映画【クワイエット・プレイス:DAY 1】 | G16 Holic

G16 Holic

コラムと映画レビューの話

クワイエット・プレイス:DAY 1
2024年/アメリカ(東和ピクチャーズ)/ホラー
監督:マイケル・サルノスキ
主演:ルピタ・ニョンゴ
2024年06月28日日本公開


「クワイエット・プレイス」前2作は、すでに宇宙からの攻撃者に蹂躙され、文明が崩壊している状態で物語が始まっていた。
本作はそんな侵略の最初の1日目を描いた前日譚である。
末期患者の黒人女性サミラ。
介護士にマンハッタンの観劇イベントを勧められるが乗り気じゃない。
「マンハッタンでピザを食べさせてくれるなら行く」と愛猫フロドを抱えて人形劇へ。
そんなときに宇宙から攻撃者が飛来。瞬く間に街は大パニック。
サミラも衝撃で気絶。目を覚ますと劇場で保護されていた。猫のフロドも無事。
軍用機のアナウンスで攻撃者は音を立てると襲ってくる事がわかる。
攻撃者は水に入る事が出来ず、船での避難が呼び掛けられる。
避難場所へと向かう人々の中で、サミラはピザ屋を目指す。
そんな中でフロドの先導によりエリックという青年と行動を共にする事になる。
サミラはピアニストだった父親と食べたジャズバー近くのピザを最後に食べたいという思いをエリックに伝える。
ピザ屋までの冒険が始まる。

こういったアポカリプス映画の場合、ほとんどの場合が「生き延びること」が主人公達の目的であるが、本作の主人公は末期患者であるがゆえに生き残る事より大事な「生を全うすること」を選択する。
それが「最後に思い出のピザを食べたい」であり、その点がユニークな点である。
そして最後の笑みはそれが成功した事がわかる。
一方、「生への執着と死への恐怖」が強いエリックは、サミラに共感しつつも、生き残る事に成功する。
つまり希望の無い未来を知る前日譚でありながら、本作はハッピーエンドなのである。
そしてそんな二人の異なる人生を導き、傍観する存在として猫のフロド。
まるで猫視点で映画の世界へリンクしているような感覚だ。
猫好きにはたまらん猫映画だったw

さて、攻撃者は「音を出さないと襲って来ない」「水に弱い」といった事をわずか1日で解明した優秀な人類が、なぜ文明崩壊まで辿り着いてしまうのか?
そのあたり映像化させるのかどうかは気になるところ。
序盤に軍がマンハッタンの橋を落としたっ事は、まだ攻撃者はマンハッタンの外には飛来していないって事。
音のする方へ集まる習性を利用すれば容易に駆除出来そうだけど果たして?
(爆音を鳴らして集まったところで爆発する装置とか)