高齢者に対する看護 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

個別差があるとは思うが、高齢者は「変化」や「ストレス」というものに弱いところがある。

突然、病気やケガに見舞われて、入院。

高齢者にとっては若者以上に現実の受容が難しい。

よく高齢者が入院すると現れるのが「せん妄」である。まったく認知症もない普通の高齢者が、入院を機会に突然認知症様の状態になる事がある。「せん妄」は意識障害の一つで、認知症とは全く違うものである。「せん妄」の原因の除去や看護の仕方で改善できるものである。というか、意識障害なので何だかの対策が必須なのである。

 

しかし、認知症とせん妄の区別をつける事の苦手な看護師が時々いる。高齢者が変な言動をとる=全てボケととらえているに違いないと思う看護師に出会うと悲しくなる。

 

入院中に同室に他の部屋から入院翌日より非常に手が掛かって大変という人がベッド異動して来た。

けっこう、どこぞが痛いという患者で、生活環境の変化や激痛などなど大いなるストレスのため混乱状態だったのか、はたまたせん妄だったのか。が、部屋異動してきて・・・そんなに問題ある人という感じではなかった。

でも、その日の昼食はカレーライスだったのですが、スプーンを持っていなかったらしく、お箸で召し上がったために、病衣が食べこぼしで酷い事になったらしい。スタッフの「あらあら!こんなにこぼして・・・今お着換え持ってきますからね」という大きな声が聞こえた。

患者の失敗をそんなに宣伝するように大きな声で言うなんて最悪。なんて思うが、振り返れば私もそんな声を出しちゃう事があるな。

患者の立場になって気づいたが、たぶん失敗を責められるような気がして患者自身も恥ずかしい思いをするし、ついでに周りの患者もその言葉に良い気分にはならない。気を付けなくてはいけない。

さて、確かにカーテン越しではあるが、時々行動が奇妙な感じの音がする。ベッド柵を外している音がしたり、ベッド柵をガタガタしていたり。

でも、叫んだり暴れたりはしていなかった。

たぶん、ちょっしたせん妄チックだったのでしょうけれど、翌日くらいからは徐々に普通の奥様へと落ち着いていったのだった。

 

ある夜勤のナース。たぶんせん妄チックの状態のままだと思っていたのでしょうね。

夕食の下膳の際に、けっこうきつい言い方で「ありがとうは!」と下膳してくれる事のお礼の言葉の強要をしている言葉が聞こえてビックリした。まるで、悪ガキを教育している感じ。高齢者を子ども扱いしているというか、見下しているというか・・・。

長い看護師人生でそんな対応をしているナースを見た事がなかったのでビックリした。

ボケた人に何を言っても大丈夫。どうせ忘れるからという感覚何ですかね。

 

例え認知症の患者でも、我々より経験を積んだ大先輩である。

ただ、認知機能障害を患っていても大先輩。その敬意が必要です。同世代の方々と接するようにしなければなりません。

「ボケているから、何を言っても忘れる」も間違えです。

あなたに言われた言葉自体は忘れてしまうかもしれないけれど、あなたの言葉から得た嫌な感情は忘れないのです。

「この人。何か嫌な印象がある」と認知症の方はあなたの事を覚えています。

 

超高齢者社会の現代。どこの病院も高齢者が多いです。

うちみたいに高齢者ばかりの病院でなくても、高齢者や認知症の方々に対する看護の勉強は必須と思われます。

 

ただ、認知症があって手が動くからという理由だけで、ガチガチに身体抑制をしたりする病院がありますが、

かえって認知症のBPSDを増悪させたり、せん妄症状を引き起こしたりする。患者は苦痛で不安で悲しい目に会うし、看護師は仕事が増えて疲労するし・・・。悪循環。

そして、すっかり問題児となった患者が、家に帰る事ができなくなって、うちみたいな病院に転院。

なんか、もっと高齢者に優しい医療をお願いしたいものです。