米国における製造業・鉱業・公益事業(電気・ガス等)などの 生産能力に対する実際の生産量の割合 を示す指標です。 


この指標は、景気や設備投資、インフレ圧力の先行指標として広く注目されております。


なぜ見るか — “何を示すか”

  • 設備稼働率は、実際の生産が「どこまで潜在能力を活かせているか」を示す。 
  • 稼働率が高いほど、設備が効率良く使われており、追加投資なく生産を拡大できる余地が小さい=需要が強く、生産体制が逼迫しやすいと判断される。
  • 一方、稼働率が低いと、まだ余力がある ― 需要が弱い、あるいは供給過剰・設備余剰 ― と判断され、設備投資や生産拡大の余地がある。  
  • だから 設備投資の抑制や増加、物価やインフレの圧力、景気動向 につながる可能性がある。  


“80%超”の意味 ― ひとつの目安

多くの市場参加者にとって、設備稼働率が 80%を超えると「投資が活発化しやすい」 とみなされるのが通例です。 

この閾値を超えると、

  • 設備がフル近く動いており、追加の生産には新たな設備投資が必要
  • 設備投資の拡大の前触れ
  • 供給制約 → 価格上昇圧力(インフレ) の可能性

などが意識されやすくなります。


“前年同月比”“トレンド(流れ)”を重視する理由

ただし、設備稼働率は 季節性やサイクルの影響、単月のブレ があるため、単月の数字だけを見るのは不十分です。季節調整後/前年同月比や 複数月の連続データ で見ることで、実際の “景気の流れ” をより確かに捉えやすくなります。


また、単に「80%超かどうか」だけで判断するのではなく、過去の水準と比べた“上昇傾向か減退傾向か” を見ることで、設備投資や生産の拡大・縮小の可能性を読みやすくなります。


注意点

設備稼働率は便利な指標ですが、以下のような制約があります:

  • “潜在能力(潜在出力)”の見積もりの仕方に依存:どこまで「フル稼働」とみなすかによって変わるため、絶対値だけで過信できない。  
  • 稼働率が高くても、実は人手不足・部品不足・資材供給の滞りなどが原因で“最大生産能力を発揮できていない”可能性あり。最近の報告でも、「受注不足」「労働力不足」「材料不足」などが、設備をフル活用できない理由として挙げられている。  
  • また、稼働率と物価上昇(インフレ)の関係は常に一定ではない。たとえば原材料価格ショックやエネルギーコストの変化があれば、稼働率が下がってもインフレが起きることもある。歴史的にも、稼働率とインフレが逆に動いた例がある。  


 補足:数値の“長期平均”との比較も重要

最新データを見るだけでなく、 長期平均と比べる のが有用です。

例えば、あるデータでは米国設備稼働率の歴史的平均が約 80.0% とされており、現在値がこれを下回っているかどうかで“余力の有無”を判断することも。 


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