『南山の部長たち(KCIA)』独裁者の孤独と側近たち | 一松亭のブログ

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イ・ビョンホン主演、ウ・ミンホ監督の”南山の部長たち(KCIA)”を見てきました。KCIA(韓国中央情報部)部長だった金載圭(キム・ジェギュ)による朴正煕(パク・チョンヒ)大統領射殺事件を題材とした映画で、フィクションということにしてありますが、登場人物は誰が誰というのはすぐわかります。この事件の背景は様々な捉え方があると思います。政治的な面からみればCIAの関与(ベトナムのゴジンジェム政権、コンゴのルムンバ政権、チリのアジェンデ政権等山ほどあります)があったでしょうが、本作品は事実を追い政治ドラマとするより、一人一人の人物描写とその変化、一人一人と大統領の繋がり、関係の変化に力を入れているところが一層緊迫感を高め、胸に迫ってくるのではないかと思います。

イ・ビョンホンが明智光秀とも重なります。忠誠を尽くしながらも使い捨てにされる側近たち、そして自分の番に…。最後一人壁によりかかり息絶える姿に絶対的な権力者の孤独を感じました。大統領の時に気さくな面もみせる部分が長く側近たちを引き付けてきたのでは、と思わせる描き方もあります。マッコルリをサイダーで割った”マッサ”初めて知りました、飲んだことがありませんが、美味しそうです。


パク・チョンヒ役のイソンミン、”工作”のリ所長、”世宗大王”のチェ・マルリと最後まで気が付きませんでした。すごい人ですね。イ・ドックァが全斗煥を演じたドラマの”第五共和国”でも殺害のシーンが出てきますが、この映画に出てくる全斗煥は。「えっ?」という描かれ方でした。まずはこの作品、皆さんに是非お勧めしたいです。