ジム・クロウの法的、社会的な慣習は、1870年代から1950年代の長きにわたって、主に南部の、また、その他の地域においても、黒人が日常どのように振る舞えば安全であるのかの境界線を示した。黒人の生命保障と安寧は、この境界線のどちら側にいるかを把握することにかかっていた。
行政面では、白人は州と地方の法令でジム・クロウの制度を実施した。すべては白人の法務官、白人の裁判官、白人の陪審員によって決められた。また、経済力においても白人支配は歴然としていた。少しでも独断的な態度を見せた黒人の小作人は、気がつくと土地から追放されていた。白人の不正義に対して真っ向から反発すれば職を失うことは火を見るより明らかであった。また、黒人は銀行でローンを組むことができなかったので、商品と器材を揃えるために致し方なく白人の「パトロン」に依存した。
法的、経済的な無力さだけでは物足りなかったのか、黒人に対するジム・クロウは、超法規的な暴力によっても施行された。KKKは1870年代前半までに規制されたが、白人の自警団組織は消えること無く、引き続き黒人に何が許容され、何がされないのかを伝えるために団結を強めていた。暴力は、資産の破壊、家や収穫物、動物、納屋、農機具を含めた焼き討ちといったかたちで実行された。個人にも危害は及んだ。屈辱、暴言といった精神的暴力や、強姦、指の切断などの身体的な暴力は、さまざまなかたちで行われた。最悪のケースは、リンチであった。白人の黒人に対する非寛容性を究極の形で表す拷問と絞首刑。黒人に対してはあまりに強すぎるメッセージであった。
ジエームス・M・バーダマン「アメリカ黒人の歴史」
「人種に基づくプロファイリング」が21世紀になっても黒人を標的にし続けていた。青少年の軽犯罪や麻薬に絡む犯罪において黒人が検挙され収監される率は高く、同じ犯罪でも被告が白人であったなら刑務所送りにはならなかったケースも少なくない。
2007年には、全米の囚人に黒人が占める割合はほぼ50%で、死刑囚のうち黒人が占める割合は42%であった。黒人は率にして白人の8倍も投獄されている。12~34歳までの黒人男性のうち約12%が収監されているが、白人の場合は1.6%に過ぎない。現在、黒人男性が一生のうちに刑務所に入る確率は約28%に上り、三人に一人という計算だ。これはカリフォルニア在住の黒人男性が州立大学へ進学する率よりも高い数字である。
ジエームス・M・バーダマン「アメリカ黒人の歴史」
2010-12-30 はダメリカ肥満問題のQ&A。Answer:「貧困」と「コーンシロップ」。
中国出産事情に転機 夫婦が一人っ子同士「第2子OK」
>国営新華社通信によると、河南省の人民代表大会常務委員会が30日までに、夫婦ともに一人っ子の場合、第2子の出産を認める内容の条例改正案を可決した。これまで中国の31の省・市・自治区のうち、河南省だけが一人っ子同士の夫婦の第2子を認めていなかった。河南省は約9400万人と中国第3位の常住人口を抱えている。
あとは今年1年の読書遍歴を振り返ってのエントリーで良いお年を~となるのだけれど、最後は年末読んだ2冊に感銘を受けたので民族主義と言うか人種のような人口論的なメモをば。
>昨年の国勢調査で中国の人口は13億3972万人だった。国家計画出産委員会では、「1979年に計画出産政策を始めていなければ、中国の人口は今ごろ17億人を超え、多くの困難に見舞われていただろう」と政策の成果を自賛した。ただ、国勢調査では14歳以下が16・6%と、全人口に対する比率が30年前の約半分に下がった。(MSN産経 2011.11.30)
中国様ならきっと一人っ子政策の転換も強引な手法でと期待しておりました が、まずは規制緩和から始まりました。
BRIC時代の終焉:今年は投信資金が150億ドルの記録的流出
>過去10年間に新興市場であるブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国に注ぎ込まれた投資信託資金は約700億ドル(5兆4500億円)となり、株価はS&P500種株価指数の4倍強の値上がりを記録、経済成長も米国の4倍のペースに達した。
BRIC諸国は濃淡あれど人口and資源大国という括りとなろうかと思います。その中で強味が人口なのか、資源なのかという点で前2国と、後2国に別れます。果たして逆風に強いのはいずれかと。
>EPFRグローバルによると、今年のファンド資金の流出は少なくとも1996年以降で最大で、インドの株式投資信託は40億ドル、中国は36億ドルのそれぞれ純減を記録した。ブラジルからは22億ドル、ロシアからは3億2600万ドルが流出したという。
こうしてみるとロシアが一桁小さいことが分かります。
>新興市場で最大の経済規模を誇る中国では、欧州向けへの輸出が鈍化しているのに加え、当局の不動産投資規制が成長抑制要因となっている。インドでは1935年以来最速ペースの利上げと通貨ルピーの最安値水準への下落によって成長が頭打ちになった。またコモディティー需要の急増で過去10年間の成長が支えられてきたブラジルとロシアでは、金属相場の下落と中国の成長鈍化で打撃を受けている。(Bloomberg 12月28日)
資源価格のほうが少なくとも人口よりは景気後退の影響は受けにくい(正確に言えば余波は後陣)ということでしょう。
ブラジル、英国抜き世界6位の経済大国へ
>2011年の国内総生産(GDP)で、新興国ブラジルが英国を抜き、世界6位の経済大国になる見通しとなった。英BBC放送などが26日、英民間調査機関CEBRの分析として報じた。ブラジルは20年までに、GDPで独仏も追い越す見通しだという。
(2011年12月27日 読売新聞)
ただ、ブラジルは資源兼人口大国として台頭しており、GDP規模で言えばいずれ現先進諸国を抜いていくと。
42 名前:七つの海の名無しさん[] 投稿日:2011/12/27(火) 21:09:17.68 ID:GruNbN3y
日本の1人当たりGDP、ドル建てで過去最高に 2011/12/26 20:00
OECD諸国のドル建て1人当たり名目GDP 2010年、円高効果でOECD14位
(10年、単位ドル、カッコ内は09年の順位)
1(1) ルクセンブルク 105,313
2(2) ノルウェー 84,473
3(3) ス イ ス 67,802
4(8) オーストラリア 56,395
5(4) デンマーク 56,255
8(9) 米 国 46,588
9(15) カ ナ ダ 46,236
14(16) 日 本 42,983
15(14) ド イ ツ 40,123
17(13) フランス 39,475
18(18) 英 国 36,158
19(19) イタリア 33,924
23(21) ギリシャ 26,631
26(27) 韓 国 20,757
34(34) メキシコ 9,556
48 名前:七つの海の名無しさん[sage] 投稿日:2011/12/27(火) 21:53:31.09 ID:kdDEHGzz
BBC News - Brazilian economy overtakes UK's, says CEBR
http://www.bbc.co.uk/news/business-16332115
ブラジルのGDP、イギリスを抜いて世界第6位に。
GDP規模は米中日独仏伯英の順に、一方で2016年までにイギリスのGDPはフランスを抜くと予測。
2020年には米中日露印伯の順になると予測。
30年で殺人3・6倍に W杯控えるブラジル 1日当たり137人殺害!
>ブラジルの昨年の殺人被害者数は4万9932人で、30年前に比べて約3・6倍に増えたとの調査結果を地元調査機関が15日までに発表した。2014年にサッカー・ワールドカップ(W杯)を控える同国の治安の悪さがあらためて数字で裏付けられた。
何度も記していますが、警察レベルの治安問題は経済成長においてそれほど足枷にはならない。
>1980年から30年間の殺人被害者数は約110万人。80年は1万3910人だった。人口もこの間約1億2千万人から約1億9千万人に増えたが、殺人の増え方は顕著。昨年は1日当たり約137人が殺害された計算となる。日本の同年の殺人事件件数は1067件だった。(MSN産経 2011.12.16)
人口が1.5倍になる間に殺人は3.5倍!それでもこれだけ人口が増えたということ…イザナギ・イザナミ神話を思い出しますな(笑)
アーネスト・ゲルナーは、こうした議論をナショナリズムの「誤配理論」と皮肉り、こう述べている。「過激なシーア派ムスリムの主張だと、大天使ガブリエルの間違いでムハンマドが神託を授かったが、本来の受取人はアリーだったのだとなるように、マルクス主義者は、本質的に、歴史の精神や人間の意識はひどい失敗をしでかしたと考える傾向がある。目覚めの神託の送り先は階級だったのに、郵便のひどい手違いで民族に配達されてしまった、という具合だ」
テリー・マーチン「アファーマティブ・アクションの帝国」
在地ナショナリズムという偏向の本質は何か。分離して民族の殻に閉じこもろうとする願望である。民族内の階級矛盾を抑えこもうとする願望である。社会主義建設という趨勢から距離をとることで大ロシア排外主義から身を守ろうとする願望である。ソ連の勤労民族大衆を接近団結させるものから目をそらし、互いを疎遠にしかねないものだけを見ようとする願望である。
テリー・マーチン「アファーマティブ・アクションの帝国」(スターリン 第16回党大会)
- アメリカ黒人の歴史 (NHKブックス)/ジェームス・M・バーダマン
- ¥1,260
- Amazon.co.jp
- アファーマティヴ・アクションの帝国―ソ連の民族とナショナリズム、1923年~1939年―/テリー マーチン
- ¥10,290
- Amazon.co.jp
- ▲米ソ両『帝国』が民族問題(人種問題)にどう振舞ったかを2冊並べて読むととても麗しい気持ちになります。大部分に於いて米国は抑圧、ソ連は優遇という好対照。しかし、結果的にナショナリズムを飼い慣らしたという観点で成功したのは米国としか思えないという皮肉…。そして、これから先、米国がヒスパニック、ロシアがイスラムという新たな人口問題とどう取り組んでいくかは世界問題となります。