日本の名機 Nikon 8×30 8.5° 修理 & 完全オーバーホール | BLRM ブラッキー リッチモア ~ Be Lucky Rich More!! のブログ

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〜 SINCE 2015.4.8

 

今回、ご縁あって、日本のポロ機の名機であり、

 

長年、バードウォッチャーの間でも、

 

永遠の定番品となっていた、Nikon 8×30E の元祖とも言える、 

 

Nikon 8×30  8.5°  

 

オーバーホールをさせて頂く事となった。

 

 

ヴィンテージ ZEISS ならぬ、

 

ヴィンテージ Nikon である。

 

 

何でも、オーナー様は、本機を 40年以上 愛用され、

 

この度、光軸が狂ってしまった為、

 

メーカーに 修理依頼を出されたそうだが、

 

修理不可で、返却されたそうだ。

 

 

 

「 もはや 単眼鏡化するしかないのか、、、」

 

と、諦めかけていた所、

 

拙宅のサイトを偶然知り、依頼を頂く運びとなった。

 

 

大変有り難く、光栄な事に、ZEISSやNIKON 、

 

はたまた、ドイツのドクター社 等で、

 

修理不可で返却された製品の依頼も、少なくない。

 

 

 

 

さて、送られて来た Nikon 8×30  8.5°  は、

 

何とも 凄まじいオーラを放ち、私は一目見て、

 

これは、とても良い双眼鏡だ、 と直感した。

 

 

 

「良き道具」 としての

 

ただならぬオーラを、プンプンと漂わせており、

 

どこか軍用双眼鏡のような、質実剛健 な感じが、

 

堪らなく 格好良い双眼鏡であった。

 

 

では、メンテナンス前に撮影した写真を、

 

何枚か載せておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

何とも、良い 面構えである。

 

 

 

 

道具としての、使い込まれた感があり、

 

シンプル イズ ベスト の極致と言える、

 

機能美が、とても美しい一台である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早速、簡単にチェックさせて頂いたが、

 

オーナー様がご指摘の通り、

 

光軸にかなり狂いが出ているようであった。

 

 

これだけ狂っていると、覗いた時に、

 

頭がクラクラするだろうし、目も痛めるだろう。

 

 

 

しかし、それだけではなく、プリズム、レンズには、

 

曇りやカビも、発生していた。

 

 

 

 

 

 

 

長年、使い込まれて来たのだろう。。。

 

 

当初は、光軸調整のみの依頼であったが、

 

現状を お伝えさせて頂き、結果的には、

 

光学系のクリーニングや光軸調整も兼ねて、

 

完全な状態に、オーバーホールをする事を希望された。

 

 

 

 

 

まず、上陣笠を開けると、通常 デルトリンテムや、

 

オーバーコッヘン等、ZEISSのポロ機は、

 

陣笠を固定する為の、ゴマネジが一箇所なのに対して、

 

2箇所もゴマネジが使われている、

 

と言った 念の入用だった。

 

 

これを見るだけでも、本機が非常に丁寧に

 

造られている事が垣間見れる。

 

 

 

 

 

 

 

接眼側のプリズムカバー等を外した状態。

 

超巨大なプリズムが、確認出来る。

 

 

 

 

プリズム押さえの金具は、

 

焼入れがされているようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

接眼側のプリズムは、

 

左右非対称の形状で、非常に大きく、

 

感覚的には、カールツァイスイエナの

 

ビノクテム7×50 くらいの大きさがあった。

 

8×30のポロ機としては、かなり巨大なプリズムである。

 

 

 

 

 

経年劣化からか、プリズム内のガラスに気泡が出ている。

 

当初は、汚れと曇りで、気泡の存在も分からなかった。

 

 

 

プリズムを殺菌&クリーニングさせて頂いたが、

 

延べ数時間を要しただろうか・・・

 

結果的には、数日掛かりでのクリーニングとなった。

 

 

拭いても拭いても、曇りがなかなか取れず、

 

一見、綺麗になったように見えても、

 

翌日 確認すると、再び 曇りが出て来ている、

 

といった様子で、完全に曇りを取り切るまでに、

 

大きさも相まって、非常に手強かった。

 

 

 

 

 

フォーカスリングも、かなり汚れ、

 

錆も浮き始めていたので、磨かせて頂いた。

 

 

 

 

After

 

 

 

 

 

 

しかし、この フォーカスリング、何処かで見たような・・・

 

と思っていたら、カールツァイスの名機、

 

オーバーコッヘンに そっくりな事に気付いた。

 

 

形状、構造、そして目盛りの書体に至るまで、

 

そっくりである。

 

 

 

 

接眼部も汚れが酷かったので、

 

クリーニングを行った。 

 

砂のような異物も確認出来る。

 

 

 

 

クリーニング後。 非常にスッキリとした。

 

プリズムカバー、羽根、止めネジも磨かせて頂いた。

 

 

 

接眼レンズの汚れと曇り。

 

コーティングの反射も、ボヤケてしまっている。

 

羽根裏も、かなり埃が溜まっていた。

 

「R」 の文字も、確認しづらい。

 

 

 

 

 

 

 

クリーニング後。 非常にスッキリした。

 

青紫のコーティングも、綺麗に浮き出ている。

 

 

 

 

 

対物レンズ枠にも、砂のような異物の付着が、、、

 

対物レンズ枠には、

 

偏心リングを固定する為の、ネジが確認出来る。

 

 

 

 

 

見るからに、緻密な工作精度の造りの良さである。

 

また、この部分もオーバーコッヘンにそっくりだ。

 

 

 

 

対物側のプリズムカバーを外すと、

 

プリズムには、遮光カバーがなされていた。

 

どこまでも、手抜きのない造りに、感心させられる。

 

 

 

 

遮光カバー。

 

 

遮光カバーを外すと、プリズムが現れる。

 

対物側のプリズムは、形状的にも大きさ的にも、

 

一般的な、8×30のモノである。

 

 

 

プリズムの台座。

 

 

 

 

 

プリズムには、明らかな カビが確認出来る。

 

 

 

 

殺菌&クリーニングを行う。

 

早めの処置が幸いして、カビ痕も残らなかった。

 

 

対物側のプリズムも、結果的には

 

汚れと曇りを取り切るまでに、数日掛かりで

 

様子を見ながら、数回クリーニングを行った。

 

 

 

 

 

対物レンズも、カビが発生していたので、

 

殺菌&クリーニングを行った。

 

 

 

 

 

 

 

接眼レンズ、対物レンズ、全てのプリズムの、

 

殺菌と、クリーニングが終了し、

 

光軸調整をして、最後に外装のクリーニングを行う。

 

 

工作精度が極めて良い為、

 

上下左右共に、限りなく 0度0分の誤差まで、

 

光軸調整を追い込む事が可能である。

 

 

以下の画像のようなイメージだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネジにも、錆が出ていたので、錆を落とし、

 

磨かせて頂いた。

 

 

 

外装も、光学系も、すっかり蘇った NIkon 8×30 8.5°

 

とても魅力ある、美しい双眼鏡である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、本機をこうして、メンテナンスを行う事で、

 

あらためて、細部まで 観察させて頂いたが、

 

先程にも書いたように、カールツァイスの名機、

 

オーバーコッヘン CARL ZEISS Oberkochen 8×30

 

に、構造的にも、外観的にも、非常によく似ている事を、

 

あらためて、発見する事が出来た。

 

 

以前、トヨタがセルシオを開発する際に、

 

メルセデスを徹底研究したように、

 

恐らくは、NIKONの開発陣は、

 

オーバーコッヘンを徹底研究し、

 

それをベンチマークとして、

 

本機の開発を行ったものと思われる。

 

 

もっとも、その オーバーコッヘンは、

 

デルトリンテムをベースに開発されたのだから、

 

先祖は同じデルトリンテム、と言う事になる。

 

 

やはり、デルトリンテムはポロ式双眼鏡の元祖的存在なのである。

 

 

Nikon 8×30E の方は、形状的にも、

 

デルトリンテムに似ているように思うのだが、

 

本機は、どう見ても オーバーコッヘンに似ている。

 

何とも興味深い。

 

 

 

参考までに、オーバーコッヘンとの 2ショットを

 

載せておこうと思う。

 

まるで、兄弟のように 両者が 非常によく似ている事が

 

分かるのではないだろうか!?

 

 

オーバーコッヘンの軍用バージョン、

 

と言っても通用すると思えるほど、

 

両者はそれほどよく似ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Nikon 8×30 のコーティング色は、

 

ヘンゾルトのものに、非常によく似た色合いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

また、両機は見え味も 非常によく似ており、

 

明らかに、デルトリンテムよりも、

 

オーバーコッヘンに近い傾向の見え味で、

 

デルトリンテムとは、全く方向の違う見え味である。

 

 

若干、オーバーコッヘンよりも、

 

Nikon機の方が、あっさりと 淡白な画で、

 

コントラストも低めではあるが、

 

両機を交互に 覗き比べてみたが、とてもよく似ていた。

 

 

 

ともあれ、 「日本の良心」 を垣間見る事が出来るような、

 

非常に丁寧で緻密、且つ頑丈 頑健 な造りであり、

 

ある意味、私がこれまでに経験してきた Nikon機の中で、

 

それは、日本光学時代のモノも含めてであるが、

 

個人的には、最も印象の良い1台であった。

 

 

 

必要十分以上に、シャープな中心像、

 

明るく、スッキリとした像、周辺の歪みも少なく、

 

昨今のような、やり過ぎと感じさせるような、

 

コントラストの強調もなく、程良いコントラストで、

 

デジタル処理画像の如し、不自然さもない。

 

 

世界の光学の頂点であり、帝王である、

 

CARL ZEISS を模倣したとは言え、

 

日本のモノ作りの原点を、そして、

 

Nikonの底力を、見せ付けられたような思いである。

 

 

さすがに、 WX のような、超弩級の双眼鏡を、

 

世に出すだけのことはある。

 

 

 

日本には、Nikon がある!! という事を、

 

誇りに思わせてくれる、

 

そんな素晴らしい双眼鏡であった。

 

 

 

このような素晴らしい機会を与えて頂いた、

 

オーナー様には、この場をお借りして、

 

深く感謝申し上げる次第である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 

感謝

 

 

 

 

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