先週の洪水から1週間がたちましたがまだ北部華人地域を中心に水は残り、避難生活を余儀なくされている人も多くいると聞きます。
今回の洪水で、日系サプライチェーンは大打撃というような新聞報道もありましたが、ごく一部地域の話で、まるで全てが使ってダメになったかのような報道と現地の実情には大きな隔たりがあります。
特にここに書かれている西ジャワ州の工業団地(MM2100やカラワンのことと推測)は山の中にあり、また水路や避水池を設けており洪水対策もしっかりされている為、影響は現時点では極小です。
それ以上に、都心部まで水が流れ込んだ映像が日本でも報道されたことによって、一昨年のタイの洪水を受けてタイリスクを分散させようとインドネシアに進出してきている企業へのイメージ悪化の方が大きいと思います。
もっとも、最近日系企業の投資は自動車関連産業を中心にバブル化していたので、少しは冷静になれるいいチャンスかもしれません。
とは言いつつも、やはりこの国の人口構造やロケーションなどを考慮するとこの市場に期待して進出してくる企業や既存企業の設備増強は暫くは多いかと思います。
今回の洪水を受けて急きょ山間部の工業団地への移転を検討している企業もあるでしょう。
しかし、自然災害リスクは日本にいても地震・台風などのリスクはありますし、極小化してもやりきれない部分かと思います。
それ以上にこの国のリスクは国家機能面や民衆の面、また宗教面にあると思います。
国家機能では、伝統的に汚職が市民生活レベルまではびこっており、それは警察に呼び止められたら最後、イチャモンをつけられてタバコ代でも渡さない限り離してもらえないレベルです。
また、企業活動では各種官公庁における手続、企業間取引において袖の下から何が渡っていないと円滑に物事が進まないこともよくあります。
特にコンプライアンスに異常なほど目を光らせている企業にとっては、当地ルールは厳密にそれを当てはめると当然看過できるものではないかもしれません。
また民衆面では、デモに労働組合が借り出され、本来の労働争議の範疇を超えた事案にまで職務を放り出して参加せざるを得ない風潮があります。
これはデモの裏で所謂プロ市民、デモ屋が煽動しており、さらにプレマン(チンピラ・極道)が後ろについている為下手に断ることができないことも原因です。
このプレマンの存在が厄介であり、一方でこれとうまく付き合っていくことがカギとなります。
更にいくら若年世代の人口が非常に大きいと言っても、日本企業が本当に欲しい幹部社員となれるレベルの教育を受けている人口はまだ少なく、また考え方もそのベースも日本人のそれとは大きく異なる為、言ったことを理解して動いてもらえない、何度言っても直らないジレンマに陥ることは、他国進出においても同様かと思いますが、そういうものだと思った方がいいと思います。
ましてや、日本語ができる人、通訳してくれる人を求めようものなら競争過多でなかなか見つからないと思います。見つかっても思ったレベルより全然低い、ということは十分にあり得ます。
それよりも、進出してくる側がインドネシア語を習得した方が宜しいかと思います。英語でのコミュニケーションができる人はジャカルタでも一部であり、インドネシア語の文章をgoogle翻訳に入れただけの文章が回ってくることもあります。
そもそも日本人の英語は基本的にわかりにくいですし、お互いが不自由な言語で話をしても伝わることも伝わらないでしょう。
インドネシア語で議論することによって、相手の気持ちをオープンにできる効果もあります。もっと言えばスンダ語やジャワ語を使いこなせれば尚更です。
最後に宗教面。これは敢えて書く必要もありませんが、いくら彼らが宗教に必ずしも熱心でないとはいっても心の奥底には宗教が宿っており、それを重んじて尊重せねばなりません。
厄介なのはデモや抗議活動にこの宗教の名前を出された時です。
我々異教徒は言い返せなくなります。
このように、簡単に思い浮かぶだけでもリスクはあります。
経済、政治情勢リスクもありますが、このあたりのもんだいは現地で肌で感じている人の話と専門家アナリストの話を総合して考えた方が宜しいかもしれません。
また、日本人がここで生活していくうえで感じるリスク、豊かで言葉も通じて何不自由のない
日本と比較したらその他にもリスクは枚挙に足りません。
もちろん、私が上部で書いた内容もごくごく一般的な内容から長期滞在者の話、私の経験も踏まえた内容であり、ひょっとしたら「私はこんなリスク感じたことはない」という方もいらっしゃると思います。
最後に、私がこの国で働くうえで常に忘れてはならないと思っている言葉を。
日本人はインドネシアで働かせてもらっている、先人たちと同様この国の発展に貢献し、日イがともに成長していく手伝いをすることで、現地スタッフよりよい暮らしをさせてもらっている。
以上、長文駄文を読んで戴きまして有難う御座います。