今日は明日の全身化学療法(m-folfirinox療法)を控え、ここ2週間で「最も体調が良い日」でした。

血糖値が正常値に戻り倦怠感も抜けて、あいにくの天候で散歩は出来ませんでしたが、久しぶりにMLBドジャース戦の中継を見ながら筋トレするなど、この貴重な1日のために明日からの治療を頑張ろうという気になりました。

ただ、正直明日からの長丁場(病院点滴5時間+携帯投与46時間)の抗がん剤投与は憂鬱です。


上記を踏まえれば、ここ2ヶ月間の体調悪化は、抗がん剤変更に伴う副作用による面が大きく、病状の進行(悪液質)の影響はもしかしたらまだ軽微なのかも知れません。

思わず調子に乗って本投稿はいつもより長文になってしまいました。

今回は病気以外の「お金の話」がメインテーマですので、興味ない方はスルーして下さい。


これまで私が認識していた投資リスクは、「米国経済が高金利に耐え切れず景気後退に陥ることに伴う米国株式の下落リスク」でしたが、ここにきて「別次元」の「米ドルの暴落リスク」を意識せざるを得なくなりました。


私が米国金融資本市場の異変(トリプル安)を最初に意識したのは、4月9日昼頃、B病院での腹腔内化学療法の診察待ちをしている間に偶然先物市場の不可解な値動きをネットで見た時でした。

その時は「とうとう中国が米国に売られた喧嘩を買ってしまったのか・・・。」(=中国が米国債を投げ売りしているのではないか)と思うと同時に脳裏に浮かんだのは「マールアラーゴ合意」でした。


「マールアラーゴ合意」というのは、トランプ大統領が経済諮問委員会(CEA)委員長に指名したスティーブン・ミラン氏が2024年11月に発表した40ページほどの論文で提案した多国間通貨合意の枠組みのことです。


名称はトランプ大統領のフロリダ州パームビーチにある私邸「マールアラーゴ」に由来し、1985年の「プラザ合意」を現代版に再構築するものとして、一部の市場関係者の間では話題になっていたようですが、昨年11月の段階では米株式は史上最高値を更新するなど好調を謳歌していた事もあり、「トランプ政権の経済閣僚の一人が「自らの売名行為」のためにこんなトンデモ論文を発表したのかな」とそれほど気にしていませんでした。


「そもそも、こんなことをしたら米国の信用は地に落ち最大の国益である「米ドルの基軸通貨体制」が崩壊して、世界中の機関投資家にとどまらず各国中央銀行が為替差損(ドル安)による損失を回避するため我先にとあらゆる米ドル建資産を叩き売ることになり米国にとっては自殺行為だ」と考えていたからです。


ちなみに問題の「マールアラーゴ合意」の概要は以下の通りです。

<主な目的>

  1. ドル高の是正:米国の製造業と輸出の復活を助け貿易赤字を削減する
  2. 安全保障費用の分担:米国が提供してきた「安全保障の傘」の負担を同盟国に分担させる
  3. 米国公的債務の持続可能性確保:米国債務を長期的に管理可能な水準に維持する

<主な内容>

  1. 外国保有米国債の債務整理:外国の通貨当局が保有する短期の米国債を100年物ゼロクーポン債に交換する案
  2. 政策協調によるドル安調整関税の脅しや安全保障の保証を使い貿易相手国にドル安(自国通貨高)を受け入れるよう促す
  3. 関税政策との連携:政策協調に応じない国には高い関税を課す
  4. 安全保障との結合:協調を拒む国は「安全保障の傘」や通貨スワップ協定を破棄


現在のマールアラーゴ合意構想は、プラザ合意と以下の点で異なります。

  • より強制力の強い手段(関税や安全保障)に訴えて貿易相手国を恫喝
  • 通貨だけでなく米国債務の整理(事実上の借金踏み倒し)まで踏み込む


<日本への影響>

日本は甚大な影響を受ける可能性が高いと思われます。

超円高だけでなく、1兆ドル(わが国の国家予算(一般会計)の14年分)の米国債を「踏み倒されたら」被害甚大です。

この1兆ドル(143兆円 国民一人当たり約120万円!)の原資は日本国民が長年納め続けてきた税金です。


トランプ大統領は3月に「日本の指導者たちに電話で通貨を切り下げ、弱体化させ続けてはならないと伝えた」と発言するなど、かねてからドル高円安に強い不満を抱いています。

またトランプ政権は「相互関税」の枠組みで、為替政策も「非関税障壁」の一つと認識しており、円安を口実に日本への関税強化の可能性も指摘されています。

そしてここにきてトランプ大統領は唐突に在日米軍の駐留経費負担の問題を持ち出してきました。

まるで「マールアラーゴ合意」を「台本」にしているかのようです。


日本は1985年のプラザ合意後の急激な円高とその後の「失われた10年」の記憶から、新たな通貨協定には慎重にならざるを得ません。

ちなみに当時のドル円は約240円から2年後120円に暴落しています。

発表日翌日の1日だけで約20円の円高になりました。

「マールアラーゴ合意」は、現時点では政権のブレーンの一人による思考実験的な提案の段階ではありますが、トランプ大統領が為替問題に強い関心を示していることは明らかです。


この構想が実現するかどうかは不透明ですが、関税政策と組み合わせた形で通貨・為替政策が展開される可能性は十分にあり日本は慎重な対応を迫られるでしょう。

日本にとっての救いは、交渉相手が高関税を主張するMAGA(米国を再び偉大な国に)派率いるピーター・ナヴァロ上級顧問などの強硬派ではなく、減税や規制緩和に成長論を主張する共和党穏健派で親日家とされるベッセント財務長官である点です。


いずれにして個人投資家としては防衛策として「ドル安円高時代」を展望した資産ポートフォリオを構築しておいた方が無難と考えています。

具体的には国内株式なら電力会社、ガス会社などの「円高メリット銘柄」や金(ゴールド)、外貨建資産は米国を避け、インド、ベトナムなどの新興国と先進国ではドイツに注目しています。


日本の社会保障制度の運用は憲法違反状態が永年続いており、日本国民にとっては、もはや頼りにならない(このままだと憲法で日本国民に限定されているはずの生活保護や健康保険だけでなく公的年金までもが外国人に給付するため日本国民の給付分が更に削減されかねない)との危機感を共有して、我が家では家族ぐるみで資産運用してきましたが、高まりつつある「米ドル暴落リスク」に備えるよう注意喚起した今日この頃です。


ちなみに厚生年金保険料は、毎月の給与と賞与に保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者が半分ずつ(折半)負担することになっています。

ところが、この企業負担分が厚生年金ではなく国民年金の赤字補填等に流用されているのです。

「ねんきん定期便」に記載されている保険料積立額が「何だかやけに少ないな。」と思っていましたが、従業員納付額のみで企業納付額は「まるで、なかったこと」のように一切記載されていません。

保険料負担と給付の公平性の観点からは現役サラリーマンにとって「働くほど損する仕組み」の典型例ですが、そもそも自らが積み立てた額を下回る給付しか期待出来ないポンコツな制度であれば、保険料を負担することがバカらしく思えてしまいます。

したがって、社会保障関係費の財源確保を「大義名分」とした政府・自民党の増税路線には私は反対の立場です。

進行がん患者としての本音を言えば、もう公的年金はいらないので、その代わり今までに積み立てた保険料分を無利息でいいので企業負担額も含め一括で返金を受け自己責任で運用したいくらいです。


なお、かねてから投資している景気後退による金利低下に賭けるETFが想定外の含み損に転落してしまいましたが、米国債10年金利が現在の米国にとって持続不可能な5%に迫る局面があれば、ナンピン買い(買い下がり)敢行予定です。

(35ドルと30ドルに、まとまった枚数の指値注文を入れたまま放置して待ち構えることにしました)

中央銀行(FRB)が米国金融資本市場の崩壊(財政破綻)と景気崩落を食い止めるため、コロナ発生時と同様、国債買い入れによる流動性供給を緊急発動して、混乱に便乗して米国債を売り仕掛けしている債券投機筋を踏み上げて長期金利を力づくで押さえつける展開を予想(期待)しています。