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あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

生涯にわたって東京計画を提案したのは黒川である。ヘリックス計画(1961)では、二重螺旋の形式で展開するメガストラクチャーをデザインした。1987年に発表された東京計画2025では、24時間活動できる情報都市の基盤とすべく、東京湾に500万人が住む新島の建設を打ち出す。そこには新国会議事堂もつくられる。一方で既存の東京では、高層ビルとセットになった環状の運河が二重のリングを描く。これまで海を埋め立てるプロジェクトは多かったが、逆に東京計画2025は水路を大胆に取り込むのが特徴である。


亡くなる直前の2007年、東京都知事選において建築家の黒川紀章が立候補した。いささか唐突な印象を与え、残念ながらメディアは、派手な振る舞いや「富豪刑事」のようなキャラのユニークさから、世界的な建築家の奇行として面白おかしく報じたが、本来これは都市への問題提起として議論されるべきだった。


都市論の文脈から考えても、興味深い行動である。海外では、建築批評を行うマッシモ・カチャーリがベネチアの市長を務めているが、日本の場合、黒川のようなケースは珍しい。


                    五十嵐太郎・磯達雄「ぼくらが夢見た未来都市」



ANSHINCH!さま「足がこむら返りを起こして地獄を見ている時ってどうすりゃいいの?」 は、以前にも記したように疲労→こむら返りのコンボがお約束の私にとって熟読せざるをえないorz


2009-10-05 は黒川紀章党首の「共生の思想」を一部抜粋させていただきました。今読み直しても尚色褪せないどころか道州制の導入などを睨み、一歩先んずる思想否!未来設計であったことがうかがえます。


2009-10-06 は現在アメリカの富裕層(2割で全体の4割の消費を支える)の消費マインドが回復しないことが問題として提起されていますが、ブランド商品について。


2009-10-08 メモしている東金女児殺害事件のその後も藪の中もいいところ。


日立が街を丸ごと造る日--総合電機の枠にはもうとどまらない
>スマートシティ事業である。それも、事業規模は2005~30年の間に世界で41兆ドル(約3500兆円)とも言われる「宝の山」が目の前に転がっているわけだ。
しかし、最大の参入障壁は社内にあった。中国などでスマートシティのプロジェクトが立ち上がる際、日立にも声がかからないわけではない。ただ、その際のオファーは「水処理プラントを作って欲しい」といった個別事業に対するものではなく、「街丸ごと提案してもらいたい」という壮大なものだ。そのための窓口もなければ、対応できる組織もない。この縦割り組織が日立の壁になった。気づいたときには上流を海外企業に抑えられ、競争入札で買い叩かれる。巨大な商機が目の前にありながら、収益面で消耗するばかりだ。


都市計画は一手に引き受けられればそれは美味しいでしょうが、メガシティを想定すればするほど辺縁が無制限に拡大し、中心部には流民が流入しスラムが形成される…といった「都市の失敗」をどう免れ得るかを初期の設計段階でどう組み込むか。おそらくその答えが古から何度も繰り返される題材である高層化なんだろうなと夢想します。


>そこで今年春に社長直轄部隊として設立されたのが「スマートシティ事業統括本部」だ。いずれのカンパニーにも属さず、世界中のスマートシティ案件に入り込むことだけを
狙う。
シンガポールのCoEはその出先機関だ。
まずは後発ながら、天津のプロジェクトにエネルギー関連で参入が決まった。


そういった意味で「スマートシティ」という名称及び狙いはいいのではないかと思います。ただ、日立がいかに総合力を誇るとはいえハードはともかくソフトパワーを有する傘下企業は見当たらない気がしますが。


>茨城県日立市。日立は既に1つの街を造りあげてきた実績を持つ。だがこれから挑むスマートシティは、住民=日立グループの社員の企業城下町とは、対極の姿になる。
[日経BP 09/27]


まずは日立の広告作品として意識して日立市を魅力ある街に創り上げてみればいいのに(それすら出来ないとなると、その能力には疑問符をつけざるをえない)。


106 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:44:28 ID:vkYdzY2Y
阿鼻叫喚、壮絶なる日立の12年間
営利企業ですか?

2010年 ▲1069億円
2009年 ▲7880億円
2008年  ▲581億円  
2007年  ▲327億円 
2006年    373億円
2005年    514億円
2004年    158億円    
2003年    278億円
2002年  ▲4038億円   
2001年   1043億円  
2000年    169億円 
1999年   ▲3278億円      
-------------------------------
合計   ▲1兆4638億円  年平均1219億円


107 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/10/02(土) 22:45:30 ID:vkYdzY2Y
減る続ける日立の資本金

2010年  1兆2846億円
2009年  1兆499億円円
2008年  2兆1706億円  
2007年  2兆4427億円 
2006年  2兆5077億円
2005年  2兆3000億円
2004年  2兆2000億円    
2003年  1兆9000億円
2002年  2兆3000億円   
2001年  2兆9000億円  
2000年    3兆円 
1999年     3兆円      
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10年間で1/3になってしまいました
長期視野の経営バンザイ。


ハウステンボス経営移行半年 手堅い経営で四半期黒字
>4~6月期の入場者は34万9千人と前年同期比2%の微増。入場料値下げが響き、売上高は25億4千万円と13%減少した。それでも、営業赤字は4億円から9千万円に圧縮した。経常損益は3億8千万円の赤字を1億7千万円の黒字に転換した。


これはさんざん冷めた目でコメントをメモし続けてきた身としては、嬉しい誤算としてメモせざるを得ません。現段階では評価の上書きは時期尚早だとしてもそれでもね。


>人件費にはほとんど手をつけず、施設管理などの販売管理費に大なたをふるった。販管費は前年同期の約4分の1にあたる6億円以上を削り、19億8千万円に抑えた。HTBを傘下におさめる前に、園内の施設の価値を見直すことで毎年かかる減価償却費を圧縮したのが効いた。取引先も、必ずしも地元企業を優先せずに契約を見直して節約。多額の借金を放棄してもらって返済負担も軽くなった。これに、佐世保市から受け取る2億2千万円(4~6月)が加わる。固定資産税などの相当分を再生支援の交付金として受け取るものだ。過去のつけをはらってから再建に乗りだし、その後は細かに積み重ねる手法だ。


固定資産税の還付を除外すると、まだ赤字ですがそれでもこの短期間で立派なものです。無駄に外装、外観として維持費がかかる施設の数々をどう削ったのかは興味深いところ。


>入場客1人あたりの売上高は、4~6月期に7300円と前年同期比で約1200円減った。入場料の値下げや、夕方以降の割引チケットの導入、場内の飲食代を値下げした影響だ。沢田秀雄社長(HIS会長)は「極端に言えば入場料はただでいい。多くの人が滞留する観光都市を目指す」と説明。まずは来てもらうことを優先する考えが鮮明だ。 (朝日新聞 2010年9月26日)


そしてHISだからこそできる旅行客を運んでくるという強みの活用と。あとはリピーターをどうやって生み出せるかということにかかっております(カジノ?モール?)。



岡山・倉敷市の観光客、116万人(17.3%)の"大幅減"--チボリ公園閉鎖響く
>倉敷市は2009年の観光統計をまとめた。市内を訪れた観光客数は前年(671万6千人)に比べて116万5千人(17・3%)の大幅減で555万1千人。


こちらハウステンボスならぬチボリ公園閉園を決断した倉敷市の”痛み”。どちらが英断であったかは近々答えは出るでしょう。

>市内の宿泊客数は、同6・6%減の90万8千人。08年秋からの世界的な景気悪化が
ビジネス利用面でもマイナスに作用し、2年連続で100万人の大台を割り込んだ。このうち修学旅行生は1万5千人と同22・5%も減少し、市観光課は「チボリ閉園の影響があった」とみる。外国人観光客は同18・4%減の1万6千人と、2年連続の減少となった。
[山陽新聞 09/23]


外国人観光客にとってチボリ公園なんて関係ないでしょうし、こちらの方こそ憂うべきテーマではないでしょうか。


月額家賃531万円の賃貸マンション、間もなく完成--住友不動産『ラ・トゥール代官山』
>住友不動産は15日、月額家賃を最高で531万円に設定した高級賃貸マンション「ラ・トゥール代官山」(東京都渋谷区)が月内に完成すると発表した。
平均でも家賃は181万円、専有面積が240平方メートルに達する。企業経営者や外国人ビジネスマンが主な入居者となりそうだ。


住友不動産はラ・トゥール新宿すら完賃しているようには見えないのにイケイケドンドンですなぁ。


>7階建て、地下1階で総戸数は139戸。家賃最高額の部屋は最上階にあり、専有面積で500平方メートルを超える。[livedoorニュース 09/15]


頼みの綱の外資あるいは外国人労働者がこの円高でどれだけ計算できるのか。土地の流動化を目指すならば一戸建て優遇税制から、賃貸優遇税制への移行など睨めばいいのにとは思います。


「中原を制するものは天下を制す」…中国・河南省、故事を引き合いに日本企業誘致働きかけ
>河南省の宋●涛副省長は「中国の中央に位置する河南省は交通の要所で、人口1億人以上の有望市場だ」と強調。「中原(ちゅうげん)を制するものは天下を制する」と中国の故事を引きながら同地への日本企業の誘致を働きかけた。


無駄に名句を吐かれてもなぁ。期待があるとするならば現在の首都が砂に沈んで南側の要地に遷都することが見込めそうなことでしょうか(ただ、その場合でも水の豊富なもっと南に行きそうな気もするが)。

>これに対し、訪中団の今井敬特別顧問(新日鐵名誉会長)は「中国の食糧の約1割を生産する肥沃な土地だと聞いていたが、石炭や金属など資源も豊富で第2次産業でも大きな力を持っていることが分かった」と応じ、今後、河南省との日本企業との商談や進出が進むよう期待感を示した。[産経新聞 09/10]


リップサービスはただですからいくらでもサービスしてあげればいいと思いますよ。兎にも角にも日中友好ムードというものがお互いの国内で醸成されることは悪いことではありえません。


世界最古の都市エリコ、1万年記念行事
>エリコは死海沿岸の町で、紀元前9000年と見られる人間の居住跡が発見され、紀元前7000年には都市を武装強化した跡が見られるという
エリコは現在、パレスチナ自治区の中ではイエスの生誕地ベツレヘムに次ぐ観光地で、西岸の治安の安定に伴い観光客が増加している。[世界日報 10/12]


旧約聖書にも普通に語られる都市ですからね。建都1200年だとか1300年だとか祝った日本からしても桁が一つ多い。古いということはそれ自体で価値を有すると。



同年3月5日に発表された黒川のマニフェストも、首都機能の一部を移転すると共に、都内の緑化を促進し、縮小政策に基づくコンパクト・シティ化を提案している。


(中略)


またマニフェストでは、センターコアと放射状の構造から非中心的な環状都市への転換を唱えている。つまり、これは一時の思いつきや晩年の乱心ではなく、デビュー当時の1960年代から主張していたものだ。


鈴木俊一都知事と丹下健三の蜜月関係はよく知られている。ふたりの関係は、大阪万博から新宿の東京都庁舎まで続き、政治と建築の接近から東京の風景が形成された。しかし、黒川にはそうしたパートナーがいない。石原都知事は、安藤にオリンピックの計画を依頼している。


ならば、どうするか。究極の都市デザインとして自らが知事に立候補すること、発注者の側にまわることを考えたのではないか。ただし、当選した場合、黒川事務所は設計を受注しないことを公約に掲げていた。ゆえに、後続の建築家に仕事を分配するメタ建築家としての都知事だったのである。


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▲水没イメージとして主上の「東亰異聞」が紹介されたりと、サブカルチャー総動員で、懐かしい未来都市を十二分に語り尽くす、この手の話が好きな人にはたまらない逸品。