ISM製造業景気指数(Manufacturing PMI) は、全米供給管理協会(ISM)が発表する製造業の景況感指数で、
企業の購買担当者へのアンケート(=ソフトデータ) をもとに作られる先行指標です。
■ 特徴
① ソフトデータ
企業の“景況感・意識”を集計した意識調査。
実際の生産量ではなく「どう感じているか」を反映するため、
景気転換点を早めに捉えることができる。
② 公表の速さ(超速報)
- 前月のデータを 翌月1営業日目 に発表
- アメリカ景気指標の中でも特に“先に出る”ため、
→ 株式・為替市場が最も注目する指標の一つ
③ 50が景気の分岐点
- 50以上 → 景気“拡大”
- 50未満 → 景気“縮小”
「上が良い、下が悪い」で認識してOK。
■ 景気後退との関係(重要)
理由:
- 製造業は景気の先行指数になりやすい
- 企業の新規受注・雇用・生産が萎む
- 消費とGDPに遅れて作用するため、大局の転換点を示しやすい
※ただし「1ヶ月だけ割れる」より、トレンド(数ヶ月連続で50割れ) が重要。
■ ISMとS&P500の関係傾向 が
理由:
- 製造業の縮小 → 利益悪化予想 → 株安
- 景気後退懸念が強まる
- 市場がリスクオフに動く
ISMはソフトデータとはいえ、
市場の実際の値動きと強く連動している点が信頼性の根拠となる。
■ 追加の重要ポイント
構成項目の“新規受注”に注目
- PMIの中でも「新規受注」は最も先行性が高い
- 新規受注→生産→雇用→在庫、の順に影響が回る
製造業は米GDPの割合は約11%
→ 数字の絶対値より “方向性(トレンド)” が大事
→ PMIが景気全体を予測できるのは「先行性」があるから
サービスPMI(ISM非製造業)も合わせて読むと精度UP
→ 近年のアメリカではサービス業の方がGDP比率が圧倒的に大きい
→ 製造業単独では弱くても、サービスが強ければ景気後退を避けることもある