EBM(エビデンス・ベイスド・メディシン)では科学的根拠の水準と研究方法とが対応付けられている。数字の小さい方がエビデンス性が高い。バデノックとヘネガンから簡略化して引用しておく。
レベル一:ランダム化比較試験のシステマティックなレビュー(メタ分析)、盲検法的な手法によるランダム化比較試験、ある治療法の導入前は全員死亡したが導入後は全員が助かったという感度の高い症例の累積研究
レベル二:コーホート研究のシステマティックなレビュー(メタ分析)、追跡率80%以上のコーホート研究、死亡率や罹患率など明確な尺度による研究
レベル三:均質な症例対照研究によるシステマティックなレビュー、重要な尺度について盲検的で客観的な比較を行った症例対照研究
レベル四:症例集積研究、質の低いコーホート研究や症例比較研究、明示的な批判的吟味を欠いた専門家の意見
EBMでは、単なる症例研究や、専門家の意見は、エビデンス性では最下位に位置づけられていることに注意しておきたい。一人ひとりの医師の経験の範囲は限定的であり、科学的根拠としては不十分だからである。
村上宣寛「心理学で何がわかるか」
2008-11-19 は、大学の経済学部の名が廃る泣く子も黙る運営成績の数々…そんなことよりも2年前が生涯一共生新党員の誓いの日、時が過ぎるごとにその誓いの想いは強まるばかりです(キッパリ)。
まずは知性の欠片も感じられない毎ゴミ新聞の社説を、こういう悪質デマを流しているから潰れ「た」んだという近い将来の貴重な資料として全文検証しておきます。
毎日新聞11月19日社説:犯罪白書 「規範意識」が低下した
>昨年6月の白昼、休日の買い物客でにぎわう東京・秋葉原の交差点に男がトラックで突っ込み、次々と人々をナイフで刺し、7人が死亡、10人が負傷した通り魔事件は、今も記憶に新しい。08年の犯罪動向をまとめた今年の犯罪白書によると、凶器を使って人を無差別に殺傷する通り魔事件が、秋葉原事件を含め14件起きている。04年以後07年までの4年間が各3、6、4、8件だから、データは少ないものの急増ぶりが目立つ。
というか、前科がある ので今回の社説を書いた恥ずかしい人間として、「心の栄養失調なる」迷言を吐かれた三木賢治なる記者様をこの匿名記事の犯人として疑ってもいいよね?よね?
>一方、警察庁によると、今年に入り強盗や事務所荒らし、ひったくりが増加している。昨年9月のリーマン・ショック以後の経済・雇用情勢の悪化と一定の関連性があるとみている。秋葉原事件の被告は、派遣社員として各地を転々とし、動機を「人生のうっぷんが出てきて嫌になった」と供述した。経済の行き詰まりが凶悪事件に結びつく昨今の殺伐とした世相が浮かび上がってくる。
「経済」という毎ゴミ程度の知性でもわかるわかりやすい材料を与えられても、「殺伐とした世相」に結局は結びつくのかorz わかりやすい材料がなければないで、「心の闇」とか万能キーワードと結びつけて「殺伐とした世相」に持っていくくせに。なんという一択な一本道なクソゲー(#・∀・)カエレ!
>白書の数字では、検挙率が気にかかる。交通事故を除く刑法犯で、昭和時代(戦後)は50%を超えていた。それが01年に19・8%まで下落し、その後右肩上がりに回復して07年は31・8%だったが、昨年わずか(0・2ポイント)とはいえ低下したのだ。英国人女性の死体遺棄容疑で指名手配中だった市橋達也容疑者が2年7カ月の逃亡の末、民間からの通報を元に逮捕された。もちろん警察の捜査能力が第一に問われるが、犯罪の多様化が進み、警察の力だけで検挙率を高め、治安を保つのが難しいことを象徴するできごとだ。
検挙率悪化のカラクリについて未だにこんなにナイーブな言説を吐けるその情弱ぶりが光っています。まだまだ浜井浩一教授の出番は多そうです!しかし、さんざん見聞きしたような「地域社会が崩壊したが故に隣近所に誰が住んでいるかなど聞きこみが無効になったから検挙率が低下した」という「昔話」に従うとしても、今回の「通報しますた!」の多さは明るいエピソードとなると思うのは私だけ?
>どう民間の力を生かすか。安藤隆春警察庁長官は今月6日、日本記者クラブの講演で「日本の良好な治安を支えてきた国民の高い規範意識と、学校や地域などの共同体の存在感が共に低下しているのではないか」と懸念を示した。各地の少年補導員に聞いたとして長官が披露した話を一部紹介したい。最近の非行少年は、万引きをしても「皆がやっているのに、何で悪いのか」という反応が返ってくる。家庭や学校に居場所がなく、親の年齢や職業、自分の住所さえ知らない。一方の親は「代金を払えば済むのに、なぜ警察に通報したんだ」と店に食ってかかる、というのだ。
治安良好というより治安良化したという圧倒的、厳然たる、有無を言わせない事実は、警察庁長官の論理に従うならば国民の規範意識が高くなり、共同体の存在感が増したということに繋がるよ。
>いかにも寒々しい風景だ。若者が社会ルールを守る意識に乏しいのは親世代に責任があることを示す。この話の教訓として、防犯教育の必要性も指摘しておきたい。罪を犯せばペナルティーがある。例えば窃盗でも最高10年の懲役だ。また、被害に遭わないためにはどうするか。警察は学校と連携し一部で防犯教室を実施しているが、さらに積極的な展開が必要ではないか。
押し紙のような詐欺行為についてもペナルティーを科さないとだめですね。
ちなみに以前メモ してるので、産経の知性についても同問題で比較できます。何度でも繰り返しますが、ようは科学的、論理的、定量的…いわゆる「常考(こういうものが常識になることを切に祈ります)」が大事なのであって、立ち位置が右だろうが左だろうがバカはバカというだけのことです。
小中学生の万引き急増
>群馬県教委が18日発表した小・中学校問題行動等発生状況の独自調査によると、今年度上半期(4~9月)に万引きが報告された県内の公立小中学校の児童生徒(延べ人数)は計195人で、前年同期比57人増(41%増)だった。
体感治安悪化に結実させたマスゴミの典型的な不安煽り記事の典型例です。「急増」「41%増」というセンセーショナルな文句とは裏腹にたった57人ですからね、それも殺人や強盗ではない「問題行動」が。それとも読売新聞におかれましては「100人の村」にでも住んでいるのでしょうかね?いくら群馬県とはいえ生徒数は百人単位ではないと思われ。
>県教委義務教育課によると、万引きや生徒間暴力などの問題行動を起こしたのは、小学校で223人(前年同期比76%増)、中学校で579人(同42%増)だった。特に、内訳では、万引きは、小学校でトップ(43%)、中学校でも2位(17%)で、喫煙は、中学校でトップ(150人、前年同期比69%増)だった。このことから、同課はこうした初期型の犯罪は「集団での暴力行為や薬物乱用への入り口になりかねない」として、小中学校への注意喚起を強化するという。
万引き、喫煙でトップ2ですよ!もうお前ら、戦後混乱期や、全共闘世代に謝れ!ってレベルの「問題行動」ですよ。
>一方、いじめは小学校73人(同20%減)、中学校143人(同22%減)。教師がいじめととらえたものすべてを数えた2006年度(年間)の小学生999人と中学生983人から大幅に減ったが、同課は「いじめの定義が明確になり、実数に近づきつつあるため」と説明した。(2009年11月19日 読売新聞)
何この都合のいい解釈。増えたら凶悪化で減ったら実数に近づきつつあるためって、その根拠はwhere?問題解決という観点から考えると冒頭に抜いたEBMの欠片も感じられない解釈乙であります。
7 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 09:41:12 ID:aHeXFUOD0
警察への通報が増えたからじゃね
当たり前すぎてつまらないけれど、だれか教育委員会にはそういうツッコミをしてくれる人は皆無だったのでしょうか?なんという学力崩壊。
72 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 10:03:14 ID:EvC4mbao0
傍若無人の“オジサン”“オバサン”増殖中
http://news.livedoor.com/article/detail/4146636/
>コンビニでは年寄りの万引が急増。しかも店員に発見されても「ケチ!」なんて開き直るという。
埼玉で高齢者の万引き急増、昨年摘発は過去最多1145人
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090614-OYT1T00047.htm
>「いつも買っているのだから、たまにはいいでしょ」「太陽の光の下で、色を確かめようと思っただけ」など、あきれる言い訳も目立つという。
165 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 10:49:27 ID:or8B3QhoO
おいおい、群馬県だけのデータで世相を語るなよ
226 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 11:29:56 ID:aPq07ZT+0
群馬県の親は躾してから県外に出せよ。大迷惑だろ。
福田や小渕、中曽根を長年支持しておいて、社会不安を撒き散らすなよ。
商売している人がかわいそうだろ。
保守の土壌がよくないのですね(棒読み)
230 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 11:35:27 ID:1dG6hrWc0
万引き急増=監視カメラの効果なし。
よく監視カメラは犯罪抑止力になり得るのかの議論が出るが、万引きに関してはなり得ないの結論を出さざる得ない。警察は監視カメラが犯罪抑止に有効みたく主張しているが、あれは嘘だったのか。
警察はとんでもないチンピラ組織だね。
423 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 14:55:40 ID:Znys9qNf0
まぁ実際は昔のがよっぽど少年犯罪の数が多いんだけどな
三丁目の夕日の時代とか最悪
三丁目の夕日の例は、浜井教授の十八番ですな。
490 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 16:32:41 ID:QDbioQqR0
先に警察に連絡した上で、親を呼ぶ。
順番逆だと、刃傷沙汰になるので注意。
586 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 21:34:50 ID:KdWX7mgm0
厳罰化していくしかないだろう
未成年者でも数百円の品物でもきっちり逮捕
学校の掲示板に「○月×日、5年1組の山田太郎は~で~を盗んだ」みたいに貼り出して晒す
588 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 21:41:12 ID:siRK/4euP
どっかの本屋では発見次第警察呼んで、親に10倍の値段で買い取らせてたっけ
500円の本を盗むと5000円取られるから、貧乏な親ほど真剣に怒るんだってw
で、そうするって店内に張っておくだけでも万引きが半減したらしい。
火遊び火災、7割はライターが原因
>東京都の報告によると、過去10年間に起きた12歳以下の子供の火遊びによる火災のうち、7割以上はライターが原因で、5歳未満の子供の場合、死傷者が出る確率は8割に上るという。
二次元規制する前に子供を守るために出来ることがある!ってアグネス・創価・野田辺りの前に餌としてぶら提げておきたいです。
>こういった火災を防ぐため、東京都は18日、「ライターに子供が操作できない安全装置が必要」とする報告書をまとめ、19日にも消費者庁と経産省に新たな法規制を求める意見を述べる予定。(日テレNEWS24 2009年11月18日 22:35)
まずは耄碌した都知事に都財政を使っての子供銀行やら運動会やらで博打、火遊びができないような安全装置や法規制をしてから言えよwww
4 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 00:31:40 ID:fLXKgrUL0
100円ライターにも課税して1000円にすれば激減するよ
17 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 00:37:33 ID:Rf9Pfr8H0
火打石でおk
天才現る、東京都のお役人さまになれちゃうんじゃないの?
111 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 01:41:40 ID:dReY4L3MO
タバコ吸わない家庭だって、仏壇があればライターもあるだろ。
毎日ロウソク灯して線香あげるのを、子供は見てるし。
最近はアロマキャンドルとかする人もいるから、結構ライターの1つくらいはあるんじゃないの?
要はカッターナイフか何かと同じで、使い終わったらしまえばいいだけ。
230 名前:名無しさん@十周年[age] 投稿日:2009/11/19(木) 08:47:41 ID:hK1mvEJOO
バカバカしい無駄な調査報告の典型
ニートが無職なのは職業に就かないのが原因ってのと同じ。事業仕訳の対象だな
628 名前:名無しさん@十周年[sage] 投稿日:2009/11/20(金) 00:11:11 ID:b3+7vp4k0
ある意味ネットより危険なんだから、ネットにつないで年齢認証システムを介さないと着火できないような仕組みを百円ライターにも義務つけるべき。
通勤車内で飲食する大人たち すたれる公共マナー 寛大な風潮が助長か
>都内を走る鉄道、バス各社は車内での飲食は禁止していない。あくまでも利用者の良識に委ねられているのが現状だ。JR東日本では、駅構内の売店や普通車のグリーン車内でも弁当や酒類などを販売している。このため、「おにぎりやサンドイッチ、弁当などを車内で食べることを禁止すれば、駅弁までも否定することになる」と消極的だ。東京都交通局も「飲食の善しあしは線引きが難しい。お客さまそれぞれのモラルに任せている」(広報担当)と話す。
大人はモラルに任せ、子供は道徳教育の強化や厳罰化、、、意味がわからないぽ。
>こうした中、マナー啓発を呼びかけるポスターで注目を集めているのが、東京メトロの「家でやろう。」シリーズ。利用者から寄せられる苦情をシンプルなイラストにし、月替わりで紹介。迷惑行為をした人にさりげなく自分のことと気付かせ、公共の場にふさわしい振る舞いを考えてもらう狙いだ。ポスターは昨年4月から駅構内に張り出され、利用者から「分かりやすい」などと好評なため今年度も継続。最近は学校教材への掲載についての問い合わせが多いという。
大人には優しいですね。
>迷惑行為のトップは「座席の座り方」-。社団法人「日本民営鉄道協会」(東京都千代田区)が昨年度、男女約800人に駅と電車内のマナーに関するアンケートを実施。「最も迷惑に感じる行為」の総合1位は、5年連続で「座席の座り方」(15・6%)だった。時間帯別では、平日朝のラッシュ時は「ヘッドホンからの音漏れ」(19・1%)、平日深夜は「泥酔状態での乗車」(35・8%)。土日と祝日では「電車内で騒ぐ」(21%)で、時間帯や曜日でそれぞれの特徴が見られた。(11月17日13時14分配信 産経新聞)
で、これも最後は戦後教育、日教組が悪いんです><ともっていってくれると信じていたのにある意味、産経にはガッカリですよ。
13 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 11:39:34 ID:UNkLl9I20
最近の若者叩きたいだけな気がするが昔の方がもっと酷かったらしいねw
色々辿ったらあったよw
電車でみかけたこんな人、あんな恋 - くらやみのスキャナー
http://d.hatena.ne.jp/kataru2000/20061015/p1
275 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 21:37:57 ID:Wb11Ysdz0
身近で地下鉄サリン事件があった俺としては電車の中が飯食ったり出来るだけの安心出来る空間であることはむしろ積極的に評価したい。社会的な安寧秩序が維持されてることの一つの印である。
万が一いつテロにあうかとか強盗にあうかとかのピリピリした状況になったら
そんなことで論争していた平和な日々がいとおしく思えるに違いない。
ちょっとしんみりしちゃったよ、おい┐(´ー`)┌ マイッタネ♪
呼び出し状への辞退者、予想以上
>12月14日に初公判が開かれる殺人事件を対象にした県内第1号の裁判員裁判で、佐賀地裁は18日、裁判員候補者への呼び出し状を、10月28日に発送済みの73人に加え、発送候補として40人をさらに追加で無作為に選んだと発表した。呼び出し状に同封した質問票の返信に、辞退の申し出が予想以上に多く、裁判員の選任手続きに支障を及ぼすおそれがあるためという。(朝日新聞 2009年11月19日)
市民の「義務」として考えると、これもまたモラルの低下と憂う論調とは無縁の子。事業仕訳で無事裁判員制度の告知活動は切られようだし、そろそろ口の端にものぼらなくなるかもね。
21 名前:名無しさん@十周年[] 投稿日:2009/11/19(木) 11:37:59 ID:Dt3yvEKZO
市橋のケースなら何とかだけど女子大生バラバラ内臓抜き取り殺人なんかで呼ばれたら・・・
24 名前:被害者参加制度@裁判員制度のため[sage] 投稿日:2009/11/19(木) 11:42:46 ID:OgUZZk6BP
>>21
島根腑分け事件か。
松江地方裁判所管内に在住で、来年分の裁判員候補者の通知が届いた人、嫌~な年越しだろうな。
以下 アニメ感想
「とある科学の超電磁砲」第7話
御琴可愛いというか、インデックスなんかでしゃばらせずに前作から彼女メインでやればもっと人気出たであろうにもったいない、もったいない。
「鋼の錬金術師」第32話
爺参戦。
「聖剣の刀鍛冶」第7話
いっときの微笑ましい情景も最後の最後で落としました。しかし、メイド最強伝説というのは定番ネタですな。
「そらのおとしもの」第7話
いよいよもってシリアス路線ですか、これまた怪作になりそうだっただけにもったいない。
「秘密結社鷹の爪カウントダウン」第7話
前半の外来生物の古墳ネタが真面目すぎて作者の狙い通りドン引きしたよw
「ランダムに500人の患者を抽出し、ある特定の治療を行い、他の500人の患者に他の治療を施した場合を想定しよう。そして最初の500人の群の死亡率が二番目の500人の群に比べて高かった場合、最初の群の治療は、二番目の群に比べ、より不適切かつ効果の少ないものであったと結論付けるべきであろう」
人の命をこのように冷たく扱って良いのだろうか。この統計的考え方には反感を募らせる人も多いだろう。「科学の知」は、分析的で、冷ややかで、個人的文脈を認めない。一方、臨床心理学や精神医学の専門家は、個人的文脈を重視し、世界との関わりの中で患者を理解しようとする。つまり「臨床の知」である。おそらく、このように反論するだろう。
「このような医療は、まったくの経験偏重主義である。そこには、何ら論理的な帰納がなく、実験的観察と断片的な事実という低次元に根ざすものに過ぎない。生身の患者それぞれが持つ特異体質すべてと対峙すべきであり、数量的方法では患者の個人的特質をすべて剥ぎ取り、質問の持つ偶発性の価値を排除してしまう。個別の症例においては数量に依存するよりも見ることの価値に重点を置いて判断すべきである」
実は、最初の発言は、1836年にフランスのピエール・ルイが数量的方法の概略を説明した部分である。反論の部分は、フランスの科学アカデミーの数人の議論をまとめたものである。ルイは、医学統計の創始者で、ラ・ピティエ病院で簿記係のように、数百人の患者に、発病の時期、病状、既往歴など、決まった質問を繰り返してデータを収集して統計的な一覧表を作成した。
(中略)
ルイの始めた医学統計学は、フランスの科学アカデミーによって、生身の患者自身を見ないと批判され、クロード・ベルナールの権威によって100年間、抑圧されて、衰退した。しかし、医学統計学はイギリスで進歩し、100年後にフランスに輸入されるに至った。人の死を数えるという冷たい医療統計学は何をしたか。2500年間の誤った治療法を改革し、数え切れない人命を救ったのではないか。生身の患者自身を見ないと批判し、瀉血という従来の治療法に拘った人たちは何をしたか。何万人かの人命を損ねたではないか。
村上宣寛「心理学で何がわかるか」
- 心理学で何がわかるか (ちくま新書)/村上 宣寛
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- ▲まさに心理学の荒療治ともいうべき書。というか、日本の心理学を似非科学塗れにした主犯の故・河合隼雄教授の講義も受けられたのですね。全編にわたって科学ではない心理学(認知・進化・教育・発達・療法)を滅多切り。村上教授は本を出されるたびにお口が悪くなっているように感じられてならないけれど、私のような人間からすればそれがまたいい。私が当著で知ったのはうつ治療において運動療法が最も効果が高そうだという部分でしょうか、、、ある程度心理学に嗜んでいる人でも見落としというか目鱗な情報の一つ、二つあるのではないかと。超お薦め(メディア悪影響論に関するくだりはまたいずれ別途抜きます)。