現場の作業者が標準作業票を書き換えることで生じる生産性の効率アップが、彼らにも享受出来るように賃金制度が作られ、それによって金銭的インセンティブも与えられたのである。自動車製造は数多くの工程から成り立つため、ややもすればそれぞれの工程がその工程だけの部分最適化を狙った行動にでる可能性がある。それを防ぐために、生産工程全体の成果に連動するように賃金制度が構築された。それだけでなく、作業者のモチベーションをあげるためにさまざまな取り組みがなされた。本書で扱わなかった提案制度もその実態を見れば作業者のモチベーションに関係がある運用をされてきたように思われる。
人材の育成つまり教育が、システムを効率的に運用するためには重大な要素なのである。教育とは「教え育てる」ことであり、教育を受ける側からすれば「学ぶ」ことであり「習得」することである。「学ぶ」「習得」には時間がかかるだけでなく、「深く」学ぶことも「浅く」学ぶことも可能である。ある工程での作業を表面的に行うだけであれば、「習得」期間は短くてすむかもしれない。だが、促成栽培のように「速成」された人材では、現場で生じるさまざまな状況に対応が難しい。それだけでなく、需要の変動に最終組立ラインのスピードをこまめに変動させて対応することもできない。したがって、「トヨタでは国をとわず、その車種にもっとも経験の長い工場が生産の変動をこなす役割をひきうける」ということになったのであろう。そしてその背後には、作業現場を注意深く観察するだけでは見えないシステムが存在しているのである。
フォード・システムを移植した後に、トヨタが自社の作り上げたシステムを「かんばん」システムと呼んだことは、ある意味では自らの最大の強みを知っていたということかもしれない。「かんばん」は、それまでは「看板」であり標準作業票だったのであるから。またシステムそのものではなく、「かんばん」の方にジャーナリストや研究者が多大な関心を寄せるという副次的効果もあったのである。
本書を別の視点から捉え直してみよう。フォード・システムの実現していた高い効率性の源泉がコンベヤー・システムの存在にあるという視点を拒否して、各工程の作業時間を一定にして仕掛品が流れるように工程全体を動くことにあると日本の生産技術者たちは考えた。高精度の互換性部品も、多数のコンベヤーを敷設する潤沢な資金も手にできない状況での対応であったことも事実であろう。それゆえ、工程の細部にまでわたる作業研究や、生産工程を全体として管理する工程管理(とりわけ進度管理)に彼らは重点を置かざるを得なかった。そのためには現場に出向いて動作研究や時間研究を徹底的に行うことになった。
和田一夫「ものづくりの寓話 フォードからトヨタへ」
2009-02-12 は更に一昨年の治安と移民の連立方程式について未だ日本は解を出せていないようですが、前から記しているように時間切れまで解を出さないというのも立派な一つの勇気ある解です。
2009-02-13 はマスゴミのメシウマニュースですけれど、苦境もさることながら、貧すれば鈍するとばかりに正社員の高給与を削る前に制作費や取材費をせっせと削減しているのが病膏肓に入ってます。
09年の労働力人口、6割切る 高齢化・雇用情勢を反映
>働く人の数を示す「労働力人口」が、2009年に戦後初めて6割を下回ったことがわかった。社会の高齢化が進み現役を退く人が増えているうえ、厳しい雇用情勢を踏まえて就職活動をしない人が拡大傾向にあるためだ。日本の労働力人口の減少は国際比較でも際立っており、経済成長を押し下げる要因になることが懸念される。労働力人口が15歳以上の人に占める割合は、09年で59.9%と2年連続で低下した。比較可能な統計がある1953年以降でこの比率が6割を下回るのは初めて。(日経新聞 2.12)
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Y^f' 0-0i^Y ロボット兵よろしく機械に介護に始まり、労働全般委託する道を
〕:i ゝ__ノ i:〔 選ぶしかないとのかなぁと。そしてそれが上手く行けばそれはそれで
〕┤/iイ.i├〔 古代ギリシア・ローマの如き文明となりうるかもに。
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45 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/02/12(金) 18:24:15 ID:Rq5ppOeU
有効求人倍率0.47倍。この雇用情勢をなんとかしてから言えよ"( ´,_ゝ`)プッ"
一般職業紹介状況(平成21年12月分及び平成21年分)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000003v91.html
1 平成21年12月の一般職業紹介状況をみると、有効求人倍率(季節調整値)は0.46倍となり、前月を0.01ポイント上回った。
新規求人倍率(季節調整値)は0.87倍となり、前月を0.07ポイント上回った。
正社員有効求人倍率は0.28倍となり、前年同月を0.19ポイント下回った。
12月の有効求人(季節調整値)は前月に比べ0.2%減となり、有効求職者(同)は2.1%減となった。
12月の新規求人(原数値)は前年同月と比較すると17.4%減となった。これを産業別にみると、前月に引き続き、
情報通信業(29.9%減)、運輸業,郵便業(29.2%減)、宿泊業,飲食サービス業(28.6%減)、建設業(25.7%減)、
卸売業,小売業(25.1%減)、製造業(15.1%減)、生活関連サービス業,娯楽業(14.6%減)、サービス業(13.4%減)、学術研究,専門・技術 サービス業(10.0%減)、医療,福祉(7.8%減)は減少となった。また、教育,学習支援業(5.2%増)は減少から増加となった。
都道府県別の有効求人倍率(季節調整値)をみると、最も高いのが島根県の0.65倍、最も低いのが沖縄県の0.28倍となった。
2 平成21年平均の有効求人倍率は0.47倍となり、前年の0.88倍を0.41ポイント下回った。
平成21年平均の有効求人は前年に比べ28.5%減となり、有効求職者は32.1%増となった。
世界的好況を国内に持ち込めなかった当時の為政者を、そしてそんなのに誑かされた国民のツケを今支払っています。雇用がなければいくら労働者がいようが社会不安の種にしかなりませんからね。
62 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/02/12(金) 21:34:29 ID:EGvyNeOp
【人口構成の推移】
総人口 0-14歳 15-64歳 65歳-
2010年 12700万人 1600万人(12.7%) 8100万人(64.0%) 3000万人(23.3%)
2020年 12000万人 1100万人(*9.6%) 7300万人(60.5%) 3600万人(29.9%)
2030年 11240万人 *940万人(*8.3%) 6600万人(58.6%) 3700万人(33.1%)
2050年 *9120万人 *620万人(*6.8%) 4600万人(50.4%) 3900万人(42.8%)
【2050年の美しい日本の姿】
総人口:9000万人 →人口が激減して経済や社会制度は崩壊
平均年齢:57.9歳 →ジジババ王国
高齢者人口:3900万人 →総人口の4割強が老人
生産年齢人口:4600万人 →現役世代1人で老人1人を支える
年少者人口:600万人 →子供はもはや絶滅危惧種
68 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/02/12(金) 23:54:37 ID:xkND+8Qs
移民排斥したら自分が移民になったでござる
そうならないことを祈ります(まあ、ならないと思うけれど、上の悲惨な見通しをもってしても9000万人という市場を確保出来るわけですし)。
昨年の給与総額3・9%の大幅減 過去最大の落ち込み
>厚生労働省が2日発表した毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所)速報によると、平成21年の1年間では、基本給やボーナス、残業代などすべての給与を合わせた1人当たりの現金給与総額は月平均で、前年比3.9%減の31万5164円と3年連続のマイナスとなった。減少幅は、現行の調査方法に移行した平成3年以降で最大となり、デフレが深刻化している実態を浮き彫りにした。
デフレ良きものという言説をとんと見なくなったのが、前回のデフレ不況から引継だ遺産かもね。物価下落分以上に給与が減っているのは明確と。
>内訳は基本給が1.2%減の24万5758円、ボーナスが12.1%減の5万2734円、残業代などの所定外給与は13.5%減の1万6672円。ボーナスと残業代の減少幅は過去最大だった。所定外労働時間は月平均で9.2時間と前年より15.2%減少。特に製造業は32.2%減の10.5時間と大幅に落ち込み、リーマン・ショックに伴う世界的な景気後退で工場などでの減産の影響が大きかったことを浮き彫りにした。(MSN産経 2010.2.2 10:45)
なんかまるで希望の星のように持ち上げられ始めている舛添は自身が大臣の時に推進しようとした”家族団らん法”と同じ成果を上げられたことをどう考えているのか誰か聞いてみたいとは思わないの?
役員報酬、今期から個別開示義務付け 金融庁方針、経済界反発
>金融庁は2010年3月期から、上場企業などの情報開示を強化する方針だ。現在は有価証券報告書で任意に公表している役員報酬について、総額と役員ごとの金額を記載するよう義務づける。企業間で持ち合う株式の状況や、株主が行使した議決権の結果も開示させる。経営情報を透明化し、株主や投資家の監視を強めるのが狙い。ただ企業の反発は根強く、流動的な要素も残る。 (日経新聞 2.11)
ソニーは毎年株主提案で開示を求められては否決してきた(ただ着々と賛成票は増えてきました)のにこれで無意味ですね。ただ、経営者がその職責に、その経営手腕に相応しい報酬を受けているのなら何ら怖がる必要はないのではないの?そうそれこそ盗聴法を通した時の、あるいは監視カメラを導入する際の理屈と同じです。
JALに続いて近ツーも 企業年金「減額」ラッシュの悪夢
>JALに端を発した「年金」問題が、他社に飛び火した。旅行代理店大手の近畿日本ツーリストが約1400人の退職者を対象に企業年金の減額を提案し、3分の2にあたる退職者の賛同を得たことが分かった。同社は、今後現役社員にも減額を要請する考えだ。
いかに財を高齢者→若者へと移転するかという部分で搾取を減らすという意味で年金減額も意味があるでしょうが、私は普通に介護報酬を引き上げればいいだけのような気がしてなりませぬ。
>JALの退職給付債務は8010億円にのぼるのに、企業年金資産は4084億円しかなかった。積み立て不足の企業はゴマンとある。上位の企業を拾うと、1兆円を超すのがNTT(1.6兆円)、日立製作所(1.08兆円)で、東芝(7200億円)、JR東日本(6600億円)、トヨタ(6500億円)、三菱電機(5900億円)、ホンダ(5600億円)が続く。(日刊ゲンダイ2010年1月28日掲載)
この中だと日立がちょっと怪しい香りがしますか。一時は東芝と株価もどっこいだったのにすっかり差がついちゃいましたからね。東芝は増資のタイミングと巨額投資の組み合わせがうまいと正直感心します(業績はついてきてないけれど)。
【日本版特別寄稿】新政権のビジョン=榊原英資早稲田大学教授
>日本はかなりアメリカ的社会になってきている。経営効率や競争が強調され、格差や貧困率がアメリカ並みに高くなってきているのだ。OECD(経済開発協力機構)のデータによると、日本の相対貧困率13.5%。アメリカに次ぐ貧困大国である。(アメリカは13.7%、OECD平均は8.4%) フランス、ドイツのそれは、それぞれ6.0%、8.0%である。実は、市場所得段階での相対貧困率はフランス(24.1%)やドイツ(20.5%)の方が日本やアメリカより高いのだが、それを所得の再配分によって修正し、大きく格差を是正しているのだ。
もちろん、榊原というその時々でスタンスが変わる風見鶏の名前を見た瞬間にポイちょしたくなる気持ちは分かりますが、その意味でこういった言説が「流行り」になったんだとある種の感慨に浸れればそれでいいんじゃないかと。
>政府の歳出の規模からすると、大きい順にフランス、ドイツ、日本、アメリカということになる。日本はヨーロッパとアメリカの中間にあるが、この差は主として公的家族支援策の大小によってもたらされている。 ちなみにフランスは公的家族支援策のGDP比率は3.03%、ドイツ、アメリカ、日本はそれぞれ2.01%、0.70%、0.75%である。(2003年ベース)フランスの家族支援策が圧倒的に高いが、そのかいあって、フランスの出生率は2.0を超えている。
ダウト!アメリカの出生率の方がフランスより高いですw
>無駄を除くことは重要だが、福祉を充実し、格差を解消するための歳出の拡大と増税をためらってはならない。そろそろ「小さい政府シンドローム」から抜け出る時期が来ているのではないだろうか。(2010年 2月 10日 17:34 JST)
結論は同意します、というかまずは後輩に円売介入のやり方教えて上げてよ。
80 名前:名刺は切らしておりまして[sage] 投稿日:2010/02/13(土) 12:30:18 ID:cGnKxSlb
家族関係給付のGDP比 出生率
日 0.75% 1.3
米 0.70% 2.1
伊 1.30% 1.4
独 2.01% 1.3
英 2.93% 1.9
仏 3.02% 2.0
瑞 3.54% 1.9
瑞(スウェーデン)
113 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/02/13(土) 13:25:55 ID:pGfjg5jA
「小さな政府シンドローム」からの脱却と言う主張はハゲドウ。
そもそも日本は、社会保障費対GDP比で見たらとうの昔からずっと小さな政府な罠。
社会保障給付費の国際比較(OECD諸国)(2003年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2798.html
OECD諸国の医療費対GDP比率(2007年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1890.html
それに大きな政府、小さな政府論争で決まって出てくる公務員叩きだけど、
公務員の人件費や人員数にしても、欧米主要国と比べたらずっと少ないほうな罠。
公務員人数の国際比較(2005年)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5190.html
3.各国の公務員総人件費 1)各国の総公務員人件費比較 (資料の21ページ目)
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou030/hou21-2.pdf
117 名前:名刺は切らしておりまして[] 投稿日:2010/02/13(土) 13:29:01 ID:pGfjg5jA
>>113 つづき
ただ、後半、結局お約束の消費税引き上げ論を持ってくるのは頂けないなw"( ´,_ゝ`)プッ"
そもそも、日本は国民が支払った税金や社会保険料のうち、
実際に社会保障政策に還元される割合である”社会保障還元率”が欧米諸国と比べてずっと低い国な罠。
国際比較すべきは「社会保障還元率」
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/gkhtml/gktop/gk6s/gk6s5p/gk6s5p.html
と、同時に、日本の場合、欧米諸国と比べて、企業の社会保障負担がずっと少ない罠w(企業はなにかにつけ海外に比較して法人税の引き下げを要求するが社会保障負担の少なさは華麗にスルーw)
2008-09-22 社会保険料事業主負担は先進国の中では最低水準(資料編)
http://d.hatena.ne.jp/zundamoon07/20080922/1222088011
こちらは属人(人格/過去言説/墓荒し)批判ではない真っ当な補則と批判の組み合わせ。花丸100点満点!
完成したシステムには、それがどのように生成したかを示す痕跡がまったく消え去ってしまうことも多々ある。だが、独立した会計単位のサプライヤーとトヨタとの間での配送では、運行ダイヤが消え去らずに、過去の痕跡を残しているのである。少なくとも部品の動きから見れば、後工程から前工程への引取りという原理は、トヨタの自動車生産の全行程には貫徹されていないことになる。この状態でも生産は円滑に続行されてきた。これで良しと考えるか、「後工程から前工程に部品を引き取りに伺う(プル)」ことを最終工程から生産の全行程にわたって徹底して行うべきかと考えるかは、コスト面を含む経営判断に委ねられよう。
和田一夫「ものづくりの寓話 フォードからトヨタへ」
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- ▲久方ぶりにAmazonレビューを書きました。要は大量生産から合理化にいたるまでは継続性があり、そこでは革新的な技術革新やアイデアというより地道な小さな「改善」の積み重ねが大事ですというお話。そしてその過程ではフォードの当時破格の5ドルの日給と言い、労働者のインセンティブも決してその成功神話の形成過程で落とされてはいけない大事なピースです。ちなみに何がタイトルの「寓話」なのかはきちんと最後語られています。それはこの分厚い本を自ら読んだ人へのご褒美として相応しいかと思うのであえて抜きません。