

モクモクと舞い上がった湯気は天井にぶつかってから行き場を求め、それから換気扇の流れに乗って外へと出ていく


「んー、気持ちいい」


手ですくって肩にお湯をかければ、銀時があたしの方に腕を伸ばす


「こっちこいよ」

「ん?」


彼の足の間に身体がすっぽり入りまるで抱っこされているようだった

だが、浴槽がせまいのでちょっとだけ窮屈かもしれない

だけどその窮屈さがまた心地よかったりする


「お前、肌白いな」

「そう?」


銀時は背中をなぞるように指をすーっと這わせてきた

くすぐったい感覚にぞくぞくと鳥肌が立つ


「ちょっと、くすぐったい」

「感じた?」

「んなわけないでしょ」


なんだよ、と不貞腐れながらあたしの背中に顔をつける

ギュッと抱きしめられる格好に、思わず胸の奥がドキドキとうるさくなる


「お前ドクドク言い過ぎ」

「だって・・・」


銀時は肩のあたりに唇をつけ、ちゅっとリップ音を立てて離した

それからまた唇をつけて愛しさを感じさせながら何度も何度もキスを繰り返す

生肌から感じられる銀時のぬくもりと、柔らかい彼のキス

たまに首筋にもチュッとキスをするのでそれもまたくすぐったくて愛おしい


「やべ、すげー好きだわ」


首筋に顔をうずめながらそんなこと言われた

こっちまですごくすごく好きになってしまう

あたしを抱きしめる銀時腕がギュッと強くなって、またどきんと脈が強く動く


「ちょっ・・・やめ・・・」


耳にまで口を近づけ、耳たぶを優しく甘噛みされた

銀時は面白がって耳元でかすれた声で呟く


「なんで?」

「くすぐったい・・・から」

「ふーん?」


それだけ聞いてまだやめようとしない

わざとらしくリップ音を鳴らしながら、あたしの耳に唇を這わす

そしてお腹にあった腕が徐々に徐々に上にきて、思わず口から吐息がもれてしまったのだった


―・・・


目覚めれば朝日が障子の間から入り込んできて少し眩しかった

隣をみると、いつもと変わらずグーグーと寝ている銀時がいた

あたしはその寝顔があまりにも可愛くて、くるくるの猫っ毛をわしゃわしゃと撫でた


「やばい。すごい好きだな・・・」


幸せをかみしめながら自然と出てきた、あたしの本音

そこでうっすらと目を開けた銀時は寝ぼけながらあたしの手を探した

キュッと握ってあげると、ちょっと笑ってまた眠りについた

あたし起きたいんだけど、なんて言う言葉は呑み込んで手を離さず寝っ転がった

風邪をひいて寝ていた時には、天井がとても寂しく見えた

だけど今は、いつもと変わらないいつもの万事屋の天井だった

隣に銀時がいると、すべてが色ずいて見える、そんな気がした。





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百杏さん誕生日小説(沖田総悟:3年Z組)

皆様こんにちは!頑張って定期的に更新しようと頑張ってる空ですwww

今回は遅れながら誕生日だった百杏さんに送ります!

確か百杏さんは総悟が好きだったような・・・・。何ヶ月もたってるので記憶があやふや!!

間違ってたらごめんなさい><そして4月から進学したということなので学校ものでいきます^^どうぞ


桜がひらひらと舞い散る4月の始め

何度も何度も鏡の前でチェックした制服に、アイロンでちょっと苦戦した髪型

そしてナチュラルさを意識して時間がかかってしまった化粧

全部全部今日の高校デビューのため


(うわー、緊張)


中学からの知り合いはほとんど、と言うか全くいない銀魂高校

距離的に遠いわけでも、悪いうわさがあるわけでもない

が、仲のいい子とはみんな離れてしまい、一人で知らぬ地へと足を踏み込む

クラス表が貼り出されており、他の子は同じ中学の友達と手を握りながら見ている

また同じクラスだぁ、なんて明るい声があたしの横を通り過ぎていった


「やっぱりみんなと同じ高校受ければよかったかな」


今になってそんな弱音が出てくる


(ううん、まだ1日目だもん。そんなこと言ってられない)


貼り出されていたクラス表を人込みの中から覗き込み、自分のクラスへと向かった

ざわざわとしている教室内に緊張の2文字を背負って入って行った

自分の席を探し、イスに座った途端なぜだか息をふーっと吐いてしまった


「ねー、どこ中?」


席に着くなり隣の子に話しかけられた

ちょっと緊張しながら返せば、その子も自分の出身中学を明かしてくれた


「隣の席なの。よろしくね」

「うん、よろしく」


さっきまでは不安でいっぱいだったけど、なんだかんだなるようになるな

そこ子と部活はなにやってた?なんて話で盛り上がっていると廊下から誰かが誰かを呼ぶ声

その声に反応して、ごめん、とその子が小さく謝ってくる


「友達なんだ、中学からの。ちょっと行ってくるね」

「あ、うん」


二言で返事をすれば小走りで友達の元へかけていった

そんな風景をみながら中学時代を思い出してしまった

少ししんみりしていると、バン、と隣で大きな音がしてビクリと肩を震わせた

反射的に頭をそっちに向ければ栗色の髪の男の子が席に座っていた

先ほどの大きな音は少し乱暴に鞄を机に置いた音のようだった


(かっこいい人)


目はくりくりと丸くて大きく、鼻筋も通っていて、顔立ちがとても整っている

じっとその人をみているとあたしの視線がうっとおしかったのかジロッとこっちに目を向けた


「なんでィ、人の顔そんなじろじろ見て」

「あ、ごめん」


見過ぎた、そう反省しながら視線をそむけた

一呼吸おいてからまたその人に顔を向けた


「あたし隣の席の」

「ちょっとシャーペン貸してくれやす?」


あたしの自己紹介をさえぎられ、勝手にあたしの筆箱の中をあさる


「いいけど・・・。忘れたの?」

「重いから持ってきてねェだけでィ」

「どっちにしてもないんじゃない」


勝手に筆箱の中からシャーペンと消しゴムと取り出し自分の机に置いた


「消しゴムは一個しかないから返してよ。あたしも使うんだから」

「俺の机に置いとくから、使いたいときとればいいだろィ」


なんちゅー自己中な・・・・

この人関わるとロクなことなさそうだなぁ

そんな第一印象が心の中で渦巻く、そんな彼との初対面だった


―・・・


「―で、ここにこの数字を代入すると・・・」


本格的に授業が始まったのは入学して3日目くらいだった

1日目は特に何もなく入学式やら配り物やらを配っておしまい

2日目は係だの委員だのを決めたり、少し授業もあったがこれからの授業の進め方などを話されるくらいで、教科書の中身をしっかりとはやらなかった

真っ白だったノートに1文字ずつ文字が加わっていく


(あ、間違えちゃった・・・・)


チラッと沖田くんの席をのぞいてみた

消しゴムを取られてしまったため、彼の机から消しゴムをとるようだ

ちょっと気まずいって言うか・・・・うん、気まずい


(でも早くしないと授業進んじゃうし)


小さな緊張をしながら彼の机に手を伸ばした

彼はボーっと黒板をみているだけで、特に授業を受けている様子はなかった


(ノート書かないなら消しゴム返してよね)


無事消しゴムが取れたのでノートの文字を消し、また彼の机へ戻そうと手を伸ばす

すると沖田くんの手がこちらへ伸びて来て、あたしの手をつかむ

思ってもみなかった展開に消しゴムをボトリと床へ落としてしまった


「なにやってんでィ」

「な、なにって」


小声で話しながら沖田くんが消しゴムを拾う


「俺も使うんだからさっさと返しなせェ」

「あ、あぁ。ごめん」


なんだ、手を握ってきたんじゃなくて消しゴムをもらおうとしてたんだ

自分の過剰反応さに恥ずかしくなるくらいだ


(消しゴム新しいの買おう・・・・)


そう決心したのはその出来事からそんなに遅くない時だった


―・・・


教室の角の席で次の授業の教科書を準備した

入学してから1ヶ月以上たって、ついこの間席替えをしたばかり

運がよく一番後ろの角の席で、しかも窓際から日当たりが良い

最近はちょっと余裕が出てきたので午後は居眠りをしてしまう始末だ


「おーい、百杏。次の授業教科書みしてくれ」


ただ隣の席は偶然にもまた沖田くんの隣になってしまった


「やだよ。沖田くん教科書忘れすぎ」

「良いだろィ。重いんでさァ」

「学校においていけばいいのに・・・」


仕方ないな、と机を少し沖田くんのほうに近づけた

最近、と言うか入学してからほぼ沖田くんに物を貸したり、教科書を一緒にみたりしている

この間なんか自販機までジュースを買ってこようとしたら


「あ、ついでに俺の分も買ってこい」


とパシリにまでされたくらいだ


(ホント人づかいあらい)


不満を心の中でぶつけながら、iPodのイヤフォンを耳にさした

だが、片耳のイヤフォンをするっと沖田くんに取られ、彼はそれを自分の耳につけた


「あんた意外といろんな曲聞いてんですねィ」

「何勝手にいじってるのよ」


勝手に選曲して音楽を流し、彼は自分の席に座って落ち着いてしまった

あたしはと言うと、イヤフォンをして近づいてる距離に落ち着きがなくなってしまう


(近い・・・・)


すぐ近くに彼の顔があって、あと1,2歩近付けば肩と肩が触れ合う

ジッと沖田くんの顔をみていると、視線をこちらにずらしてきた沖田くんと目と目が合う


「んな見つめて、見惚れちまったかィ?」

「ち、違うよ!」


赤くなりながら言っても説得力がない

そうだよ、あたしアンタに惚れてんだよ・・・


―・・・


ぞろぞろとみんなが昇降口に向かう今は下校の時間

あたしも下駄箱へと向かいながらすれ違う友人たちに手を振った

昇降口をでて校門をくぐろうとした時にあ、っと大事なことを思い出した


「お弁当箱机にぶら下げっぱなしだ」


お弁当箱を小さなカバンに入れて来ているあたしは、それを机のわきのフックにかけている

今両手が手ぶらなのをみてはー、とため息をついた

今日は金曜日

土日とお弁当箱を学校においておくのはまずい

クルッと方向転換をして教室へと戻っていった

自分の足音と校庭から聞こえてくる野球部の声

生徒はほとんど帰ったようで数名しか残っていない

自分の教室の前につき、ドアを開けようとすると男子の声が聞こえてくる


「総悟、クラスはどうだ?」

「あー、まぁまぁでさァ。土方さんがいねぇから、ヒマつぶす道具がありやせんけど」

「誰が道具だ」


(沖田くん?)


聞き覚えのある声は沖田くんと、彼と仲のいい他のクラスの近藤くんと土方くんだった

よく3人で休み時間に歩いているのを見たことがある

やっぱり仲いいだな、なんて思いながらドアを開けようとしたが、会話を聞いていてその手が止まった


「あ、でも一人だけ丁度いいやつがいるんでさァ。隣の席の女でねィ」

「この間言ってた子か?」

「あぁ。なんでも言うこと聞くし、なかなかおもしれェ奴でィ」

「お前の隣になるなんざ、その女も気の毒だな」


(なんだ・・・・。そんな風に思われてたんだ)


最近は休み時間とかいっぱい話してたんだけどなぁ・・・・

両想いなのかな、なんて馬鹿な考え、しなければよかった

何でも言うこと聞く扱いやすい奴、なんて思われてたんだ

ぼやっとかすむ視界に、口から出る重いため息

ギュッと唇を噛んでドアを強く開けた

3人がこっちに視線を向け、あたしは彼らを無視してお弁当を手に取る

全員が黙り込み、沈黙の中あたしは沖田くんへと視線を向けた


「もう、教科書は逆隣の子に見してもらって。それから・・・・」

「・・・・」


一呼吸おけば、その時間がとても長く感じ、秒針が動く音もとても遅く感じた

目に溜まっていく涙をみられないようにと、逃げるように彼らから離れながら捨て台詞のように言い放った


「もう話しかけてこないで!!」


逃げるように教室から出ていけば後ろから追いかけてくる足音がする

あたしの足の長さと、彼の足の長さではあたしの方が不利だ

すぐに捕まってしまい、どこかわからない教室へと連れ込まれた

息切れしながらぼろぼろ涙があふれ出して、とても情けない


「なによ、追いかけてきたりして・・・・。罪悪感とか、同情とか、いらないから」

「俺がそんなの感じるやつだと思ってんですかィ?」


なによ、その返し方・・・・、なんて意味を込めてジッと彼を睨む


「さっきの聞いてたのかィ」

「聞いてたわよ、悪い?人を、召使いとしか思ってなかったアンタに悪いなんて思われたくない」


もうひどい言葉しか出てこなくて、こんなとき素直になれない自分が嫌になる

視線を床に落とし、涙でかすむ視界で床の木目を見つめた


「アンタ、俺に惚れてんだろィ」

「は、はぁ?自意識過剰も大概にしなよ。なんであたしが」

「じゃぁ、なんで泣いてるんでィ」


痛い指摘に言葉も出ない


(あーもー、恥ずかしい・・・・。死んじゃいたい)


召使いと思っていた女に告白されたって、きっと笑いものにされる

最悪、なんて思いながらかすれた声で、そうだよ、と呟く


「そうだよ。アンタのこと、好きだよ。でも・・・沖田くんはあたしのこと召使いって思ってて、どうせ嬉しくなんてないでしょ」

「誰がいつ召使いなんて言ったんでィ」

「だってさっき・・・」


そこで言いかけた言葉が詰まった

ぎゅうっと抱きしめられてて、漫画みたいなシチュエーションに思わず息が止まりそうになった


「最初は、からかうつもりでアンタの周りにいて」

「・・・・うん」

「でも、馬鹿正直に俺の世話するアンタが面白くて・・・・」

「面白くて?」

「惹かれたんでさァ」


そこでお互い沈黙になって、さっきよりも1分1秒が長い

お互いちょっと身体を離すと、今までよりもずっとずっと近い距離に総悟の顔がある

今になってこんなにも二重がきっちりしてたんだと気づく

あたしは沖田くんの制服をキュッとつかんで身を乗り出して聞く


「・・・・で?」

「なんでィ。『で?』って・・・」

「惹かれて、何?」


どうしてもその先がききたくて、わざとらしくも問いただす

彼はやれやれといった表情で、小さく息を吐いてから口を動かした


「好きでさァ」


―・・・


高校生で3度目の春がやってきて、クラス表を見てから彼の元へとかけていった


「総悟!同じクラスッ!」

「知ってらァ。どかどか走んな」

「どかどかなんて走ってないよ!」


ムッとして反論すればフンと鼻で笑われた


「せいぜい俺の分のシャーペンと消しゴム用意しとくんだな」

「アンタの場合必要なのは枕でしょ」


居眠りばっかして、と付け足せば、言うようになったじゃねェか、と鼻で笑われた

付き合ってからもう少しで2年がたつ

2年生の時はクラスが離れてしまったが、3年生はまた同じクラスだ


「卒業するまで一緒かー。遠足とか楽しみだね」


まだまだ先の行事にウキウキしていれば窓から桜の花びらが入ってきた

一昨年初めて総悟とあった時と同じように、満開に咲き誇っている桜の花びらだ

次この桜が咲くころにはもうこの学校にはいない

それでも、総悟とずっとずっと一緒に入れたらな、なんてぼんやりと考えながら窓の外を眺めた。



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りいこさん誕生日小説(坂田銀時)

皆様お久しぶりです!!何ヶ月もあけてしまってすみません><

それなのに皆様のコメントがたくさんあってすごく感激しました( p_q)

これからも地道になんですが頑張っていくので応援のほう宜しくお願いします!

さて、今回は10月30日に誕生日だったりいこさんに送ります!!

遅くなって本当にすみません!もしかしたら忘れられてるかもしれないですが書かせてください!どぞ


日差しが入り込み眩しさからこすりながら目を開いた

ソファに寝そべり上には毛布が雑にかけてあった


(いつの間にか寝ちゃってたんだ・・・・)


がらんとした万事屋の中には誰もいなくて、あたししかいないようだった


「銀時・・・?」


一応名前を呼んでみたが、その不安げな声はどこへともなく消えていった

今日は新八くんはお妙さんと出かけるため休暇を取っていた

そして依頼がなく暇だったため、神楽ちゃんと定春もそれについていった

みんなを見送ったのは昼前のことで、その後は洗濯やら何やらをしていたが・・・・

たたみ終わってから息抜きにとお茶を飲んでいたのだが、そこで寝ていたみたいだ


「銀時、ソファに運んでくれたのかな」


ソファに横になった記憶も、毛布を持ってきた記憶もない

きっとあたしがお膳にうつぶせて寝ていたのに呆れ、ソファにとりあえず運んだんだろう


「それにしてもどこ行ったんだろう」


夕飯の買い物・・・?

いや、銀時がまさかそこまで気がきくなんて

ちょっと散歩・・・?

でももう夕日が山の中に沈もうとしているし、もう帰って来ててもいいか

パチンコ・・・?

うん、これが一番妥当な答え

パチンコ好きにもほどほどにしてほしい

2ヵ月ほど前からやめた、と言っていたがそろそろパチンコがやりたくてうずうずしてくる頃だろうと思っていた

きっとやめてみたものの我慢できなくなってやりに行ったに違いない


「付き合った時はパチンコなんてやってなかったのに」


いや、この言い方では語弊があるな

パチンコなんてやる人だなんて思ってなかったのに、が正解

はぁ、なんてため息をつきながら棚の上に飾ってある写真を眺めた

一緒に遊園地にデートした時の写真

はしゃぐあたしが彼の手を引っ張り笑顔いっぱいで走り回っていた

最後に乗った観覧者の中で大きな夕日を眺めながらキスした記憶がある


「りいこ」

「ん?」

「目、閉じろよ」

「・・・・なんで?」

「なんでって、そりゃオメェ」


そう言ってちょっとあたしのおでこにコツン、と自分のおでこを重ねてきた


「愛し合う二人が、熱いチューするために決まってんだろ」


照れてるのか口元をにひっと歪ませて小さな声で呟く


「早く閉じろよ。下に近づくと他の客に見られるぞ」


銀時に言われて外をチラッと眺めた

観覧者は徐々に徐々に下へと下がっていき、歩いているお客さんの視界にどんどん入っていく


「ま、見られてぇってんなら別だけどな」

「もう」


Sっ気のはいった笑いに、ちょっと照れたように唇を尖らせてみた

隙アリ、とばかりにキスをされて二つの影が重なった

キスはさっき食べたソフトクリームの味で甘い味がした


(なんか懐かしいな・・・・)


そんな何ヶ月か前のデートのことを思い出しみるみる顔が赤くなる

それから喧嘩もあったし、いろんなところに出かけて月日がたって・・・

1ヶ月ほど前に万事屋で同棲を始めた


「え?万事屋に?」

「おう。こいよ」


唐突に言われたその日は、確かあたしが前に住んでたアパートでカレーをつくっていた


「えー、いいよ。だって新八くんとか神楽ちゃんいるし。申し訳ない」

「あいつらもお前のこと気に入ってるし、いいじゃんかよ」

「そうだけどさー」


さすがに仕事場としても使っている万事屋に押しかけるわけには・・・・

カレーのルゥをとかしながら悩んでいると銀時がぎゅうっと抱き寄せてくる


「俺が来いって言ってんだから、来いよ」

「でもさすがに・・・・」

「あいつらには、もう話してあんだよ。りいこと住みてェからって」


あたしだって一緒に住みたいし、今の仕事先からも万事屋の方が近くなるし悪いことはない

んー、と唸るように悩んでいると首筋に顔をうずめながらかすれそうな声で言ってくる


「おいで?」


囁くようなその声に顔が一気に熱くなってしまうほど


「ん、ちょっと考えてみるね」

「よし、じゃ荷物整理しようぜ!」

「ちょっと、まだ行くなんて言ってない!考えとくって言ったの!」

「段ボール必要だよな!ちょっとそこのスーパーで空箱もらってこよーぜ」


結局それから1ヶ月ほどで引っ越してしまった

銀時はもっと早く来てほしかったらしいが、やることも多くそれでも早くに行った方だ

子供っぽいとこがあって、それでいて頼りになって・・・・

またそんなとこが好きでたまらない

棚の上にあった写真をまじまじと眺め終わり、写真を元の位置に戻した


「ただいま」

「きゃっ!」


ぎゅうっと強く抱きしめられ、短い悲鳴が飛び出た


「ぎ、銀時?」

「お前不用心過ぎ。ただいまって言っても気づいてねェし」

「ごめん、考え事してた」


ははっと笑いながら返すとじーっとあたしの顔を見つめてくる


「な、なに・・・?」

「いやー、可愛いなって思って」

「またそうやってからかって」

「からかってねぇって」


そう言ってちゅっと唇を重ねてきた

どっかで飲んできたのか、ほんのりイチゴ牛乳の風味が広がる

あの日と変わらないキスと、あの日と変わらないハグ

あたしのスキって言う気持ちもずっと変わらない


「どこってたの?パチンコ?」

「ちげーよ、やめたっつったろ」


そう言ってスーパーの買い物袋を見せてきた


「え?晩御飯買ってきてくれたの?」

「お前疲れて寝てるみてぇだったからな」


ポリポリと銀髪の頭をかきむしる


「ありがとう!」


ぎゅっと後ろから抱きしめると、あたしと同じ柔軟剤の香り

スキって言う気持ちは前よりももっともっと大きくなっていく。





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季節を感じて(沖田総悟)

こんにちは^^もうぐっと寒くなってあたしはスウェットに半纏来てますww

寒がりなんですよね、私www この間長篇やろうかな、なんて思ったんですが

もう少し生活の方が落ち着いたらにしますねー^^ では、今日は総悟でどうぞ



冷たい風が窓から入ってきて、外も暗くなってきたので不用心かと思い窓を閉めた

それど同時に鍋が噴きこぼれて慌てて火を弱める


「ん、こんなもんかな」


味を確かめてみると、なかなか上出来

後は総悟が来るのを待つだけなんだけど・・・・


「仕事、本当に終わるのかな」


明日非番だということで今日は総悟はうちに泊まりに来る日だ

そう言う日は大抵総悟の分までご飯を用意するのだが、仕事が終わらず結局夜中や次の日にうちに来ることがある

そうするとその残りのご飯は次の日のあたしの朝ごはんだ


(雨降りそうだし・・・・大丈夫かな?)


先ほど見た天気予報では夜は雨が降ると言っていた

だが、空は今にも雨が降り出しそうな色をしていて、総悟がうちに来るころにはびしょびしょになるんじゃないか、なんて心配がよぎる


(メールでも入れておこうかな)


来る途中に雨が降って濡れて来て風邪をひいた、なんて洒落になんない

一応忠告、ではないが、雲行きが怪しいことをメールで伝えておいた

少し早いが、総悟がきてからだと忙しいためもうお風呂をためておこう

入浴剤はきっと彼が選ぶんだろう

いつも戸棚を勝手にあけては、入浴剤を手に取ってからお風呂に入っている


「・・・・あ、降ってきた」


お風呂の窓がうちつけられるような雨に寄って音を出している

その音はどんどんと大きくなり、雷でもなるんじゃないかという勢いだった

もう向かってきてるんだったらこりゃびしょぬれは免れないな

濡れて帰ってきた総悟のために、少し余分にタオルを準備していると携帯がなる

画面には総悟の名前が映し出され、慌てて携帯を耳にあてた


「もしもし?雨大丈夫?」


電話に出れば、受話器の向こうからザーザーという音も聞こえてくるほどだった


『おー、ちょっとひでぇな』

「もうこっち来てるの?」

『あぁ。いまコンビニで雨宿りしてんでィ。向かいに散髪屋のある』

「あー、はいはい」


頭の中で場所を思い浮かべてみた

なんだ、結構すぐそこまで来てるじゃないか

そんなことを思ったあたしは、じゃあ、とタオルを下駄箱の上に重ねながら提案した


「迎え行くよ。そこまで」

『頼みてェとこだが結構降ってやすぜ?』

「大丈夫。すぐ行くから待ってて」


傘を2本もってあわあわと急ぎながらアパートを出た

出てみると雨のひどさがよりわかり、こりゃ傘があっても少し濡れるな、と覚悟した

バシャバシャと跳ねる水を少し気にしながら小走りでコンビニまで向かった

店の光に照らされ、総悟の姿がよりはっきりと見えた


「総悟っ!」


腕を上げながら彼へ近づくと、総悟も雨を気にしながらこちらへ近寄ってきた

だが、ハッと目を丸くして彼があたしの方に腕を伸ばす


「危ねェ!!」

「きゃあ!」


キキィイィィ!!!

バシャンッ!!


横から飛び出してきた車が、急ブレーキをかける音が雨の音と重なるように響いた

運転手は一瞬止まったが、けが人がいないと分かるとすぐに車を走らせていってしまった

あたしはと言うと、腕を引っ張った総悟の胸の中にすっぽりと収まっている

あまりのびっくりする体験に持っていた傘を地面に落してしまい、二人とも雨に打たれてしまっている

それよりも、急ブレーキを踏んだ車の水しぶきをもろにかぶり、二人ともずぶ濡れになっている


「ごめん。もう大丈夫」

「ったく・・・・。あの車、後でしょっぴいてやらァ」


総悟はあたしのことを離すと落ちた傘を拾ってあたしにさしてくれた


「ごめん、あたし大丈夫だから。総悟さしなよ」

「あ、そうかィ」


風邪ひくよ、の一言もなしに言われたとおりに自分にだけ傘をさす総悟

知ってた、こいつはこう言う奴だって・・・・

もう一本持ってきた傘をさそうとすると、総悟があたしの腕を引っ張って1本の傘に2人で入る


「総悟、濡れちゃうよ?」

「もう濡れてんだから良いだろィ」

「はは、そうかもね」


結局、2人してほぼ全身を濡らして帰った


―・・・


「お風呂沸いてるから入っちゃえば?」


アパートに帰ってきて、あたしはびしょびしょになった着物の手入れをしていた

総悟も濡れた衣類が肌に張り付くのが気になるらしく、上半身は全部抜いてしまっていた


「あぁ、そうしまさァ」


タオル用意してあるから、と付け足すと、腕をつかまれ軽く引っ張られる


「なに?」

「アンタも濡れてんだから、一緒に入ればいいだろィ」

「いいよ、あたし後で入るから」


やんわりとそう断れば、ほっぺたをグニッとつねられた


「いはっ!」

「こんなに冷え切って何言ってんでィ。風邪ひいたら俺にうつるだろィ」


両頬をムニムニとつねられ、我慢しきれなくなったあたしはその手を弾いた


「分かったよ!すぐ行くから入ってて」


総悟はへいへい、と軽く流すように返事しながらお風呂場へと向かった

久しぶりに一緒に入るお風呂に、今ちょっとだけドキドキしている


(10分くらいしたら入ればいいかな・・・・)


アパートのお風呂なので、あまり洗い場が広くない

総悟が身体や頭を洗い終わってから入らないと、身動きが取れないのだ

その間に晩御飯の準備を軽くして、脱衣所へと向かった


「はいるよー?」

「おー」


一声かけてから、濡れた肌着や下着をぬぎ、戸を開けた

モクモクと舞い上がる湯気が視界を少しだけ悪くする

総悟は既に湯船につかっており、極楽気分のようにみえた


「久しぶりだね、一緒に入るの」


髪の毛を洗いながら言えば、あー、と彼の返事が返ってきた

髪は雨にうたれて少しキシキシになってしまっていた

身体も洗い終わり、狭い浴槽に総悟の隣に入った

あたしが入った分だけお湯が流れていき、それと同時に湯気も舞い上がる


「夏はさ、お風呂あんまり溜めないじゃん?」

「あぁ、そうだねィ」

「だから、なんか一緒にお風呂入ると、寒くなったんだなぁって思う」


あたしは夏場はお風呂は溜めることはなくて、シャワーだけで終わらしてしまう

なので、秋冬しか一緒にお風呂を入ることはない


「ずぶ濡れになるのもたまには悪かねぇかもしれねェな」

「ん?」


総悟はあたしのことを抱きしめるように腕をまわしてきた

ぎゅうっと力を少し強くされ、生肌と生肌がこすれあう


「どした?今日は甘えん坊なの?」


くすくすと笑いながらからかうように言えば、ジロッと鋭い視線が向けられた

その視線から逃れられなくなり、至近距離で目と目が絡み合う

どちらともなく唇を重ね合い、チュッという音がお風呂場に響く

キスをしながら抱きかかえられ、彼の上に座らされる

動くたびに、浴槽に水が音を立てながらあふれて流れていく

雨にぬれて冷え切った体も、いつの間にかあったまっていた

唇が離れると、お湯のせいか、キスのせいか、総悟の唇が濡れていて魅力的だった


「こうしてると寒くなったって感じでィ」

「どんなことで季節感じてんのよ」


また笑いながらキスを重ねた

たまには、寒くなったり、雨が降ったり、そう言うのもいいかもしれない。




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片想いのあの子(坂田銀時)

昨日は銀さんの誕生日・・・・って事で誕生日小説!(昨日かけよ

しかも今回はヒーロー目線でいかせていただきます!!

久しぶりだなぁ、ヒーロー目線ッ!わくわくするッでは、どうぞ


もう10月だってのに少し暑い日が続いている

テレビの向こうでは結野アナが晴れマークを指差して今日もなかなか暑いことを説明していた


「10月だってのに、汗かいちゃいますね」


洗濯物は早く乾きますけど、と洗い終わった洗濯物を干しに行く新八

俺はソファにごろんと横になって置きっぱなしのジャンプを手に取った


「ま、ついこの間まではもっと暑かったんだ。かわりゃしねぇだろ」

「そうですけど」


今日も仕事がなく結構暇になってきた

神楽は録画していたドラマの再放送を見ていて暇ではなさそうだった

新八は洗濯が終わったら今度は朝ごはんの食器洗いとまるでお母さんみたいに働いている

俺は立ちあがって玄関へと向かう


「少しでてくる」

「どこいくんですか?」

「その辺ぶらぶらしてくるだけだ」


って言っても時間はあっても金がねェ

どこへ行こうか、なんて辺りを歩いていると見覚えのある後姿に思わず笑みがこぼれた

俺は小走りでそいつに近づき、ぽん、と肩をたたく


「よ!」

「わぁっ!?」


びっくりしたみたいで変な声を上げながら俺の方を見てくる

目をまん丸くしてこっちを向いたが、俺の顔をみてその表情が次第に柔らかくなる


「なぁんだ、銀さんか」

「悪ィな、驚かしちまって」

「んーん、それより偶然だね」


よく行くパチンコ屋でアルバイトをしていて、俺が声かけたことがきっかけ


『お姉さん、この後さぁ、ひま?』


ナンパするつもりなんてなかった

その時は本当に気まぐれで声をかけただけだった

きっとこの子も軽く受け流すだろうと思っていたし、俺もそれくらいの感じだった

だけど、受け流すなんてことはしなくて、ちょっと考えたような表情を見せてきた


『うーん』


それから、少し照れたような表情を見せてきた

それも、愛想笑いとか、そう言うんじゃなくて、自然と出てきたようなかわいい笑顔


『実は予定会ったけど、お兄さんの為にあけたげる!』


一瞬でその子に釘づけになった

玉がいっぱい台の中ではコロコロはじけているのに、そのことも忘れてずっと見てしまった

この返し方は結構ナンパ慣れしてて、結構遊んでいるような子なのだろうか

きっとそうだろうな、こんなに可愛いんだし

でも、たとえ遊んでいるような子でももう一度あの笑顔をみたいなんて思った俺はその子のバイトが終わるまでずっと玉を打ってたんだ

その後は普通にファミレス寄ってご飯食べて、少し話してバイバイって感じ

連絡先ももちろん聞いた

きっと俺は一目ぼれだったんだろうな・・・・


「銀さん?」

「・・・・・あ、あぁ?なんだ?」

「もぉ、聞いてたー?」

「悪ィ悪ィ」


つい昔のことを思い出して話しを全く聞いてなかった

ちょっとばかり鋭い視線をぶつけて来て、ちゃんと聞いて、アピールをしてくる

はいはい、と俺は彼女の話を聞きながら横目でその顔をのぞいていた


「そう言えば、最近銀さん来ないよね」

「金がねぇからな。収入が入ったらまた行くさ」

「ん、待ってる」


そう話しながら俺はカフェの前で足をとめて、その看板を見つめた

当たり前のように彼女も足をとめ、俺の方を見つめる


「銀さん?」

「なぁ、寄ってかねェか?昼飯まだなんだ」

「あー、あたしもまだ」


このまま家へと帰るのが寂しくなって、そう提案すればこくりとうつむいてくれた


「いいよ。食べちゃお」


俺がドアを開けてあげれば、ありがとう、とお礼を言って先に店の中に入る

俺の前を通るとふわりと柔軟剤のにおいが俺の鼻をくすぐった

モノを注文してから少しの間話して、話題が丁度いい具合に切れたら俺は水を含んだ

いつも以上に喉が渇くのは緊張してるからなのだろうか

コップをテーブルに置くと表面についていた水滴がテーブルを濡らした


「銀さん、これ」

「ん?」


顔をあげると小さな包みを渡された


「なんだ、これ?」

「明日誕生日でしょ?明日あたしバイトだから、早めに渡しちゃおうと思って」


って言っても4時までだけど、と付け加えてまた照れたように笑う

確かに明日は俺の誕生日で、また1歳年をとる

でもそんなことよりも、恋人でもない俺に誕生日プレゼントをくれるという嬉しさが顔にでてしまう


「やべぇ。顔ニヤけるわ」

「嬉しい?」

「嬉しいに決まってんだろ、コノヤロー」


小さい声でありがとな、と言えば、ん、と首をこくんとふってくれた

たまにこう言うことをされると


『こいつも俺のことを好きなんじゃないのだろうか』


という期待が胸の中をうず巻く

でも、あの日、俺のナンパを慣れたようにうけてくれたことから、その期待もただの俺が舞い上がって感じてしまっている勘違いなのかもしれない、とも思う


(こんな歳になって、恥ずかしいな)


俺の気も知らないで運ばれてきた料理を嬉しそうに食べるそいつにまた見とれてしまった


―・・・


「あれ?旦那じゃねぇですかィ」

「チッ、見たくもねェ顔みちまったぜ」


昨日アイツと偶然出会えたからってわけじゃねぇけど、今日も町を歩いていた

見覚えのある制服だな、と思っていれば案の定真選組の野郎だ


「そういや、今日誕生日らしいですねィ」

「んでんなこと知ってんだよ」

「聞いたんですよ」


沖田が出した名前を聞いて、それだけでドキンと鼓動が大きくなった


「昨日偶然会いやしてね、旦那のプレゼント探してるって。大層悩んでやしたよ」

「あー、そうかぃ」

「旦那たち付き合ってるんですかィ?」

「は、はぁ?何言ってんの、総一郎くん」

「総悟です」


んな質問で顔を赤くしてしまうそうだ

まるで中学生じゃねェか、馬鹿らしい


「昨日アイツにも聞いたんですがねィ、同じこと」

「・・・・・で?」

「『秘密』なんて顔真っ赤にしていくから、てっきり俺ァ付き合ってるもんだと思ってやしたがねィ」


そう言ってからチラッと俺の顔をみる

まるで捕まえた犯罪者を上から下まで見定めるようなその目つきに不快感が走る


「なんだよ」

「どうやらその調子じゃ『まだ』みてェですねィ」

「だったらなんだよ」

「旦那、もたもたしてやすと、俺がもらっちやいますぜィ?」


俺をおちょくってるかのような言葉に無性にムカつきがきた

だけど、それより前に身体が動く


「そうかィ。悪ィが渡す気なんざねぇよ」


ポンと沖田の肩に手を当ててからパチンコ屋まで走っていった

後ろを振り向いたわけじゃないから知らないが、きっと奴はやれやれといったような表情なんだろう

同じドS系として、なんとなくそう思った

店内に入れば聞きなれた騒音

その中から透き通ったようなアイツの声を聞き当てる

見つけて、腕を強く引っ張れたまだ驚いたような表情で俺をみる


「銀さん?」

「お姉さんさ、この後、ひま?」


まるであの日を思い出させるような言葉に彼女は驚きながらも少し笑った

んー、と少し考えるしぐさをしたら、あの人同じあの笑顔


「今日はお兄さんの為にあけてあるから、全然オーケーよ」


いたずらっぽく笑ってきたその顔はやっぱりちょっとだけ赤らみを帯びている

ドキン、とまた大きくなった鼓動を抑えて、時計の針をみた


「4時ごろ、迎え来るから」

「いいの?」

「あぁ、どうしても言いたいことがある」


こんな真剣なまなざしで見つめて言いたいことがある、なんざこの先の展開を予想してるかもしれない

だけど、それよりも、絡みあった視線にフイッと顔をそむけて耳まで真っ赤にしているこいつをみて俺も先の展開を予想してしまった

じゃぁ、また、と手を振ってから緊張で喉が渇いてしまう


「イチゴ牛乳でも買ってくるか・・・・」


とりあえずコンビニに行ってから、どっかでヒマつぶして来よう

片想いのあの子に告白するため、どっかで緊張をほぐして来よう。





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