こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
カンヌ映画祭で史上最年少での男優賞受賞。そんな衝撃的ニュースが世界を駆け巡ってからはや13年。当の少年はすっかり成人した若者に。面構えも凄みが加わり迫力アリ。
gonzalez好みの色濃き太眉の暑苦しいルックスは一度見たら忘れ得ぬ印象。
柳弥優弥
彼を少々薄めに仕上げた感じで、イメージ的に似てるっちゃあ似てる。個性的な顔立ち。
村上虹郎
近年主演・出演映画が大量生産されていて、もはやどんな役柄もOKです。みたいな。
菅田将暉
一応柳弥と菅田のW主演。村上が助演に廻る。
『ディストラクション・ベイビーズ』 (‘16) 108分
梗概
四国のとある港町で喧嘩に明け暮れる柳弥18歳。ある日を境に出奔し、繁華な街で高校生だろうがヤクザだろうが相手かまわず通り魔的犯行を繰り返すようになる。
そんな彼に魅かれた菅田が、行動を共にすることに。ヤクザのメルセデスを強奪し、他の町へと移動しつつ暴れ回る算段。が、後部シートに小松が乗っていた。仕方なく無理やり彼女を連れて行く。
しかし、17人に重軽傷を負わせる騒ぎを起こす二人を撮影した動画が出回り警察も動き始める。しかも、小松の運転で農夫を轢いてしまい冗談で済まない状況に陥る。そこで彼女は故意に事故を起こし現状打開を試みるが…。
いやもう柳弥優弥のイカレっ振りがハンパ無い。『闇金融ウシジマ君PartⅡ』出演時のキャラを髣髴とさせる。が、もっとどストレートに暴力指向むき出しで、破滅願望が見え隠れする危険人物。GMK(‘01)のゴジラ並みの狼藉者である。
→レベル4の暴力度『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』
鬱屈した日常生活=人生の閉塞感を突き破りたい。ぶっ壊したい。自己存在価値を実感したい。という欲動が屈折して溢れ出た末、通り魔的に喧嘩を吹っ掛ける姿はあまりにも痛々しい。
しかも、相手はミュージシャン、金髪高校生、ちんぴらヤクザ、その上のヤクザ、その他とっぽい格好した連中。人数も1人~10人前後で見境なし。そりゃ袋だたきにされるわな。
で、やられたら執拗にまとわりついて何度でもトライ。勝つまでやる。
殺すなら殺してみろってんだよ。その前にてめえら全員ぶっ殺す。みたいに一直線。
この街で初めての獲物を仕留めた後、公園の水道で血を洗い流して仰向けになり爽やかな空を満足げに見上げる。生きていることを実感するひと時。
殴打される痛み。殴る拳の痛み。それら己の肉体の痛み。これこそが生命の証し。暴力で他者を屈服させることにより自己の存在価値を確認する。
だから彼の暴力指向って恐らくはリストカットと似たような感じなんだろうな。正直言ってきちんとした治療が必要なレベルです。はい。
しっかし、とんでもない映画を観てしまった、と後悔の念すら覚えた。あまりにも深刻過ぎるだろ。これ。救いも無さ過ぎる。
じゃあ、なんでこれをチョイスしたのか。そらぁ柳弥が観たかったから。それに今をときめく菅田も出てるし。
しかも事前には知らなかったんだが、幸いなことに村上もいたし。何故か売れてる小松菜奈。
ヤクザもできるんだ池松壮亮。
その他、北村匠海、岡山天音らも出演していて。錚々たるメンバーでしょ。
彼ら若手俳優たちの仕事ぶりを確かめたかったんだけど、しかしこれは…。
でも柳弥はやっぱり凄いね。キャラと本人が合一しているとしか思えない。つまり演技に見えないんだよ。地でやってる感じ。昔の言い方だと、演技派というより性格俳優。
こうなるともう、フツーの役が遠のいていくんじゃないだろうか。ちょっとサイコ野郎みたいな役柄ばっかりになちゃったりして。老婆心ながら心配しています。
そういやTVドラマ『ゆとりですがなにか』も特異なキャラだったし。
ところで、菅田将暉と小松菜奈だが、この後公開された『溺れるナイフ』では一転親密な関係を演じるのだから出演オファーというのも分からないものだ。
何しろ本作においては菅田と小松が攻守ところを変えての暴力罵詈雑言の嵐。彼女『ジョジョの奇妙な冒険』でも凄みの効いた芝居が期待できそうだ。
最後に前半冒頭部の兄・柳弥と後半最後部の弟・村上による反復場面が強い印象を残す。
弟も兄と似たような外道に落ちる暗示なのか。気掛かりではある。劇中で弟も兄同様に暴発しそうな雰囲気がむんむんしていた。弟には早期のカウンセリングが望まれるな。
ま、フィクションに対してこんなこと心配するのもどうかと言われそうだが、ちょっと人ごとでは済まされない気がして…。
ついでだが、喧嘩シーンが超リアル。実際の乱闘もあんな感じだ。殴り合いよりも取っ組み合いになりやすいし。
野球のミットでボールをキャッチする音。その高音部をカットして音量を低くし、ややくぐもった音に細工した感じ。それが殴打する時の音。よくできていると感じた。
*阿鼻叫喚。通り魔通行中*
ああ、暗い気分だ。暑苦しい真夏の昼も薄暗がりになった。
本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。