米国とカナダではリスクの概念を取り入れて科学的な対策を立てているが、そんな米国もかつてはゼロリスクの夢を追っていた。その一例が「禁酒法」である。1920年に制定されたこの法律は、多くの敬虔なクリスチャンが推進し、アルコール中毒や犯罪を減らして安全な社会をつくるという崇高な目的をもっていた。しかし、酒を禁止した結果、アルコールに飢えた人たちは闇ルートに走り、これがギャングの資金源になって犯罪が激増した。いわゆる「狂乱の1920年代」である。そして法律の弊害が誰の目にも明らかになった1933年に廃止された。
もう一つは、1958年に米国連邦食品医薬品化粧品法に加えられたデラニー条項で、動物試験で発がん性が認められた物質の食品使用を全面禁止したものである。これもまた、健康保護の観点からは画期的な条項だった。しかし、検査技術の発達とともに、多くの化学物質は量が多ければ動物にがんを起こす可能性があることが分かり、実際の使用量は発がんの恐れがないきわめて少量であっても、その物質は使用できないことになるなどの不都合が生じた。そして1996年の食品品質保護法の成立とともに廃止されて、食品の安全確保の方法は「ゼロリスク」から「リスク分析」へと移行したのである。
唐木英明「牛肉安全宣言 BSE問題は終わった」
ある程度この間に古くなり過ぎたニュースメモは削除しもって、Twitter でもある程度吐き出しているけれどなんだかんだで残っているのが温暖化・食の安全・治安(移民)問題で、これらは随時メモします。
肥満対策に“ソーダ税” NY州などで導入の動き
>ソーダ税論議の背景には米国での肥満率の高さがある。経済協力開発機構(OECD)の調べでは、2007年の米国の「肥満人口」の割合は日本の約10倍に当たる34.3%。医療費も増加の一途をたどっており、一部をソーダ税で賄おうとの考えが大都市部を中心に広まりつつある。
もはや米国の肥満が三年殺しみたいな日本の発明が根底にある ことを知っているのでこの差はあまり不思議ではないのですが、逆に米国の議論がそこに行き着かないことに米国アグリカルチャーの力の強さを感じざるを得ない。
>肥満が原因の疾病の治療に毎年76億ドル(約6900億円)を支出しているニューヨーク州では、パターソン知事が8日に「誰かが費用を負担しなければいけない」と発言し、ソーダ税の導入を示唆。ニューヨーク市のブルームバーグ市長も「1缶に12セント課税すれば、約10億ドルの歳入増」と知事を後押しする。米メディアによると、コロラド州ではソーダ税が5月1日から施行されるほか、フィラデルフィア市でも、3月初めに1オンス(約30グラム)につき2セントの課税が市長から提案されている。(MSN産経 2010.3.25 09:18)
この流れでタバコ訴訟のように直接会社に鉄槌を下す流れになると面白いですな。一体どれだけの巨額の賠償金(参加者は米国民の3~4割ですから大規模訴訟という言葉すら生易しいw)が課せられることになるのか。米国食品メーカーにとって立派な企業リスクになりました。
米ペプシコ、糖分などを大幅カットへ 小中学校での販売も制限
>世界第2位の食品・飲料会社、米ペプシコは22日、同社製品に含まれる糖分、脂肪分、ナトリウムを大幅に削減する計画を発表した。消費者の食生活を向上して健康を促進し、環境にも配慮するための一大キャンペーンの一環だとしている。計画によると、主要市場における主要食品銘柄について、1製品あたりのナトリウム平均含有量を2015年までに25%、飽和脂肪を2020年までに15%、飲料1本あたりの糖分を2020年までに25%削減するとしている。また、糖分の多い飲料の小中学校での販売を2012年までに全世界で中止すると発表した。
子どもを掲げられては抗いようがない(成人ならば運動習慣などとあわせて「自己責任」という言葉が使えるだろうけれど)ということで、まずは子ども。常識的に考えると結局は「量」の問題に行き着かざるをえずそこで食品業界の市場規模もスリムにならざるをえないのではないかと。
>米国では、糖分の多い飲料が肥満率の急上昇をもたらしているとの議論に基づき、政治家や市民団体がソフトドリンクへの「脂肪税」導入を強く訴えている。【3月23日 AFP】
飛行機での肥満プレミマムの動きをメモしたこともありますが、タバコのようにそのうちコーラが安すぎる!?みたいな言説も出てくるかもという具合に生温かく見守っていきたいですな。久坂部医師的に言うならば重いとそれだけ介護が大変になるという観点も忘れてはいけないでしょう。
世界の雑記帳:経済危機のアイスランド、ピザハットもマックに続き閉店
>アイスランドで20年以上営業してきたピザハットは、需要低迷のほか、原材料の輸入コスト急騰、通貨アイスランド・クローナの急落が理由で、3店舗のうち2店舗を閉店することになったと説明。同国では、基本的なピザでも約1600円するという。米マクドナルドも昨年10月、同様の理由でアイスランドから撤退。多くの客が最後のマクドナルドを味わおうと店舗前に長い列を作った。(毎日新聞 2010年4月12日 6時44分)
早い話、アイスランドは蘇らない(少なくとも近い将来において)というように見切られたということでしょう。アイスランドをさんざんぱら持ち上げた古舘やらは恥掻きました。アイスランドを褒めた著名人リスト一覧みたいなのを誰か作ってくれないかなぁw
のど詰まり:食品安全委が提言見送りへ
>作業班は1月、こんにゃくゼリーについて「一口あたりの窒息事故頻度は、あめ類と同程度と推測する」とのリスク評価書案をまとめ、今回の審議で別途、提言を出す予定だった。しかし委員からは再発防止のための規制を求める一方、「逆に規制は困難」など幅広い意見が出され、提言にまとめることを断念した。委員の意見は個別に消費者庁に伝える。(毎日新聞 2010年3月10日 20時21分)
¶ ∧彡
( `Д) 彡 ・ \
返してよぅ /丑/つヽ,)彡 人.ヽ.)
 ̄∨ ̄ ̄ ̄ //丑/(三"'''--/'''" ̄
∧_∧ =≡=( (**)─┘ ヽ
( ´Д⊂ヽ / / ⊇ )
⊂ ノ / / ノ ノ ̄丶 ソ \
人 Y / /// / \ ヽ\ .\
し (_) [こくまろ] 《_/ 《_/ ヽ/ラ丶/ラ
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野田・河野・後藤田はシチュー引き回しの刑にならないかなぁ…。冒頭の書籍「牛肉安全宣言」を参照いただきたいのですが、食品安全委員会において委員が科学的に「リスクが低いと言うことがどれだけリスクがあるか」(皮肉な話ですが)は参照ください。この場合のガンは「買ってはいけない」に未だに洗脳されているとしか思えない(プロ)市民団体です。
「フグ肝特区」再挑戦
>食通から「フォアグラやアンコウの肝よりもおいしい」と言われることもあるフグの肝。しかし、猛毒テトロドトキシンが含まれ、食品衛生法に基づく厚生労働省の規定は、肝の調理や販売を禁じている。特区の申請では、唐津市内の陸上養殖で生産されたフグの肝について、この適用から除外することなどを求めている。
坂口安吾ならば文化というのだろうけれど端的に日本の食い意地オソロシスwwwしかもその肝の美味しさがまさに「毒」にあったらどうするんだろう?
>県によると、テトロドトキシンは、フグが海底のヒトデや貝類を食べることで肝に蓄積されることが、これまでの研究で分かっている。市内の養魚業者による陸上養殖では細菌の少ない濾過(ろ・か)水を使い、オキアミなどのエサを使うことで肝に毒をためないフグを生産できるという。長崎大などの研究協力で、04年の申請時には、陸上養殖したフグ1千匹の無毒データを提示。しかし、厚労省は食品安全委員会からの報告などをもとに「(提案された方法では)食品としての安全性が確保されていると確認できない」として、認めなかった。
まさにBSE問題での議論を横に眺めつつみると面白いお話。かたや即効性の猛毒があるのはわかっているがきちんと処理すれば別段全頭検査ならぬ全匹検査せずして流通する食材、このニュースではさらに一歩踏み込んで処理すべき部位をも食べたいということですからね。
>その後も県は大学などと共同研究を続け、陸上養殖で「無毒」だったフグは4千匹に増えた。3月30日に出した政府への申請では、生産や流通、販売にかかわる業者の認定制度導入や、他のフグが混入しないよう電子タグを活用して管理することなども提案している。(朝日新聞 5.1)
どんだけ食いたいんだよ(唖然)としか思えないのだけれど、「食の安全」ということを考えるに案外、最適の議論を提供してくれているのではないかと。
23 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/05/01(土) 13:06:58 ID:tnVynMko0
フグは毒をもっていない。周辺の毒を取り込んでるだけだって、これナウシカみたいだな
30 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2010/05/01(土) 13:12:56 ID:OrcrjRm70
アホなことを聞く。
映画「おくりびと」の中で、山崎努がフグの白子を炙って食べてたけど、あれは全く大丈夫な食材なの?
あのシーンはまさに見せ場でしたからね(遺体に関する会話もかなり含蓄がありました)。
36 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/05/01(土) 13:18:08 ID:E0PImUnv0
>30
肝臓と金玉(白子)と卵巣は全く別物
47 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2010/05/01(土) 13:46:13 ID:vUqhWU6r0
このまったりとしびれるような舌触り…息苦しいほどの興奮…そして薄れゆく意識
それは死んでるぽw
なんと、1人前4万円!キッコーマンが上海万博に出展する高級料亭の狙いは
>今回の出展企業の中で、最も注目を集めているのが、1人分が約4万円(3000元)の高級料亭「紫 MURASAKI」だろう。しかも、この値段は料理のみで、飲み物は別だ。京都の老舗料亭「菊乃井」「たん熊北店」「魚三楼」の協力を仰ぎ、完全予約制で本物の日本の味とサービスを提供することをうたう。
上海万博のニュースが世を賑わせているのでタイムリーネタとして一応メモ。中国市場をとらえるに富裕層向けはよく言われるけれど、中間・貧困層というもっと巨大なマーケットについては中々ないよね。そしてそれが韓国や中国の家電メーカーに発展途上国の市場を恣にさせていることなんだけど。
>40年前に開催された大阪万博では、「水中レストラン」を出展し、醤油を使った肉料理とワインを提供した。当時、国内では生活の西洋化で醤油離れが懸念されていた。そこで、肉と醤油を合わせることで新しい料理を楽しめることを実演。その後、国内にも広まったという経験がある。その国内も今や醤油の需要が伸び悩み、麺つゆやドレッシングなど関連商品の増加で補っている状態だ。(日経ビジネス 4.26)
敗戦時に小麦を消費すべくアメリカは全国キャラバンなどを組んだように、案外この具体的な調理と食材のセットの広告はバカにならない。
24 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/04/26(月) 13:05:44 ID:WtM7dVky
イギリスに住んでた時に中華食材屋で中国の醤油色々買って試したんだが、基本的に日本の醤油とは違う。豚の角煮とかには合いそうな感じだが、日本人の醤油のイメージとはかなり違う。いい意味でも悪い意味でも無駄に香ばしいと言うか。ま、これは日本人の舌の印象であって、中国人にとっては日本の醤油は違和感あるみたいだけど
28 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/04/26(月) 13:07:44 ID:0IWaw3Zn
>>24
中国のは日本のたまり醤油と同じ方向性
下の方の沈殿物も攪拌して混ぜて作る
日本の生醤油は上澄み
沈殿物のあたりはたまり醤油として売る
他にもアジア各国でいえば普通に魚醤もあるし、文化としての多様性なんでしょう。
47 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/04/26(月) 13:58:38 ID:EwCvHJIu
2005年のメーカー別シェア(キッコーマンの資料より)
キッコーマン ………… 26.3%
ヤマサ ………………… 11.0%
ヒゲタ ………………… 5.2%
ヒガシマル …………… 4.9%
ショウダ ……………… 4.4%
マルキン ……………… 3.5%
準大手9社 …………… 15.7%
その他約1400社 … 29.0%
その他が多過ぎる、日本の食品メーカーは大手でも欧米と比べれば小さ過ぎると言われるけれどこの辺りにも垣間見えます。
英国で新型ヤコブ病が発見されるまでは、日本でも世界でも、新型ヤコブ病にかかった人は見つかっていない。証拠がない以上、大袈裟な対策を考える必要はなく、国際獣疫事務局(OIE)も、どこの国も、現在行われている以上のBSE対策は考えていない。もし、そのようなBSEがほんとうに存在して、人に感染することが分かったら、そのときには「特定危険部位の食用禁止」を続ければ、新型ヤコブ病にかかる可能性はなくなるので、すでに行われている対策で十分だ。
(中略)
こうして「とるべき対策は十分に分かっているのだから心配しなくてもいい」というのが「BSE問題は終わった」という言葉の意味なのだ。
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