とりあえずヨン氏の容姿を含めて何がいいのかがさっぱり分からない。そもそも韓流ドラマなんてどれも70~80年代に日本で流行したトレンディドラマ(死語)の焼き直しとしか思えないんですけれど。韓国独自の問題を孕んでいる血なまぐさい南北分離を含んだ映画はスルー。そんなに純愛が見たいなら宝塚だって、少女漫画だってあるのにね。足元にあるものを見ようとしないで、遠くからの輸入品に大騒ぎなんてなんだか貧しい国みたいでその有様をみてるとこちらが気恥ずかしさを覚えます。まあ、きっと来年の今頃にはテツ&トモ並みになっていることは予想されます。ただ、旅行業界や映画業界のバックアップがあるからそれなりのマーケットは維持するかな?
「狂騒的に一つのものに群がる流行現象~(中略)~今乗り出さなければ自分の取り分がなくなるのでは、仲間外れになるのではという不安感が醸し出され、その勢いを加速させる。過剰な不安を覚えるのは共同体を支える普遍的な理念が欠落していて足場が定まらないからだ。しかし強迫的に駆りたてられた行動はある程度時間がたって人々が冷静さを取り戻すと急速に沈静化し、不安感が一転してそれまで流行に翻弄されていた自分を恥じる感覚と入れ替わる。その時点で需要は急速に減少し、ブーム現象に向けて供給されていた商品やサービスは劇的な値崩れを余儀なくされる。まさに「量」の社会ならではの栄枯盛衰の大きな振幅ー」
武田徹「流行人類学クロニクル」
90年代の流行を一つ一つまとめた辞書並みの厚さを誇る名著です。まさに流行している当時に書かれた論考なので、今になってふりかえると何とも言い難い時の断絶を感じます。当時の私は小学生から中学生に相当するんですけれどそれでもバブルの香りに感じていた違和感を懐かしく思い出させてくれます。各論考は、流行についてそれが誰によって、どういう動機付けで駆動されているか、そしてどのような問題を孕んでいるか、そしてその先行きはと感傷に流されることなく、冷静に観察しているのですが、それでもそのまさに圧倒的な流行の「量」の前に流行自体が流されていることが全体として伝わってきます。そして流されるうちに流行という現象自体がそのスケールや期間という点でね…。読み物として面白いだけでなく、流行を考える上で必須の一冊です(分量に比べればリーズナブルなことこの上なし)。