G16 Holic

G16 Holic

コラムと映画レビューの話

WEAPONS/ウェポンズ
2025年/アメリカ(ワーナー・ブラザース映画)/ミステリーホラー
監督:ザック・クレッガー
主演:ジョシュ・ブローリン(アーチャー役)
2025年11月28日日本公開

 

まず書いておきたいのは、この映画は何も情報を入れずに「これは一体何が起こっているのだろう?」と思いを巡らせながら観るべき映画ということ。
配給側も「ネタバレ厳禁」と告知している。
構成としてはM・ナイト・シャマラン監督の作風に似ている。
なのでこのレビューも視聴後に読む事をオススメする。

ペンシルベニア郊外の田舎町。
とある小学校のクラスメイト17名が失踪する事件が起きた。
その朝登校したのはアレックスという少年と担任の女教師ジャスティンのみ。
監視カメラなどの映像から、失踪した生徒は夜中2時17分に自ら家を出て、両手を広げたポーズで闇夜に消えていた。
謎はずっと解明されないまま映画は登場人物の視点を変えて事件の周辺情報を埋めていく。
このあたり日本のホラー映画『呪怨』の構成を思い出す。
まず担任教師のジャスティン。彼女は事件への関与を疑われて、町で孤立する。
次に失踪した子どもの父親の一人であるアーチャー。
監視カメラの映像から、子供の向かった先を探り当てる。
次にジャスティンの元恋人である警官ポール。
空き巣に入った家でたまたま失踪した子供達を見つけてしまう薬物依存者で窃盗のジェームズ。
そして校長のマーカス。最後にアレックス少年の視点で映画は終幕となる。

(失踪事件以外)何も起こらない前半も興味を持続できているのは監督の手腕だろう。
真相は町にやってきた魔女の仕業だったわけだが、アレックス少年の視点での魔女との攻防は、「JoJoの奇妙な冒険」第4部の川尻早人のエピソードを思い出した。
それにしても魔女がなぜ自分の親族を標的にしたのか?
なぜ当初は消耗していたのか?
何をして元気を取り戻したのか?
そもそもなぜ魔女なのか?
といった黒幕側の背景はほとんど解明しないまま映画は終わる。
そこは監督の伝えたい主題とは離れるからなんだと思うけど、引っ張るだけ引っ張る構成だからこそ、あっさりした真相に感じてしまう。

余談だが、作中で操られた相手は両手をハの字にして走る。
このポーズが一時マイブームになったw
校長先生がこのポーズで走ってくるんだけど、目が飛び出てて、西川きよしみたいで怖いんだわww
 

悪魔祓い株式会社
2025年/韓国(ギャガ)/アクションホラー
監督:イム・デヒ
主演:マ・ドンソク(バウ社長役)
2025年12月12日日本公開


悪魔崇拝者達による治安悪化に警察は太刀打ちできず、専門家に頼るしかなかった。
リーダーであるバウ社長(マ・ドンソク)率いる「悪魔祓い株式会社」である。
その悪魔祓いの方法は独特で、バウ社長は悪魔の下僕達をコブシでK.O.して道を開き、エクソシストのシャロンが悪魔払いをし、キム室長がそれを撮影する。
シャロンの功績が大きい(^^;
そんな中で悪魔に憑かれた妹を救って欲しいという医師ジョンウォンが依頼にやってくる。
彼女の妹ウンソを救う決意をしたバウ社長は、ウンソが取り憑かれた原因となる家を舞台に悪魔祓いを試みる。

文字に起こすと超シンプルな映画で、映画『エクソシスト』から雑に引用した世界観を、マ・ドンソクがコブシの物理ファイトで強引に解決する内容になっている。
パワー系エクソシスト映画と言えばラッセル・クロウが主演した『ヴァチカンのエクソシスト』が思い出されるが、本作の場合、マ・ドンソクは悪魔祓いを部下に任せており、より脳筋映画になっているw

おそらく本作は“悪魔祓いを題材としたアクションホラー”ではなく、「マ・ドンソクの“パンチで解決脳筋映画”をいつもとは違うシチュエーションでやってみました」という位置付けの作品であり、“マ・ドンソク映画”いいうジャンルであろうw

バウ社長の過去の因縁の相手(兄弟のように育った悪魔崇拝者)などのエピソードは出てくるものの、本作中には特に登場せず「続編からが本番です」みたいな内容になっている。
果たして続編は作られるのか・・?

 

チェンソーマン レゼ篇
2025年/東宝/アニメ
監督:吉原達矢
主演:戸谷菊之介(デンジ役)
2025年9月19日日本公開


血の魔人“パワー”は血を飲みすぎたため、一時的にデンジをバディを外れ、かわりにデンジを崇拝するサメの魔人“ビーム”がバディとなる。
デンジが恋する相手、上司のマキマさんに映画のハシゴデートに誘われる。
その帰り道に土砂降りとなり、電話ボックスに退避。
そこへ同じく雨から逃げてきた少女レゼと出会う。
デンジは自分に親しくしてくれるレゼを好きになる。
レゼは「学校に行ったことがない」というデンジを誘って夜の学校へ。
一緒に裸になってプールに入るなどのイチャイチャののち、学校内でデンジの心臓を狙う男に追いかけられるレゼ。
だが飛びつきチュークスリーパーで反撃して男を殺害する。
男についていた「台風の悪魔」はレゼの正体に気づく。
教室で待っていたデンジはその事を知らず、誘われるままに夏祭りへ。
そこでレゼに「悪魔ハンターなんかやめて私と一緒に逃げない?」と誘われる。
デンジは「最近、仕事が楽しくなってきたんだ」とやんわり断る。
直後にレゼからキス。と思ったら、舌を噛みちぎられるデンジ。
チェンソーマンに変身するトリガーを引こうとする腕も切断されて絶体絶命のピンチ!
…ってところで地中に潜んでいたビームが飛び出してデンジをかっさらう!
レゼはボムの悪魔に変身して追ってくる。
ここからのレゼの追撃が激しくて物語のスピードが急激に上がる。
高速で逃げてもすぐに追いついてくる。
対魔2課訓練施設に逃げ込むも、訓練された男達はほぼ全滅。
レゼ強すぎるって!
血を飲んで復活したデンジと激しいバトルへ。
それにしても、胴体切断された上に掴まれて連続爆破されても血を飲めば復活するデンジも無敵キャラだよな・・。
サメの姿になったビームに馬のようにまたがってレゼのスピードに対抗するデンジ。
もの凄い動的アニメーション。
静かな前半の展開からの差が大きいから、余計に映像が印象づけられる。
チェーンでレゼを縛り上げて一緒に海底へ。
お互いに意識を失ってドロー決着。
目を覚ましたデンジはレゼを見逃す。
翌日、レゼは遠くへ逃げようとするが「あの喫茶店で待ってる」というデンジの言葉に、電車に乗らずデンジに会おうと向かう。
レゼの正体はソ連で「モルモット」と呼ばれる人体実験・訓練の対象として育てられた少女だった。
レゼ自身もデンジと過ごした“普通の青春”に希望を見たのかも知れない。
そこに待ち構えてたマキマは、レゼの変身を封じて瞬時に仕留める。
あんな強かったレゼを完封できるのかよ・・。

2022年10月12日から12月28日まで放送されたテレビアニメ「チェンソーマン」全12話の続編。
原作にもあるエピソード“レゼ篇”を劇場映画化。
レゼ篇のエピソードって実に映画化に向いていたと思う。
出会い、戦闘、別れというパッケージで物語が完結していて、テレビ版の続きでありながら、その途中を切り出した感じがしない。
デンジの前に現れた童貞魂を巧みに転がす美人局的な美少女。
これは回避できない。
そして大ピンチのバトル。
そこから(両者にとって)切ない恋の終焉。
過激過ぎる青春の一幕であった。
 

真・仮面ライダー 序章(プロローグ)
2026年/東映ビデオ/アクション
監督:辻理
主演:石川功久(風祭真/真・仮面ライダー役)
1992年2月20日日本公開(∨シネマにて発売)


波止場でバッタの怪人が警官隊らしき人達を殺害している夢を見る風祭真(かざまつり・しん)。
彼の父親である風祭大門は科学者で、とある財団に雇われており、息子の真の身体で人体実験をしていた。
その財団にいきなり石ノ森正太郎が視察団役で登場w
視察団のいる前で科学者同士がもめている。
真の父親と同じ研究に関わる鬼塚義一の意見が対立していたのだ。
主人公の風祭真を演じた石川功久さん。微妙に若い頃の松本人志に似ているw
ちなみに財団のボスは原田大二郎だw
鬼塚義一は自らの身体をも実験材料とし、バッタの遺伝子と融合した改造兵士になっていた。
警官隊を襲ったのも彼で、テレパシーでその意識を真と共有していたのだった。
改造されてしまった自分の正体に苦しむ真。
そんな真を慰める看護師の明日香 愛。
ヒロインである明日香 愛役の野村裕美さん、乳首露出。
間違えてこの映画を観に来てしまったちびっ子がいたら気まずかっただろうな(^_^;
このあと変身した鬼塚のもとに真、財団の刺客である豪島、CIAの部隊が集まる。
真は変身し、アンドロイドの正体を現した豪島とバトル。
鬼塚は炎に包まれて絶命。
その後、愛の体内には真の子供が宿る。
その子供、半分バッタの身体w
まるで「ザ・フライ2」だなw
監禁されていた風間大門と明日香愛は、研究所を逃げ出すが、愛は追ってきた原田大二郎に銃殺される。
怒りの真は変身して原田大二郎を惨殺するのだった。
直後に襲ってきた豪島と2度目のバトル。
引き裂かれた身体がすぐに再生したり、豪島の首を背骨ごと引き抜く演出が印象的。
その後、財団のヘリが真と大門博士を連れ去ろうとするが、CIAのロケットランチャーがヘリを爆破。
財団のビルに墜落してビルごと大爆破w
最後は腹に受胎したまま死んだ愛を抱えて立ち去っていく真の姿で終わる。

仮面ライダー生誕20周年記念作品として制作され、∨シネマとして販売された。
キスシーンやヌードシーン、そして残虐表現など、大人向け映画で“仮面ライダー”を組み立て直した意欲作。
大人向けといっても映像や設定は安いし、演出も子供向け特撮を脱していない。
(ほとんどの役者さんがセリフ棒読みだ(爆))
そんなわけで、基本は子供向け特撮を愛する大人ファンに限定したターゲットだったと思われる。
バトルシーンは他の仮面ライダーと差別化出来ていて見れる映像にはなっている。
だが残念ながらこの物語の直接の続編は作られず、物語は“序章”のまま未完となる。
本作の実績は劇場映画『仮面ライダーZO』制作へと転化していったのだった。

話はちょっと逸れるけど、“子供向け特撮で知名度はあるヒーロー”を大人向け市場に昇華させようという試みって過去何度が挑戦されてるよね。
たぶんハリウッドのマーベル映画なんかは成功例なんだろうけど、日本の場合ほとんど成功例が無いんだよね。
まず市場が狭いから予算が低い。
すると一般の大人が納得する映像やスケールが作りにくい。
「いや、特撮マニアの大人が楽しめればいいじゃないか」と思うかも知れないが、特撮マニアはもともと子供向けでも楽しんでいる。
つまり日本の大人向けヒーローは、もともと子供も大人(マニア)も楽しめていたものから、子供をターゲットから排除したに過ぎないのだ。
本作のずっとあと、劇場版の仮面ライダー作品(子供向け)に本作の仮面ライダーシンが登場し、他のライダーと共闘して怪人と戦ったりしているあたり、大人向けライダーの敗北と言えるのではないだろうか?
(個人的には無理に大人向けを作る必要は無いと思っている)
 

ストリートファイター ザ・ムービー
2026年/アメリカ(東和ピクチャーズ、東宝)/アクション
監督:キタオ・サクライ
主演:ノア・センティネオ(ケン役)
2026年10月16日日本公開

 

映画がスタートすると突然始まるのはアニメ。
どうやら過去のエピソードはアニメで、現在のエピソードは実写で表現する構成だったみたい。
これまでアニメ化されたストリートファイター作品は、ほとんど観てこなかったんだけど、こちらけっこう質の高いアニメに仕上がっているように思える。
世界格闘大会でリュウがサガットを倒して優勝。
だが“殺意の波動”に飲まれそうになってしまう。
そして同じ師を持つリュウとケンは離れ離れ。
ケンは(ダンをマネージャーにした)格闘エンターテイナーとして落ちぶれ、リュウは戦う事をやめてマズいラーメン屋にw
一方、犯罪組織シャドルーの首領であるベガは、サイコパワーを強化するため、リュウの波動を欲する。
リュウを誘い出す目的で世界格闘大会を再び開催するのだった。
シャドルーに潜入していた春麗(チュンリー)は、ケンやリュウに出場を呼びかける。
ケンの出場を知ったリュウも会場にやってくる。
出場資格の無いリュウは、サウナにいたエドモンド本田を襲い、出場権を奪う。
ガイル、ダルシム、ブランカ、バルログ、ザンギエフ、バイソン・・といった個性的な面々が集結。
そして暗躍するベガの配下としてキャミーも活躍。
これでトーナメントが『グラップラー刃牙』並に盛り上がればお祭り映画としては良かったんだけど、肝心のトーナメントが超ダイジェスト。
ダルシムやザンギエフは瞬時に敗退してるし、ガイルなんかほぼ試合のシーン無し。
そして気づいたら「決勝はケンvsジョーです!」だって。
誰だよジョーって、と思ったら初代ストリートファイターにしか出てないジョーかw
ストⅡのオープニングでパンチ打ってるけど、操作キャラにはいないジョーかw
最後は殺意の波動に呼び寄せられた豪鬼が乱入してのバトルになるんだけど、終盤はもう眠気が襲ってて細部をよく覚えていない・・(^^;
そしてベガやキャミーとの戦いも描かないまま終幕。

日本語吹き替え版で鑑賞。

まずアニメシーンについて。
これね・・。アニメそのものはとてもよく出来ていたんだけど・・。
このアニメシーンがある事によって、実写シーンのチープさがより目立つんだよね。
そうなるとみんな思っちゃうんだ。
「これ全編アニメでも良くない?」って。
これ危険な賭けだったと思うよ。安易にアニメを入れたんだとしたら無邪気過ぎるよ。

それにしても格闘ゲームの実写映画化って難しいよね。
格闘ゲームにおいてはキャラクター同士の対戦が面白ければ良いわけで、キャラクターの個性、特徴的な攻防、戦う舞台の変化・・、そういったものは全て対戦を盛り上げる要素であって、エピソードや世界観においてもフレーバーの一つでしかない。
もともと重視されていない要素だ。
それを原作に映画として興味を持続するものにしなければならない。
「世界大会に集まった猛者達が戦います」だけでは確実に飽きる映画になるから、格闘シーン以外の何かで映画として原作を再構築しなければならないわけだ。

本作はどうだったか?
まずバトル以外のドラマが全然盛り上がらない。
格闘大会になんで参加するのかの動機づけも弱いよ。
あとバトルシーンもハリウッドの悪いクセで、速いカット割りで暗めのシーンが多いから何をやっているのかよくわからない。
たまにゲーム特有の技が一瞬映って「おお!実写でやってる凄い!」と思うぐらい。
例えば『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』のようなアクションシーンそのもので魅了する映画ではない。

では何を楽しむ映画なのか?
それはやはりゲームに登場する人物を再現したキャラクター達だろう。
コスプレ臭は薄く、マーベルヒーローのような実写としての再現度を達成している。
特にガイル、ダルシム、ブランカ、ザンギエフは秀逸。
プロレスラーの後藤洋央紀演じるエドモンド本田は、隈取りはして欲しかったけど、スーパー頭突きと百烈張り手を再現したのはエライ。
残念だったのはリュウとベガ。
リュウの体格や動きは良いけど、顔立ちが主役の顔じゃない。
ベガは胡散臭い小男に見える(爆)
(ただでさえサイコパワーって胡散臭いのに)
CGで年齢補正すれば嶋田久作さんで良かった気がするw
ケンはキャラに合っていてGood。
春麗は顔立ちやアクションについては文句ないけど、あんなヒステリックなキャラクターのイメージじゃなかった。
豪鬼は見事に豪鬼だったけど、逆にスーパースターであるローマン・レインズだとわからないほど豪鬼w

ポストクレジットでベガがサガットと合流するシーンをアニメでやってたけど、これだと続編は全編アニメになりそうじゃないか・・。


さて、入場特典の「数量限定キャラクターシール」。
何が出るかな?

春麗でしたー。
ストライダー飛竜の東風じゃないよね?w

バイオハザード
2026年/アメリカ(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)/ホラー
監督:ザック・クレッガー
主演:オースティン・エイブラムズ(ブライアン役)
2026年10月09日日本公開

 

主人公ブライアンの仕事は医療物資の配達員。
そういう会社に勤めているというより個人事業主っぽい。
UberEats的な?
病院でも雑に扱われてる使いっ走りな人材。
電話越しに彼女とモメている。できちゃった子供を生む生まないみたいな。
そんな時に突発的に依頼を受ける。
「ラクーンシティまで至急届けてくれたら料金倍よ」
渋々ながら依頼を受けて、雪の中をチェーンもつけずに車で向かう。
その途中で雪道に飛び出した女性を跳ねてしまう。
女性を車にのせて病院に運ぼうとラクーンシティに急ぐが、途中でパトカーに停められる。
状況を説明して女性をパトカーの方へ移し、2台は病院へ向おうとするが、案の定、警官は女ゾンビに襲われてパトカー転倒w
ブライアンにも襲いかかる女ゾンビ。
なんとかパトカーで入手したハンドガンで撃退するも、近くの農家ではゾンビ犬に襲われ、家屋の中では旦那ゾンビに襲われ、息を吹き返した女性ゾンビまで追ってくる。
次から次へと困難が降り注ぎながら、ラクーンシティ総合病院へと物資を届けるまでのお話。

ビデオゲームを実写映画化すると起こるリアリティの喪失。
ビデオゲームの世界観はプレイヤーが遊ぶ舞台を盛り上げるためのものであり、それの多くはリアリティよりもプレイ都合を優先したものになっている。
なので実写映画にすると「そんなわけないだろ」というチープなコスプレ映画になってしまう。
ポール・W・S・アンダーソン監督とミラ・ジョヴォヴィッチ主演のシリーズも、1作目は良かったけど、シリーズを重ねるごとにコスプレ映画になってたもんね。
サングラスかけたウェスカーが高速移動とかした時には「こりゃもうダメだ」って思ったもん。
だが本作はホラー映画である事を保ちながら、ゲームのオマージュを散りばめる事に成功している。
主人公のブライアンはレオンやクレアのようなエキスパートではなく一般人。
巻き込まれタイプの主人公にした事は最大の功績だ。
そしてつねにブツブツと独り言をいいながら行動する様はまるでゲーム実況だ。
彼のまわりでは次から次へとホラー的なイベントがふりかかる。
ハンドガン、ショットガン、マシンガンと手に入る武器は都合よくパワーアップしていくが、戦士ではないブライアンはそれらを要領良く使えない。
錠前を撃っても壊せないしw
途中何度も残弾数を気にするあたりもゲームプレイを彷彿とさせるね。
映画の視点が常にブライアンからブレない事で、ブライアンと一緒にホラーアトラクションを追体験しているような感覚に陥る。
人間の部位が合体した塊魂みたいなモンスターの造形も見事だ。
(ゲロ吐きゾンビだけはコミカル過ぎて雰囲気崩してたけど)
最後にどんどん異型のモンスターに変形していきながら、「頼む、解毒剤を打ってくれ」と訴え続けるブライアンのバッドエンドも好きだ。
ザック・クレッガー監督のバランス感覚が生んだ快作と言えるだろう。

でも本作で成功したからって安易に続編作ったら危ういよね。
次はエキスパートキャラ出さざる得ないもんな。
 

ディスクロージャー・デイ
2026年/アメリカ(東宝東和)/SFサスペンス
監督:スティーヴン・スピルバーグ
主演:エミリー・ブラント(マーガレット・フェアチャイルド役)
2026年10月1日日本公開

 

映画冒頭、主人公の一人ダニエル・ケルナーは、プロレスの試合会場で何かのブツを渡すように背後から声をかけられる。
どうやら恋人のジェーンが人質に取られている模様。
彼を追っていた組織は「WARDEX(ウォーデックス)社」。
そこで働いていたダニエルは、そこで知った秘密を「これは世間に公開すべきものだ!」と決意し、情報を持ち出して組織を抜けたのだった。
ジェーンを取り戻したダニエルは、情報端末とともに車を奪って逃走。
WARDEX社の包囲網はザルですw
ダニエルはジェーンと彼女の出身である修道院へ逃げ込み、彼女になぜ追われているのか教える。
ダニエルは情報端末を仲間に引き渡すために修道院から移動するが、「私もついていくわ」とジェーン。
どう考えても足手まといだろ・・。
ここでもう一人の主人公の気象予報士のマーガレット・フェアチャイルドにシーンが移る。
窓から入ってきた1羽の鳥を見つめると、何かの能力に目覚める。
知らない海外言語を喋ったり、相手の思考を読み当てて戦意喪失させたり。
そして生放送のカメラ前で未知の言語を口から発して意識を失う。
そこから彼女はよくわからない使命感に引っ張られるように病院を抜け出してダニエルのもとへ向かう。
ここからはスピルバーグらしい逃走劇やカーチェイス。
逃げ切ったと思うたびにWARDEX社のCEOであるコリン・ファースが、エイリアンから押収したアイテムを使ってジェーンの意識にダイブして場所を探り当てる。
CEOなのに現場の最前線で仕事して大変だなw
ジェーンは「私を信用しないで!」と手首を縛ってベッドに眠るが、そう思うんだったら今すぐに修道院へ帰れよと思うけどw
この映画、最初のうちは謎だらけなので興味が引かれて面白いのだが、全然謎が解明されていかないので後半飽きてくる(爆)
主人公二人の行動原理すらもハッキリしない。
ダニエルはなぜそれを「世間に公開すべき」と思ったのかもよくわからないし、ジェーンにおいては、なぜそこに向かっているのか自分でもわかっていない。
終盤にグレイタイプの宇宙人が出てきたときは「これはギャグでやってるのか?」と思ったし、いまさら「米国が宇宙人の存在を隠していました!」とか情報開示されても、「うん、ムーで読んで知ってた」としかww

スピルバーグが「E.T.」や「未知との遭遇」で部分的に描いた地球外知的生命体との交流。
その解答編としての三作目が本作であり、これはスピルバーグの遺言なのだ!…と考えちゃうとハードル上がり過ぎだな(^^;
実際、本作において“宇宙の謎”など全然情報開示されない。
それはスピルバーグ自身も意図している。

最後のシーンでグレイが主人公二人に何かを耳打ち。
それをテレビ画面で話そうとした瞬間にエンドロール。
「宇宙の謎は君達には教えないもんねー!」というスピルバーグの声が聞こえる結末となっている(^^;
何このスカし・・。

フォローするわけじゃないけど、スピルバーグぐらいの御大になると、まともな映画評なんて意味なくて、スピルバーグらしい映画のクセや表現を楽しめる人向け映画なんだよね。
だから映画がスピルバーグらしくなっていればそれでイイと思うんだよ。
おじいちゃんに過度な期待をしてはいけない。
(宮崎アニメやレジェンドプロレスラーの試合みたいなもんだよ)

スパイダー/増殖
2023年/フランス(アンプラグド)/パニックホラー
監督:セバスティアン・ヴァニセック
主演:テオ・クリスティーヌ(カレブ役)
2024年11月1日日本公開


映画冒頭。
どこかの砂漠で現地人(?)の数人が巣穴からあぶり出した蜘蛛のような虫を獲っている。
一人が刺されて苦しむが、気にせず捕獲する仲間達。
捕獲を終えると苦しむ一人に躊躇いなくナイフを振り下ろす。
プロローグの構成が「ブレインデッド」にそっくりだなw

場面変わって、その蜘蛛の一匹がパリ郊外の地下雑貨店で売られていた。
それを見つけた青年カリブは購入してアパートに持ち帰る。
だがその夜、蜘蛛は逃げてしまう。
ボヤボヤしているうちに蜘蛛は増殖。
1人目の犠牲者が出るが、原因は判明せず。
次に浴室で1匹を発見。
「殺して!」「殺すな!」「俺は殺さない主義だ!」とパニックw
そうこうしているうちに子グモがワラワラ。
大量増殖した蜘蛛はアパート内の住人達を次々と犠牲にしていく。
カリブとその仲間達はアパートを脱出しようと試みるが、1人目の犠牲者によって住民は閉鎖されたアパートに隔離状態。
出させてくれない。
蜘蛛の特性でどんどん大きい個体が生まれてくるという設定は、映画として後半に行くにつれて危機が高まって良い設定。
終盤は「そんなバカな!」って大きさになる。
スティーブン・キングの世界みたいだ。
蜘蛛殲滅作戦中の警官隊にボコられて一行は地下駐車場へ連行される。
仲間の一人がすでに蜘蛛に噛まれてて、命と引き換えに蜘蛛のいる扉を開ける。
ワラワラ出て来る蜘蛛に警官隊は銃撃戦。
大量の蜘蛛に銃乱射で対抗できるわけいやろ(^^;
警官隊がパニックの間に生き残った3人は車で脱出するのだった。
最後は「やっと脱出できたと思ったら、外の世界も蜘蛛だらけ」ってオチかと思ったら違った。
あれだけ蜘蛛がいたら、アパートの外へ出てると思うけどね。
光が苦手って設定だけど、下水道だって通じてるだろうし。
ところで「蜘蛛に噛まれてたらもうダメ」みたいなゾンビ的な設定があったけど、噛まれたら体内に卵産み付けられるんだっけ?
閉鎖空間での毒虫パニックという意味ではテンポ良く上手い構成だったけど、細部の設定の粗さが邪魔して突き抜けた評価にならない映画であった。
 

スマッシング・マシーン
2025年/アメリカ(ハピネットファントム・スタジオ)/ドラマ
監督:ベニー・サフディ
主演:ドウェイン・ジョンソン(マーク・ケアー役)
2026年5月15日日本公開

 

日本の格闘技シーンで名を馳せたマーク・ケアーやマーク・コールマン。
彼ら取材したドキュメンタリー『The Smashing Machine』が2002年に公開されており、それをもとに劇映画化したのが本作という事になる。
1997年の総合格闘技デビュー以来、連戦連勝で“霊長類ヒト科最強の男”と呼ばれたマーク・ケアー。
だがそんなケアーは激しい戦いによって体はボロボロで、強い鎮痛剤に依存。
また、自らのエゴをぶつけてくる毒女の彼女ドーン・ステイプルズに私生活でも精神をすり減らす。
そんな中でPRIDE.7に参戦するが、イゴール・ボブチャンチンにグラウンドからの膝蹴りで失神K.O.となる。
のちに4点ポジションでの膝蹴りは反則であった事から無効試合となるが、ケアーは恋人との仲がさらに悪化し、薬物の過剰摂取で倒れてしまう。
再起を図るためにバス・ルッテンのもとへ再調整に向かう。
なんとバス・ルッテンを演じているのはバス・ルッテン!
ケアーは最高のコンディションを作り上げて、PRIDE GRANDPRIX 2000 開幕戦の無差別級グランプリ1回戦でエンセン井上に判定勝ち。
続いての2回戦を前に再び恋人ドーンと衝突。
ついにケアーは彼女を家から出ていかせる。
ドーンは「来週のパーティを楽しみにしてたんだから、このことは明日話し合いましょ」なんてネジの外れた事を言う。
絶望したドーンは自殺未遂を図る。
動揺したケアーは試合中にフラッシュバックが起こり、2回戦で藤田和之に判定負け。
一方、ケアーのコーチを務めていたマーク・コールマンは、同グランプリで優勝。
ケアーはシャワー室で一人静かに笑う。
次のシーンでは現在のマーク・ケアー本人がスーパーで買い物をする映像が流れる。
ナレーションで語られる。
「マークは敗戦のあとドーンと再会し、その10日後にラスベガスで結婚した。
結婚生活は6年間続き、息子を1人もうけている。
マークは2009年に競技生活を引退した。ケアーとコールマンは共に総合格闘技の先駆者である。」
えーー・・あの毒女となんで復縁したの・・。
これは映画なのに、ドキュメンタリー『The Smashing Machine』を基にしている事で、結局何を伝えたい映画なのかボンヤリしたものになってしまった。
一流のアスリートとそれを理解しない家族(恋人)との関係を築き上げていく話だとしたら、彼女が一人の女性として成長する姿が全く描けていない。(それが事実だからそうなんだけど)
総合格闘技の先駆者としての偉大さや悲哀を描いた話だとしたら、初期の連戦連勝だった頃も、後期の連戦連敗だった頃も描いていないのは謎だ。
この映画だけ見ると、トップアスリートに理解のない毒女の影響で、大事な試合を落とした格闘家としか映らない。
また、ケアーにとって最も過酷な戦いだった薬物依存についても、あっさりと劇中で克服してしまう。

ドウェイン・ジョンソンの抑えた演技と格闘家そのものの見事な体は素晴らしかった。
あれ特殊メイクなのかな?
ドウェイン・ジョンソンよりもマーク・ケアーに近い顔つきに仕上がっていた。
他にも榊原信行役を大沢たかおがやっていたり、布袋寅泰が当時を再現する君が代の演奏をリングでしていたりw
エンセン井上役を石井慧が演じていたのはややこしかったな。
石井慧もMMAで活躍した選手だしな。
藤田和之役は藤田和之にやって欲しかったな。まだ現役のプロレスラーだからやれただろうし。

映画としてはドキュメンタリー寄りでイマイチ脚本が弱い作品だったけど、PRIDEを最初から最後まで観てきた人間にとっては、その一幕が映画化されているのを観るのは面白かったよ。
余談だけど、劇中に「PRIDE」は「PRIDE」として描かれているわけだけど、いま「PRIDE」の権利はUFCが持ってるから交渉しやすかったんだろうね。

あと余談も余談だけど、ケアーが転落する起点となった「4点ポジションでの膝蹴り」は、2001年の「PRIDE.13」からルールの全面改訂によって解禁になっている。

八つ墓村(2026年版)
2026年/松竹、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/サスペンスホラー
監督:清水崇
主演:尾上松也(金田一耕助役)
2026年9月18日日本公開

 

内定ゼロで彼女なしの大学生・井川辰弥は、幼き日に生き別れとなった母親・井川鶴子の訃報を受けて、岡山の山奥にある「八つ墓村」を訪れる。
バスで居合わせた探偵の金田一耕助は、辰弥を連れて田治見家へ。
そこで辰弥は、自分が田治見家の血を受け継ぐものである事を聞かされる。
そこから田治見家の謎に迫る不可解な連続殺人事件に巻き込まれていく。

1977年に野村芳太郎監督が撮った『八つ墓村』。
その作品にはもの凄い影響を受けている。
今まで見た映画の中で一番怖かった映画は何か?と言われたら、野村芳太郎監督版『八つ墓村』が思い浮かぶくらいだ。
そんな重要な映画作品を日本を代表するホラー監督“清水 崇”がリメイクする。
直球勝負で野村芳太郎版と同じ路線で今風の恐怖表現を入れてくるのか?
それとも野村芳太郎版とは違う角度で『八つ墓村』を自身の得意なフィールドでリイマジニングするのか?
その点で非常に興味深い作品が本作、清水崇版『八つ墓村』であった。
結果としては本作は後者(リイマジニング)を選択した作品となっていた。
まず時代設定を現代の話にした。
それにより、“戦後間もない混沌とした時代での因習に支配された閉鎖的な集落”といった横溝正史ワールドの臭いがかなり薄まっている。
だけどキャラクター設定や舞台設定を中途半端に引きずっているから、何かテーマパーク感が強い(^^;
金田一耕助も原作の雰囲気のまま現代で通用する服装をしていて、なんだか変人臭がスゴイ。
その性格設定もウザキャラで、これまでの金田一耕助とは良くも悪くも異質だ。
(といっても1951年版の片岡千恵蔵も1977年版の渥美清も異質ちゃー異質だけどw)

そして野村芳太郎版とのもう一つの大きな違い。
野村芳太郎版の核となる構成は、表向きはミステリーであり、「田治見要蔵の三十二人殺し」も「寺田辰弥の周囲で起きた殺人事件」も、「最後に燃え盛る田治見家のお屋敷」も、全て説明がつく事件としながらも、それらは村人に騙し討ちされた落ち武者の怨念に結びついている・・といったところであり、一番恐怖を感じる点だった。
ところが本作は“事件を起こしたのは怨霊の仕業”という建て付けで描いており、ミステリーである事を放棄し、ホラー映画へとリイマジニングしている。
こうなると金田一の名推理もハッピーエンドへ導く武器にはならず、「この事件は僕の手に追えるものではありません」というセリフまで吐かせる事になる。
ホラー映画の旗手である清水崇監督が選択した方向性としては間違ってはいない。
お面にまつわるギミックは面白かった。
ただ顔が変異したあとの森美也子は、造形っぽ過ぎて萎えた。
恐さという点では血の涙を流しながら追いかけてくる野村版の森美也子が圧勝。
清水監督のホラー描写は代表作である『呪怨』の頃とは変わっており、エンタメホラー路線にシフトしていると感じる。

ちなみに原作での井川鶴子は、田治見要蔵に監禁されて強制的に妾にされながらも、鍾乳洞で恋人である亀井陽一と逢引きしており、二人の間に寺田辰弥が生まれている事が判明する。
つまり辰弥は田治見家への呪いの連鎖からは抜け出せた事でハッピーエンドとなるのだが、本作では鶴子は田治見要蔵の愛人であり、血は受け継いでいる事から、おそらくはその後、何らかの方法で呪い殺されたんだろうなと思う(^_^;
まあ、ホラーなんだからバッドエンドでも良いのだろう。

本作は原作『八つ墓村』を題材とした二次創作と考えると、とても見やすいホラー映画だったと思う。
原作のジメジメとした湿度の高さを廃した八つ墓村ホラーアトラクションムービーなのだ。
それにしても清水 崇監督、忙し過ぎでしょ。
2026年公開の映画だけでも「八つ墓村」「だぁれかさんとアソぼ?」「口に関するアンケート」と、3本もの映画を監督している。
本作の制作期間がどれぐらいだったのかはわからないけど、もっと時間と予算をかけてもいい題材だったと思うよ。