5月前半 購入漫画感想 | あざみの効用

あざみの効用

或いは共生新党残党が棲まう地

久々に雑誌を買ったんでれっつられっつ!

月刊「ガンガンウィング」6月号

「ひぐらしの鳴く頃に 綿流し編」作画;方條ゆとり

原作のゲームを忠実に再現しているかな、かな?作者なりの解釈、推理でもって再構成しないとそもそも一本道であるゲーム本編を単になぞった作品になってしまう。それにあまり漫画というメディアではこの作品の魅力を活かせないように思う(むしろアニメの方が相応しい)。

以前書いたひぐらし関連の記事↓
http://newmoon1.bblog.jp/entry/84758/
http://newmoon1.bblog.jp/entry/119507/

「瀬戸の花嫁」木村太彦

腹話術の人形が毒舌なのはお約束なのでしょうか?ここまでの経緯は知らないけれど、この話を読んだだけでお腹いっぱいになれました。人魚であるという必然性・設定をどのように活かしているのか不明(ギャグ以外で)。

「ディア」藤原ここあ

実はジャケ買いしてしまい3巻までもっています。なんだか半歩たりとも話は前に進んでいないようですね。

「ショショリカ」上杉匠

…ファンタジー料理漫画?新しいジャンルのようですがわけのわからないポエムで大ダメージを負いました。

「機工魔術士」河内和泉(←大阪出身の方なんですね)

鋼錬?

「がんばらなくちゃ!」仲尾ひとみ

絵が受け付けない。

…挫折しました。これなら惜しみなく捨てられます。スクエニ系の開拓が最近行き詰っていた理由が雑誌としてまとめて読むことで非常によく分かりました。親会社の影響の下、とりわけファンタジーに強く、きちんと成長物語を描く作品が多いというような印象をもっていたのですが、昨今は一発芸的萌え要素をいかに盛り込むのかが主流になってきている模様です。それに絵までもが無個性な誰の影響下にあるかが丸わかりの作品が多いのは正直萎えます(それでも美麗ならば構わないけれど)。


以下 単行本感想(5月20日追記)

「かみちゃまかりん」6巻 コゲとんぼ

萌えの中心銘柄たる「ブロッコリー」(←今の株価はバブですので手出し無用を推奨します)の唯一無二の大黒柱として萌えキャラを描かせたら本当に天下一品です(今回はおまけでデジキャラのコスや本編でも獣耳多様)。

ただそれだけならばキャラデザ、イラストレーターにすぎないですが、きちんと物語を編んでいるところが漫画家たるゆえんです。それも萌え要素を総て打ち消すほどの強烈な悲恋の予感です。錦織がどのようなキャラなのかいまいち分からない(真相は神化してから)ですが、皆自らの命を削りながらも大切な人を守りたいだけなのにその椅子は一つしか用意されていない。

一度もその姿を現していない九条教授が何もので、いったい何を企んでいたのかが楽しみです(それにしてもキスで流血って…)。


「のだめカンタービレ」12巻 二ノ宮知子

強烈な力を秘めた作品です、決して絵はうまいとはいえないけれど見ているだけで絵から音が心に直接響いてきます。このような作品こそアニメ化してもらいたいのですが、実際にみなの想像の中で膨らんでいる奇跡の音楽を再現するのは不可能でしょうね。

ただ、恋愛も音楽家としてのステージも残されたところはあと少しで、最後の一枚は共演に確定としてそれをいつもってくる(=収束させる)のかが本当に楽しみです。周囲の人物を魅力的に描くこと、その成長する姿も本作品の素敵なところですが、本編の流れを滞らせることのないように美しい音楽を奏で続けることを祈っています。

【追記】
感想と批評を分けるのは思想の有無であり、物語を解釈、共感する点の分析以上の何かを読み取るか否かにあるのだろう。私の場合、あくまで物語中心であり感想の域をでるものではない(今までに執念でもってかなり長文を連ねたものは除く)。漫画の楽しみ方は幾通りもあって、主人公などの登場人物に没入することも、物語を楽しむことも、絵を楽しむことも、そしてより大きな物差しでもって計ることもできる。そこで書評日記さま クラシックにパラサイトされた人々の狂騒曲 二ノ宮知子 『のだめカンタービレ #12』 なんですが、これが批評というものだと思います。おそらく作者の意図を超えてクラシックの本質に迫る作品になるのではないかという予感、期待にとても感銘を受けます。


「D線上のアリス」1巻 伊原十郎

山内 直実 (著), 氷室 冴子「ざ・ちぇんじ!」 のような作品を期待して手にとった私がバカでした。


「まほらば」9巻 小島あきら

二人目は棗だけど、あいかわらず白鳥君とのやりとりが初々しすぎて読んでいるこちらが赤面してしまう。どうやら多重人格のそれぞれの人格を既に受けいれている彼にとって他人格も含めての愛のようで揺らぎや動揺は一切無しです。すると後2人がでてきたときもその対応は同じか、恥ずかしいなーもー。

桃乃さんの過去話よりも隆子ちゃんがきちんと失恋させる下りが感動的だった。友人の気持ちを知って「お幸せに」って涙を流して応える白鳥くんは、決して天然なだけではないいい主人公です。


「まほらば 碧」 小島あきら

これのために久しぶりに雑誌買いました(雑誌自体の感想は冒頭ね)。やはり初期のころから作品に流れる優しい空気は同じです。ギャルゲーでアンソロジーを書いていたその経験がお約束やイベントの立て方という点でしっかりと活かされていると思います。そしてオリジナル作品はまんままほらばの原型となっていて笑えます。


「ハニー」8巻 橘裕

ようやく最終章かな?新悪役がもう少し頑張らないと単なる甘いだけ(まあ、直接の性描写には禁欲的なのが良心的といえば良心的なのか)のお話に成り下がるぞ、っていうかさっさと結婚で終わらせて「ガチャガチャ」に力を注ごうよ!!!作者の自己キャラ語りは自己愛くさくて嫌じゃないと前置きしての自己キャラ語りに作者の照れが見え隠れして面白い。


「ラピスラズリの王冠」2巻(最終巻)川瀬夏菜

漫画が好きで書いているというのは前作でも感じたけれど、物語に厚みがたりないためにつるつると滑って終わってしまう。特に今回のように無理矢理最後つめこんだことが明らかに分かるような展開だときついな。絵柄もシンプルで恋愛以外の何かを描こうという意欲も伝わるんだけどな…結局恋愛しか描けていない(それも薄味)。物語の基本だけれどもライバルとか悪役を
作りこむところから始めた方がいいかも(せっかくファンタジーメインの稀少な人材なのでなんとか頑張って欲しい)。


「キャットストリート」1巻・2巻 神尾葉子

「花より男子」がその人気ゆえにだらだらと作品自体が死ぬまで続けさせられた鬱憤晴らしのような作品(主人公を重ねれば一層)になっています。ただフリースクールという微妙な問題を選んだ以上、その内容について妙な誤解や偏見を蔓延させないような繊細な対応が必要だと思います。ただ、どこかで既視感の漂う話をあちこちからもってきて継ぎ接ぎしたようにも見えるだけに今後の展開に期待します。

【追記】
フリースクールを巡る根本的問題(学校からの離脱→社会への復帰もまた学校化された社会への復帰という現在のシステムを承認・補助するサブシステムと矮小化することなかれという)とどのように向き合うかは正直しんどいはずだ。もちろん復帰の手助けを否定するものではない、なぜならばそれで解決できるならそれに越したことは無いし、おそらくそれで解決できてしまう事例が圧倒的多数であろうからだ。ただそれで括れない部分も孕んでいるということは意識してしまうし、私は少なからず共感を覚えてしまうのは青二才だからだろう。

参考;祭りの戦士さま「ちょっと気になっている対立」 ←とてもいいまとめなのでお勧め!


「だって好きなんだもん」1巻 吉住渉

実は私が少女漫画もといアニメもといオタクになったきっかけがこの方の作品なだけにものすごい思い入れがあります。「ミントな僕ら」「ウルトラマニアック」のようなターゲット層に受けのいい無難な作品はいくらでも書けるのに本当に書きたいソッポを向かれそうな作品をきちんと出すその職人ぶりにはメロメロです。恋愛中心に描くのに恋愛にまつわる要素には興味ないのか非常にクールにとらえるあたりがこにくいです。

多分掲載誌を移行すればもっと伸び伸びと描けるんだろうけれど、それよりもより多くの読者に少しでも自立したライフスタイルというものを届けたいのだろうなーと妄想しています。