患者にどのような看護的問題があり、それを解決するための看護計画というものが入院すると個々の患者に対して立案される。
たぶん、膝の皿を割って歩けなず寝たきりになった私に対しては、
「ADLの改善を図る事ができる」という目標が設定され、それに対して看護師がどのように対応していくか具体的に計画が立案されていたはずです。
オペ後一週間。医師からは、「患側も全荷重OKで松葉づえで歩行可」の指示が出た。歩行可能になった事で、今まで介助を受けていた日常生活がどんどん自立に向かう事ができる。ただ、今まで寝たきりだったのに、いきなり元気にスタスタできるわけではない。回復にも個別差がある。実際、私も立ち上がるのは何とかできたが、何故かベット端坐位でずっと座っているのが苦痛だった。
まあ、この病院の看護師に個別性をは難しい事かも知れない。「痛い」と言えばその場限りの援助があるだけ。こういう回復期の時は患者と相談しつつ、患者と考えながら、患者のやる気を促しつつ援助するべきと私は思うのですが、どうも患者の思いは無視。看護師の押し付けで終了している。まあ、患者は嫌な感じを持ちますが、結果は「ADLが改善する」わけですから目標達成ですよ。
この病院は、寝たきり状態の患者に対しては、食後の歯磨きをしてもらうためにガーグルベースンとうがいの水それぞれの床頭台等に配る。
よって動けるようになると、洗面所に行く事が出来るので歯磨きの準備はしてくれない。当たり前の事です。
しかし、もともと入院した当初から寝たきり状態の人。ファミレスで席に案内されて着席すると頼んでもいないのに水とお絞りが出てくる。
このガーグルベースンと水に対してそういう感覚を持っている人が多いと思う。ですから、これらを配るのは特別な事で歩けるようになったら洗面所に行ってくださいと説明するべきです。
同室のあるご婦人が、夕方からシーネが外れて装具を付け歩行器を使用して歩くことが許可された。
夕食の時は、普通に歯磨きセットが配られ、ご婦人はいつものようにベッド上で歯磨きを済まされた。
翌朝、看護師がいつものように歯磨きセットを配り始めた。そして、ご婦人のところに・・・
「○○さんは歩行器を使って歩けるようになったので向こうで歯磨きして下さいね」と言った。
ご婦人は寝ぼけていた事もあるけれど、すぐに看護師の言葉を理解できずにいた様子だった。
「私たち何でも屋さんじゃないから、できる事はやって下さいね」と看護師は重ねていった。
しばらくして、再び現れた看護師にご婦人は「歯磨きセットくれないの」と聞いた。そしたら「だから、歩けるようになったのだから向こうで歯磨きして下さいね」と不機嫌に答えた。
このやり取りを聞いていた私は心が痛んだ。
たまに看護師を嫁やお手伝いさんのように思っている患者さんはいるけれど、多くの患者さんは「何でも屋さん」なんて思っていない。
何も我がままな事を言っていないご婦人に「私たちは何でも屋さんじゃない」なんて言うのはとっても変である。
本来は、昨日のシーネが外れた時点で「歩ける許可が出たので、洗面等は洗面所でお願いできますか」と説明するべきです。
もしかして、患者は歩いて洗面所に行く事を不安に思っているかも知れない。.夕方という事もあるので、不安であったら翌日の日勤まで同じ対応をし、日勤で一緒に付き添って洗面所に行き「できる」事を患者とともに確認してから自立を図る事の方が良いと思う。
患者に新しい事を勧める時は、事前に説明する事。そして、強制するのではなく提案する形が患者も納得しやすいと思う。
さて、看護師は常にチームで活動するものである。看護計画もチームで共有してすすめるべきものである。
何かそういうのがここのナースには感じられないのよね。
が、自分たちを振り返って、きちっと共有できているか・・・。うーん。できていないところもある。
看護師個々が全く違うアプローチをすると患者は混乱する。
チームで情報の共有って大切よね。
本当に入院した事よって色々気が付かせてくれるし、色々学ぶ事がある。
何事も無駄はないんだなぁ。