W.R. WEAVER MODEL 344 RIFLE SCOPE の完全修復記録 | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

ギター、双眼鏡、オーディオ、 趣味関連の記事を書いていく予定です。
皆さんが、より幸運に恵まれ、より豊かになりますように。。。
愛念の願いを込めて、Be Lucky Rich More です(^^)
私自身が、ワクワクドキドキ出来る事だけを記事にします。
〜 SINCE 2015.4.8

注 ※ 本ブログは、極力 PC版にてご覧になられる事をお勧め致します。

   スマートフォン版だと、非常に読み辛いかと思います。

 

 

実は年に1度か2度くらいの割合で、

 

双眼鏡以外の光学機器の修理依頼を頂くのだが、

 

今回も、その例と言える。

 

 

双眼鏡ファン、双眼鏡マニアの方々からすれば、

 

少々違った分野の話題となってしまうかも知れないが、

 

「戦前のヴィンテージ光学機器」と言った点では共通するので、

 

宜しければ、お付き合い頂ければ幸いである。

 

 

さて、今回の記事で紹介させて頂くのは、

 

W.R. WEAVER MODEL 344 RIFLE SCOPE と言う、

 

1934年辺りから、第二次世界大戦頃に使用されていた、

 

狙撃手用のライフルスコープらしい。 倍率は4倍だ。

 

 

 

 

 

 

1936年当時の広告

 

 

 

 

 

 

ちなみに、WEAVER SCOPE には、歩兵用等も含めて、

 

いくつかの種類があり、当時は非常に人気があったようだ。

 

 

私は専門外なので、全く詳しくは無いのだが、

 

本機 MODEL 344  4× は狙撃手用で、

 

他の機種に比べて、レアなモデルらしい。

 

 

 

本機のオーナー様は、入手は出来たものの、

 

レンズがかなり曇っていて、殆ど視界が見えず、

 

何とか修理して使用したいと、

 

色々と問い合わせをされたそうだが、何処からも断られ、

 

最後の一抹の望みを託して、専門外を承知の上で、

 

拙宅に問い合わせをされたそうだ。

 

 

ライフル用のスコープと言うのは、本来は全くの専門外なので、

 

正直、修理が可能かどうかも分からないが、

 

何とか修理して使いたい、元の機能を復活させたい、

 

と言う、オーナー様の気持ちは、痛い程 理解出来るし、

 

私自身、過去に何処からも断られ、たらい回しをされて、

 

無念な想いを何度も何度も経験しているので、

 

同じような経験を極力させたくはなく、

 

故に、安易に断りたくは無い、と言うのが、

 

創業以来のポリシーの一つでもある。

 

 

また、オーナー様のモノに対する並々ならぬ愛情も伝わり、

 

私自身、何とか元の状態に蘇生させてあげたい、

 

と言う気持ちになり、ダメ元という条件の元で、

 

引き受けさせて頂いたのであった。

 

 

 

さて、拙宅の元に届いた WEAVER SCOPE MODEL 344 は、

 

確かにオーナー様の言われるように、光学系の曇りが酷く、

 

カビも大量に発生していた。

 

これでは確かに、実用は難しいだろう。

 

 

まずは、分解が可能かどうか!?それが最大の問題である。

 

そもそも、どんな構造なのかも未知数である。

 

 

私は双眼鏡でも、いつもやっている事だが、

 

「対話」を非常に大切にしている。

 

対象機器との対話である。

 

 

こう書くと、頭がおかしいと思われるかも知れないが、

 

仕事として割り切ったり、作業として捉えるのではなく、

 

要は、愛情を持って機器と接する、と言う事であり、

 

マインドセット、姿勢や在り方の問題の事である。

 

 

実際に、私は双眼鏡達を「モノ」と思っていない。

 

否、モノではあるかも知れないが、

 

そこには確かに、魂が宿っていると、そう信じているのである。

 

 

これまでも何度も、途中で行き詰まってしまい、

 

音を上げ、諦めそうになった事があったのだが、

 

そんな時は決まって、双眼鏡を目の前にして向き合い、

 

時には何時間も、対話を行うのである。

 

 

確かに、双眼鏡を目の前にして、

 

大の大人が語りかけている姿は、

 

人から見れば、異常者以外の何者でもないだろう。

 

 

しかしながら、非常に不思議な事なのだが、そうしていると、

 

フッとアイデアが降りて来て、そこからスムーズに流れ始める、

 

と言った経験が、これまでにも何度もあったのだ。

 

 

その瞬間、私は対象機器と、心が、魂が、

 

気持ちが通じ合えたのだと思っている。

 

愛を持って事に当たれば、愛を持って返してくれる、

 

そう思えてならないのである。

 

 

今回も、当初は分解の糸口が全く掴めず、

 

途中で完全に行き詰まってしまった。

 

 

そこでじっくりと、このスコープと向き合い対話を行なった。

 

今回は数日に渡って、何度も対話を行なった。

 

 

すると、やはり今回もアイデアやヒントが湧いて来て、

 

それを元に、頭の中で色々とシュミレーションをイメージし、

 

結果、全て完全に分解する事が出来たのであった。

 

 

想像していたよりも部品点数も、レンズ枚数も多く、

 

初めて目にする部品も多々ある。

 

 

ある意味、非常にシンプルで、極めてアナログ的な、

 

原始的とも言える構造であった。

 

 

また、全ての鉄製の部品や鏡筒には、ブルーイング処理が施されており、

 

特に、鏡筒のブルーイング処理は非常に美しいものであった。

 

この辺りは、銃器系ならではである。

 

ガンマニアには、この表面処理は堪らないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンズは5枚構成となっており、5枚全てに曇りやカビが確認された。

 

接眼部は、ピントリングとなっており、ピントの調整が出来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

全てのレンズのクリーニングを行う。

 

 

 

 

 

 

 

これは双眼鏡には見られない、

 

スコープらしいと感じる部品の一つである。

 

 

 

 

 

 

 

スコープには、狙撃用の十字のレティクルが見られるのだが、

 

何と、一般的なレティクルレンズではなく、

 

真鍮製の部品に、髪の毛よりも更に細い、

 

ピアノ線のような極細の金属線が十字に張られてあった。

 

何とも原始的な手法である。

 

と同時に、少しの衝撃でも破壊されそうな、

 

極めてデリケートな部品でもある。

 

 

 

 

 

 

クロスヘアライン レティクル等と呼ばれているらしく、

 

破壊されて十字のレティクルが現存しない個体も多いようだ。

 

確かに、分解時に少しでも衝撃が加われば、

 

たちまち線が切れてしまいそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンズとレンズの間には、アルミ製や紙製?のような、

 

ワッシャーが何枚も組み込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはレティクル調整の為のダイヤル部品だ。

 

着弾の上下左右を微調整する為のダイヤルである。

 

 

ダイヤルを回すと、先のレティクル部品が、

 

上下左右に連動して動く仕組みである。

 

 

当初は欠損していたのだが、何とも幸運な事に、

 

オリジナルパーツを入手する事が出来たので、

 

それを補填させて頂いた。

 

ダイヤルを回すと、クリック感も感じられた。

 

 

こうした幸運に恵まれたのも、決して偶然ではなく、

 

このスコープと気持ちが通じ合えたからこその

 

ギフトだったと感謝している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダメ元で、お引き受けさせて頂いたのだが、

 

何とも幸運な事に、ほぼ完全に修復する事が出来た。

 

 

完成したスコープを覗き、ピントを合わせると、

 

この時代のヴィンテージ双眼鏡にも通じるような、

 

ノンコートながらも、コントラストのハッキリした、

 

味わい深く、非常にクリアで精密な像を見せてくれた。

 

単眼鏡と考えても、非常に良い見え味である。

 

なるほど、当時人気が高かった訳である。

 

 

本機が見せてくれる視界と十字レティクル。

 

撮影画像ではボヤけ気味だが、

実際の像は、もっと精細でシャープである。

 

 

 

 

 

少し前の記事で紹介させて頂いた、

 

CARL ZEISS JENA M.Blink 16 を彷彿させられた。

 

倍率も同じ4倍である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に、銃に取り付ける為のオリジナルマウントも、

 

運良く入手出来たので、取り付けて完成である。

 

 

 

 

 

 

 

これでスコープとして、当時の狙撃手が見た世界を、

 

垣間見る事が出来るだろう。

 

 

そして何よりも、スコープ自身が歓喜しているように、

 

私には感じられたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狙撃等と言うと、何とも物騒ではあるが、

 

そう言えば昔「山猫は眠らない」と言う映画のシリーズが、

 

大好きであったのを思い出した。

 

 

最後に、オーナー様から後日頂いたメールを、

 

転載させて頂き、本記事を締めたいと思う。

 

 

貴重な機会と、素晴らしい出会いを頂き、

 

本当にありがとうございました。

 

感謝

 

ーーーーー以下 オーナー様よりーーーーー

 

先程外に持ち出して色々確認してみましたが

見え方が素晴らしいですね、

自分の目で見ているのをそのまま倍率のみ上げた感じで

とてもクリアに見えました。

 

以前のボロボロの感じとは全く思えません…

とても良い仕上がりです。

 

全てにおいて満足度が高く、

依頼して本当に良かったと思います。

快く引き受けて下さり本当にありがとうございます。

 

海外の他の実物スコープやダットサイトもさわるのですが

それに負けず劣らずの性能でビックリしました…

成る程、アナログとはいえ思っていた以上に

複雑というか繊細な中身だったんですね…

 

本当にありがとうございました。

今後大切にしていこうと思います。

 

 

 

 

〜 お陰様で5周年 〜

皆様方には、心より感謝申し上げます。

 

ヴィンテージ 双眼鏡 修理 販売  専門サイト

CARL ZEISS JENA、HENSOLDT、CARL ZEISS

LEITZ 、Nippon Kogaku 、KAIKOSHA、etc... 

https://blrm-yz.com/