TT
そうか、日本酒はそうゆう世界ではないですね。
OS
そうなんです。
例えば、「十四代」「飛露喜」「黒龍」もそうですが、僕らに2000円で卸した酒は、いつまでも2000円なんです。
ワインの作り手さんというのは、売れてきたら同じ本数を出していても売上が2倍・3倍になります。
僕がフランスのワインの作り手から10ユーロで買ったものが、翌年にはニーズがあれば、20ユーロ、30ユーロになります。
SK
プレミアが付く、と。
OS
しかも蔵出しで、です。
作り手が「昨年10ユーロだったものですが、今年は30ユーロでなければ売りません!」と言いますから。私がそれでは買えないです、と言っても「アメリカが買ってくれるからいいです。」と言われるだけです。
TT
何故、(日本酒の)蔵出しは値段を上げられないのでしょうか。
OS
不思議ですよね。
日本酒は、業者が2000円で買って2500円で売って、どんなに売れたとしても蔵出しは2000円なんです。
それで、たまに米が足りなくなって200円とか値上げするのでも、大騒ぎです。
SK
法律ですか?
OS
いえ、法律はないです。
蔵元が「値上げします!」と言ってしまえばいいんですが。だけど、それを言えません。
TT
蔵元のお互いで何かあるのでしょうか。
OS
もしくは、マーケットが日本だけだからかもしれません。
これが世界のマーケットで、例えば中国が全部買います!となれば、そういう蔵元も出てくるかもしれません。
KT
税金の部分で何かあるのでは。
OS
いや、特にはないと思います。
指定の酒税さえ払えば、あとの値段は蔵元次第です。
ですから、例えば売れている日本酒の蔵元が、2000円のお酒を来年から3000円にします、というのは可能です。
SK
やればいいのに…。
KT
その世界を作ればいいと思います。(値段を上げるのは)悪くない、みたいな雰囲気を作れば、それを担保に更に商売が出来る気がします。
TT
和を乱したくない、という発想でしょうか。
SK
ある意味、村社会ですね。
TT
今はそんなこともないと思いますが、以前の蔵元は地元の名士が多かったのでうちがそんなことはできない、的なところはあったでしょうね。
SK
話は変わりますが、国産のワインはいかがでしょうか。伸び悩んでいませんか。
OS
いえ、とてもいいですよ。ただ、黙っていては売れないです。説明が必要です。
SK
何となくマズイというイメージがあるからね(笑)。
OS
そのイメージは変えさせて頂きますよ!
TT
確かに値段は少し高めですね。
OS
そうですね…。
日本一高いブドウを使っていますので。
SK
メーカーは山梨に集中していますか。
OS
そんなことはないです。宮崎から東北から、北海道まであります。
SK
(値段が)少々高め、というところがネックでしょうか。
OS
そうですね…やはり900円というところはなかなかないです。
1000円以上~、でしょうか。
SK
ということは、お店では3000円以上ですね。
OS
900円くらいで「国産」というのは純粋なものではないですから。
果汁を海外から輸入して、国内で加工しているので、全く国産ではないです。
SK
それが出回っているからダメなんですね。やはり国産ワインは完全にブランディングが必要で、「国産ワインは高い、美味しいものは高いですよ」というのがないとダメですね。
OS
でも、1200~1300円くらいなら面白いものはたくさんあります。
⑩へ続く…