ガッチャマンを見てきたような気がします。
監督:佐藤東弥 『ごくせん The Movie』 『カイジ1・2』
脚本:渡辺雄介
演出:松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽、濱田龍臣、鈴木亮平
公式サイト:http://www.gatchaman-movie.jp/
評判:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130830-00000001-nkgendai-ent
◆お話
いきなり襲撃してきたギャラクター(どっから来たんだ!)のせいで、地球の半分は壊滅状態に。
彼らは不可視のシールドに守られ、人類の武器は役に立たなかったのである。
ギャラクターに対抗するための力を秘めた「石」を使いこなせる「適合者」は800万人に1人。微妙な数だ。
ある日、東京に巨大なメカが出現、秘密会議の会場を襲う。
ガッチャマン、出撃だ!
*
……というようなところから始まったような気がします。
出撃命令が下る前に、なぜか町をぶらついているメンバーたち(潜入しているらしいが、いまいち「潜入」の意味がわからない)。
そのあと、獅童が出てきてベルク・カッツェが出てきて、衛星からレーザーが発射されるからとかってそれを食い止めに行って、なんとかかんとか。
最後の出撃の直前、ひたすら任務を優先させる健に、竜とジュンが「おかしい」と食って掛かる。
そこへジョーが出てきて「おまえら寝てろ。俺だけ行く」。
南部博士「全員で出撃だ」
しぶしぶ全員出て行ってゴッド・フェニックス(テスト飛行もしていないという)に乗り込む。
チームの心はバラバラ。
こんなんで大丈夫なの!?的な緊張感は特になく、みんなわがままに見えるだけ。甚平がいちばん大人だ。
このへんは見せ場のつもりだったのだろうが、かなりペラい。
5人は敵基地へ潜入。
↓ なんやらかんやら格闘する
健「俺は一千万人を助けるために一人の命を犠牲にするという考え方を否定する」
と長い言いにくそうなセリフで急に任務第一主義を否定し始める。
↓ なんやらかんやらで任務成功する
さんざん単独行動をとって迷惑かけまくりのジョー「おまえら、最高だ!」
あんた、最後のミッションでは健以外のメンバーとなんの接点もなかったじゃないか!
一同、笑顔で帰還。
( ゜Д゜)
◆思ったこと
ガッチャマンじゃなくても良かったんじゃない?
というか、作った人たち、ガッチャマンのこと好きでもなんでもないだろ?
原作と設定が違っていても、ストーリーが違っていても、スーツが違っていても、ハッキリ言って面白くなくたってカッコよくなくたって別にかまわない。
でも、「ガッチャマン」というタイトルを戴くのであれば、気に入る・気に入らないはともかく、せめて「ガッチャマンを見た」と思って映画館を出たいものです。
まぁ、カッコ良くないガッチャマンって、無いわけですけど。
で、今回思った主なこと。
俳優さんたち、おつかれさまでした。
逆境にめげず、よくがんばっていたと思います。
剛力さんはともかく、甚平と竜の適当な扱いぶりはかわいそうでした。
竜の「お母さん」の伏線(?)は途中で放り投げられ、竜の存在も投げられた。
役どころとしては、ベルク・カッツェがおいしかったのではないでしょうか。諸所で指摘されている通り、ドロンジョ様のレプリカのようではありましたが。
カッツェとジョーが対峙するシーンの綾野剛、見ていて痛々しいというか可哀そうでした。お芝居の問題というより、撮り方の問題じゃないかと。演出してやれよ。
アクションシーンは悪くはないというか、「こんなものかな」と思えばこんなもので、想像していたよりは良かったです。
でも、原作のアニメ自体がそもそも実写っぽくてカッコいいからなぁ。
あと、ギャラクター基地に潜入したんなら、お約束のかおりがプンプンでもホールで戦ってくれてよかったのに。
健は走るのが遅そうだった(笑) それに、腕を振らずに忍者っぽく走ってほしかったです。
これも撮り方の問題じゃないかと思いますが。
ところどころにギャグ要素らしきものが織り込まれているのですが、これがなんともいえず浮いていました。
◆不思議なセリフ
「俺が見えるか、悪党ども。実体もなく忍び寄る白い影が」
言い方がカッコいいので騙されかけたがちょっと待て。
「実体もなく忍び寄る白い影」ってそりゃ幽霊だろ。
実体を見せずに忍び寄らないと!
ホンが間違っていたのだろうか。セリフの覚え間違いだろうか。
決め台詞にしたかったんだろ? 誰か気づけよ。
そして、ジュンのセリフ。
「醜いスーツを着せられて云々」
これは制作サイドの自虐ですか? 笑えないですが。
◆ガッチャマンってなんだったのか
ガッチャマンは石の「適合者」たち5人の集まりで、本作中ではガッチャマンとか科学忍者隊とか呼ばれることはなく、エージェントと名乗ったり呼ばれたりしています。
別にいいんですけど……。「『ガッチャマン』って響きがカッコ悪いから口にすんのやめよ」的な何かでしょうか。ちょっと寂しかった。
ガッチャマン(としておきます)は一応5人いるのですが、健とジョー以外はお飾りでした。
健とジョー以外というか、桃李と剛以外は。
この映画を見ると、ガッチャマンという人たちは、「適合者」として生まれたことに葛藤を抱きつつ、様々な思いを胸に戦うヒーローというより、くだらないラブコメとどうでもいい痴話喧嘩を繰り広げる、私怨にまみれ私闘ばかりしている人々でした。
映画館はかなり空いていて、全員女性でした。
タツノコのアニメグッズを眺めるのは私だけで、皆さんは松坂桃李の写真の入ったクリアファイルやパンフレットを買い求めていました。
松坂桃李と綾野剛が出演するものはコレクション的な意味で全部見るんだ、という方々だったのでしょうか。しかし、もっとこの二人の魅力を引き出せる作品はあるでしょうから、これにこだわる必要はないのでは。
ガッチャマンファンは喜ばないだろうし、俳優のファンは別にこれでなくてもいいだろうし、子どもたちからはカッコいいヒーローに見えないだろうし。
まぁ、まとめると残念な映画でしたが、ひとつ、地味に南部博士に似ている岸谷五朗の地味ながんばりは、なかなか良かったです。
ラストだけなぜかホラー風味でしたが、続編を作るつもりなのでしょうか。
やめといたほうがいいんじゃないかなぁ。
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なんでジュンはスカートじゃなかったんだろう。
確かに、パンチラしながら戦うのはおかしいですよ。
でも、そんなところにリアルはいらないのに。