CT

ワインのために作るブドウと、食用のブドウは違うのでしょうか。




OS
違います。
ただ、食用のブドウを使っているワインもあります。デラウエアとか。
やはり色々と蔵元の考えがあって、山ブドウを使っているワインもありますし。ヨーロッパ品種を日本で育てて、作っているワインもあります。ですから、実はとても奥が深くて楽しめます。

SK
そういったストーリーを説明されれば「なるほど、価値があるな!」と思えますけれど


OS

そうですよね、絶対的に酒屋が説明不足なんです。




SK
日本酒の未来も国産ワインの未来もそういう意味では似ていますね。作り手たちを我々がフューチャーしないと。
そして、作り手たちのストーリーをお店に落とし込んで、お客さんに知って頂くことが必要ですね。
ちなみに、今の居酒屋業界はお酒でストーリーを作っていくしかないと思います。
そう思いませんか?
それで、()単価を上げていくしかないし。

OS
そうですね、売り上げの4割をドリンクが占めますから。
そこの表現がまだまだ足りないと思います。

TT
たしかに、ビールとかメーカーが作ったブランドを借りているだけですから。

SK
お酒を極めていくと、料理もそれに合わせてブラッシュアップせざるを得なくなりますから。

OS
それで相乗効果です。

SK
ワインだと「ワイン食堂」という業態がきています。ワインのお店でちゃんと料理を出そう、と。酒場ではないよ、という。

OS
料理があって、そこに酒がありますから。

SK
酒だけだと、2軒目になってしまいますから。
お酒も料理もおいしいお店なら、気が付いたら2時間3時間居てしまう。それが飲食店の醍醐味ですし。





次回は5月中の開催を予定しています音譜 

次回もお楽しみにひらめき電球








TT

そうか、日本酒はそうゆう世界ではないですね



OS
そうなんです。
例えば、「十四代」「飛露喜」「黒龍」もそうですが、僕らに2000円で卸した酒は、いつまでも2000円なんです。
ワインの作り手さんというのは、売れてきたら同じ本数を出していても売上が2倍・3倍になります。
僕がフランスのワインの作り手から10ユーロで買ったものが、翌年にはニーズがあれば、20ユーロ、30ユーロになります。

SK
プレミアが付く、と。

OS
しかも蔵出しで、です。
作り手が「昨年10ユーロだったものですが、今年は30ユーロでなければ売りません!」と言いますから。私がそれでは買えないです、と言っても「アメリカが買ってくれるからいいです。」と言われるだけです。

TT
何故、(日本酒の)蔵出しは値段を上げられないのでしょうか。

OS
不思議ですよね。
日本酒は、業者が2000円で買って2500円で売って、どんなに売れたとしても蔵出しは2000円なんです。
それで、たまに米が足りなくなって200円とか値上げするのでも、大騒ぎです。

SK
法律ですか?

OS
いえ、法律はないです。
蔵元が「値上げします!」と言ってしまえばいいんですが。だけど、それを言えません。

TT
蔵元のお互いで何かあるのでしょうか

OS
もしくは、マーケットが日本だけだからかもしれません。
これが世界のマーケットで、例えば中国が全部買います!となれば、そういう蔵元も出てくるかもしれません。

KT
税金の部分で何かあるのでは。

OS
いや、特にはないと思います。
指定の酒税さえ払えば、あとの値段は蔵元次第です。
ですから、例えば売れている日本酒の蔵元が、2000円のお酒を来年から3000円にします、というのは可能です。

SK
やればいいのに…。

KT
その世界を作ればいいと思います。(値段を上げるのは)悪くない、みたいな雰囲気を作れば、それを担保に更に商売が出来る気がします。

TT
和を乱したくない、という発想でしょうか。

SK
ある意味、村社会ですね。

TT
今はそんなこともないと思いますが、以前の蔵元は地元の名士が多かったのでうちがそんなことはできない、的なところはあったでしょうね。

SK
話は変わりますが、国産のワインはいかがでしょうか。伸び悩んでいませんか。

OS
いえ、とてもいいですよ。ただ、黙っていては売れないです。説明が必要です。

SK
何となくマズイというイメージがあるからね()

OS
そのイメージは変えさせて頂きますよ!

TT
確かに値段は少し高めですね。

OS
そうですね…。
日本一高いブドウを使っていますので。

SK
メーカーは山梨に集中していますか。

OS
そんなことはないです。宮崎から東北から、北海道まであります。

SK
(値段が)少々高め、というところがネックでしょうか。

OS
そうですね…やはり900円というところはなかなかないです。
1000円以上~、でしょうか。

SK
ということは、お店では3000円以上ですね。

OS
900円くらいで「国産」というのは純粋なものではないですから。
果汁を海外から輸入して、国内で加工しているので、全く国産ではないです。

SK
それが出回っているからダメなんですね。やはり国産ワインは完全にブランディングが必要で、「国産ワインは高い、美味しいものは高いですよ」というのがないとダメですね。

OS
でも、12001300円くらいなら面白いものはたくさんあります。






⑩へ続く…



KS

「紀ノ重」さんを見たときは、すごいなぁと思いましたね。

でも、お猪口と徳利はよくないですよね。今の方は、アレが古いというか…。


SK
あぁ、酒器ですか。たしかにね。



OS

もう少し(種類の)幅があってもいいですよね。



KS
あとはやはり、サワーじゃないですか。「天狗舞ソーダ」とか。


全員
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KS
怒られるんでしょうけど…。

OS

たしかにあってもいいとは思いますけど、でもそれにしても皆さん美味しい酒を飲む機会は絶対的に少ないですよ。

例えば、酒って年によって味が変わります。今うちは、ヴィンテージ違いで飲み比べのお願いもしています


全員
ほ~ぉ。

OS

例えば、同じ大吟醸でも年代を変えて飲んで頂くと、ワインと同じで、熟成度合いで味が全然違いますから。

ですから、たぶんまだ皆さん日本酒の楽しさの…こんな言い方ですみません!…10分の1くらいしか、わかっていないと思うんです。



全員
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OS

でもそれは、僕ら酒屋がまだまだ表現不足なんですが。



SK
もっと表現してほしいですね。


KS

和食以外に日本酒は合わないでしょうか。



OS
いえ、そんなことないです。
4年位前に「ロブション」と「黒龍」のラインナップを合わせた会をやりました。


SK
フレンチと日本酒か。


OS
あとは「醸し人九平次(かもしびとくへいじ)」が7年位前にパリの「オテル・ド・クリヨン」のアンバサダーでやりましたね。上質の白ワインを想わせると好評でしたよ。
非常に幅はあります。ただ若干、やはりワインのほうがマリアージュは合うのかなと思いますが…。

全員

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OS
でもやはり、お刺身だとか寿司との抜群の相性は、日本酒の楽しさだと思います。


KT

あとは組合とかたくさんあって、一般の消費者からするとわからないですよね。

あそこは、うちと違うからとか…我々みたいな業界からするといろいろ…。


全員
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OS

あそこが売ってくれるな、とかあそこには卸さない、とか()

ワインはすごくオープンなんですけどね。

ちなみに、ワインのマーケットはワールドワイドなので、去年10ユーロで買っていたワインが翌年買い足すには20ユーロになっていたりするんです。

だって、「アメリカから全部オファーがかかってきているから20ユーロだよ」と。実は、認められれば蔵出しの値段が上がっていくんです。2倍にも3倍にもなるので、蔵元も頑張れるんです。







⑨へ続く…