「大衆的狂気のドラマは特にそれを離れた立場から見る場合とても面白い。それぞれの投機のエピソードがいつも決まって同じような形で終わるということを知った時、それ見たことかといった満足感にうたれる」
ガルブレイス「バブルの物語」
日銀が福井総裁の下、実質的にリフレ政策に舵を取り始めていたところに、中国特需とアメリカの好景気のおこぼれで中途半端に外需とほぼ4年サイクルの設備投資の循環で中途半端に景気が回復したのが痛すぎる。
おかげで内需に火がつかないまま、今一歩リフレ政策(インフレ目標と日銀による国債買い切りね)に踏み込めないまま現状維持になってしまった。あとは山本一郎「投資情報のカラクリ」
でも読めば一目瞭然な中国バブルの現状(まさにどこかの国がいつか来た道を着々と歩んでますな)と、クルーグマン「嘘つき大統領のアブない最終目標」
からアメリカの現状を鑑みれば外需頼みの日本の危うさが分かりそうなものですがねー。
ただ「嘘つき大統領のアブない最終目標」はそのように読むものでは決してない。前作の「嘘つき大統領のデタラメ経済」
と対になっている。その核心は革命が起こっていることに対する炭鉱のカナリヤだ。
「公表されている政策目標がどうであれ、それだけで政策の意図が理解できるとは思ってはいけない。
(中略)
社会的ルールに関心のない革命勢力は自らの目標を偽ることを少しも悪いことだとは思っていない。」
上記
彼は既存のマスコミが9.11の衝撃に誑かされている間にも、実際のデータを元に警鐘を鳴らし続けたがその結果はむべなるかな。狼少年と違い、正しいことを叫び続けても無視されてしまった。今作はその続編であるがゆえに、見通しの正しさはそれだけ絶望を深くもしている。
そして訳者が巻末に記しているが、この静かに進む「革命」は他人事ではないということ。構造改革の名の下に正当化される勝者劣敗という格差の拡大、破綻寸前の財政を口実とする社会保障の切捨て、そして憲法の無視、首相の周りの黒い噂、都市部とそれ以外の地域の投票価値の不平等…そんな内閣を消極的にではあれ支持する国民…この国でも静かにではあれ、事態が進行していることは確かです _| ̄|○