ポワチエからワシントンまで~黒人オスカー歴代史で見る米国社会情勢~その2 | 徒然逍遥 ~電子版~

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こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。

 


先回はシドニー・ポワチエが時代と世間に求められた役柄を概観した。それは“白人らしい黒人”というキャラクターだった。


では“アメリカンニューシネマ”“ブラックスプロイテーション映画”以降どのような黒人像が登場してきたのか。
それはより現実的なイメージ投影による多様化ととらへることができるかもしれない。
ある程度のステレオタイプ化は免れないとしても“黒人も多種多様”みたいなリアル感覚が働き始めたんじゃないだろうか。

つまり良い者もいれば悪い者もいるし裕福な者もいれば貧乏な者もいる。学歴も色々。職業も色々。みたいな。


そして黒人主役の“ブラックスプロイテーション映画”以降大勢の黒人俳優が目立ってきた。
代表選手はリチャード・ラウンドトゥリー『黒いジャガー』シリーズ主役のシャフト)、カール・ウェザース『ロッキー』シリーズのアポロ)、ビリー・ディー・ウィリアムス『スターウォーズ』シリーズのランド・カルリシアン)、ヤフェット・コットー『007死ぬのは奴らだ』ボスキャラのカナンガ、『エイリアン』乗組員パーカー)らが有名どころか。

 リチャード・ラウンドトゥリー  カール・ウェザース

*リチャード・ラウンドトゥリー*    *カール・ウェザース*


ビリー・ディー・ウィリアムス  ヤフェット・コットー
   *ビリー・ディー・ウィリアムス*         *ヤフェット・コットー(前右)*

 

一足先にジェームズ・アール・ジョーンズ『スターウォーズ』シリーズのダースベイダーの声)が『ボクサー』 ('70) で主演賞にノミネートされたしルイス・ゴセットJr.『愛と青春の旅立ち』 ('82) の鬼軍曹役で助演賞を受賞する。
 ジェームズ・アール・ジョーンズ  ルイス・ゴセットJr
*ジェームズ・アール・ジョーンズ*        *ルイス・ゴセットJr.*

だが主役ではなくいずれも名脇役として知名度がアップするにとどまる。
そこに登場するのがエディ・マーフィーだ。

エディ・マーフィー

*エディ・マーフィー*


コメディアンとしての活動は以前からあったが1982年『48時間』ニック・ノルティの相棒役で主役を務める。
ダメダメ感いっぱいの冴えないノルティに対しグレンチェックで6ボタン下一つ掛けダブルブレステッドのスーツでフラワーホールが胸ポケットの脇に来るほど位置の下がったカラー。そして白いシャツにカラークリップといった遊び心いっぱいの街着で超かっこいい。

48時間DVD

*『48時間』DVD*
 

しかも機知に富むスマートさとユーモアのセンス抜群でケンカも強い。

『ビバリーヒルズ・コップ』 ('84) のプロトタイプに思えるね。


その『ビバリー~』での大成功をばねにしてパート3まで製作。
『星の王子ニューヨークへ行く』『ドクター・ドリトル』『ナッティ・プロフェッサー』『シュレック』(声優)などを経て『ドリームガールズ』 ('06) で助演賞候補。ゴールデングローブ助演賞受賞。コメディアンとしての才のみならずきっちり芝居もこなせる芸達者ぶりを見せつけた。


しかし当初は黒人にありがちなコメディアンの守備範囲内での演技ばかりだったことは否めない。所謂観客に“うける”笑いをとることが命題っぽいところもあったように見える。
だが黒人俳優として主役を張り興行成績を残すという重責を存分に果たしたことにより後輩たちに道筋をつけたというのは言い過ぎだろうか。
次回真打登場之巻。


今日も最後までお読み下さりありがとうございました。

 

記事:ポワチエからワシントンまで~黒人オスカー歴代史で見る米国社会情勢

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