『戦争は女の顔をしていない』 少女たちの”大祖国戦争” | 一松亭のブログ

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労働問題、社会問題、心に残る映画について書いています。

このブログでは何度か漫画を取り上げていますが、今回は『戦争は女の顔をしていない』(KADOKAWA刊/漫画:小梅けいと)を取り上げます。第2巻までが出ています。ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチのドキュメンタリーの漫画化です。最近各方面の書評でもよく取り上げられています。500人以上に聞きとりを行った珠玉の成果です。ある書評では”怯える心に寄り添いながら、彼女たちの魂の声に注意深く耳を澄ませた”とあります。


 

皆さんのそばにいるような、ごく普通の少女たちがいきなり真正面から過酷な独ソ戦の最前線に直面し、血と泥の中で闘い抜いた戦場の過酷さがありありと伝わります。正直読んでいてきつい、これで原作を読んだら耐えられるか・・・、まだ原作を読む勇気はありません。

日本でも爆撃の中九死に一生を得た方、自分以外の家族を皆失った方、過酷な引き上げを経験した方も多いでしょう。でも、この少女たちは戦場のど真ん中にいたのです。ここまで彼女たちが語ることができたのは原作者の誠意が彼女たちに伝わったのでしょう。ある少女は負傷し足を失い長い長い間家族との消息を絶ちますが…。またある少女は兵士のためにスープを作ったら食べる人が誰も生き残っていない…。ある少女のウクライナの想像を絶する大飢饉を生きながらえたエピソードは息をのみます。また狙撃兵として黙々と任務を果たし敵を倒していく少女も…。

”大祖国戦争”中の女性狙撃兵の戦場を題材とした映画は「ロシアン・スナイパー」というのもあり、DVDも出ていますから、彼女たちの闘った戦争の一端を別な方面からもご覧になってみてください。