僕たちは、人の言葉を耳で感じ、文字を目で見ることでそれが何を意味しているのかを認識している。でも、その表面的な意味ではなく、発した人の奥にある本当の想いを感じられるかどうか。その奥には、必ず様々な想いが潜んでいるんだ。
自分自身のことを考えてみるとよく分かる。人と話していても、本心を全て表に出すということは少ないはずだ。
何か辛いことがあったとしても、心配させたくないという想いから、大切な人には元気にしているよと伝えるだろう。それは嘘とは違う、ただ相手を気遣う想いから出た本心とも言える。
それを聞いた相手によっては、そのまま元気そうだと言葉のままに受け取る人もいるし、違和感を感じ取って今辛いんだろうと察知する人もいる。
察知した人はその想いを汲み取って、頑張れよという想いを乗せてただ頷いてあげる。
その想いはまた伝わってくる。お互い表面的な言葉には出さなくとも、互いの想いを汲み取ることができるんだ。
これは日本人特有の、人を想う素晴らしい感性だと思う。
文字についても同じことだ。メールの文面を見ても、その人の奥にある気持ちは感じることができる。言葉には表れてこない、色々な感情が潜んでいるんだ。
絵文字やスタンプがないと、相手が今何を感じているのか言葉だけでは分からないという人が増えている。それに慣れてしまうと、相手に対して想像力を働かせることもなくなるから、表層的なコミュニケーションで終わってしまう。
人間関係が悪くなってしまうのも、こうした相手の気持ちを汲み取れないことが原因なことが多い。というより、お互い相手を思いやる気持ちが欠如して、自分の感情ばかりに注視しているのが原因なんだ。
奥にある本当の想いを感じられるかどうかは、相手のことを真剣に思っているのかどうかによる。逆に自分の深い想いを感じとってくれる相手は、自分のことを本当に大切にしてくれている人なんだ。