この二日間、東京都ナースプラザで
「認知症高齢者の看護実践と必要な知識」という研修を受けてきました。
基本この研修は昨年の診療報酬改正で誕生した「認知症ケア加算」。しばりの少なくて導入しやすて「認知症ケア加算二」に必要な看護スタッフ育成を目的とした研修。
うちは「認知症ケア加算」の導入は検討していないのですが、やっぱり、ほとんどの方々が認知症ですし、老年看護のプロフェッショナルとしては必須の研修と思い参加しました。
うちは急性期ではないので、かなり認知症に優しい体制と思っていましたが、組織として認知症に対してプロフェッショナルであるか・・・大分疑問を感じました。
患者さんの意思決定を確認した時、
「どうせ患者さんはしゃべられないし、認知症もあって判断できないでしょうから、ご家族に確認しましょう」となる。
が、患者さんの意思=家族の意思とは限らない。
こういう場合は、家族・医療従事者を含めて患者さんの意思を推定しながら意思を確認しなければなりません。まあ、推定ですが、時間を有して、よくよく考えて「やっぱり母はこう考えていました」という答えが出てくる可能性があるからです。
いきなり
「今、こうしなければ、お母さんは余命一か月ないです」と説明されれば、お母さんの意思で延命を希望しない事を知っていても、一つの命に対して引導を渡す事になるような答えは控えてします。
医師の説明の仕方でも、本人には意識がないかもですが、頭ごなしにせっつくように決定を促されると、実は右なのに左と答えますよね。
医師対家族。やっぱり医師の方が優位な立場。「本当にそれでいいのですか」と間に入る人が必要ですよね。また、結論は時間を掛けてゆっくり考える事が大切。
身体拘束に関しては、グループワーク等を通じて、やっぱり療養型の特性でうちは進歩的である。
が、アセスメントなしに単純に解除すればよいと考えているスタッフがいる。アセスメントの根拠となる情報の必要性。段階的に解除し、その情報を記録していく。スタッフの共有情報として、みんなが納得して拘束介助は必要。
特に、身体拘束を導入のきっかけとなったエピソード経験者は慎重です。その慎重な気持ちを緩和させるのは客観的な評価です。
主観ではなくて、客観的な判断で拘束を解除できる組織作りが大切と思う。
医師や看護師だけでなく、他職種が横のつながりで患者さんに関わる事は大切なのですが、なかなか現実的には難しい。
そのために、治療においては全職種が同じゴールを目指していても、退院・退院後となると目標がバラバラになる。
うちみたいな療養型は退院というのは希少な事。
だからといって、どうせ将来の希望もないし目標無しというのもいただけない。やっぱり何だかの目標があるはず。
ナースは、あまり活動性が高くなると事故のリスクが増えるから、現状維持と思っている。ですから、リハビリに対しても、今の現状維持に対して関わって欲しいと思っている。
しかし、リハビリは、もう少し歩行機能をアップすれば排泄の自立が目指せると考える。その目標に従って歩行能力アップに向けて関わる。
ご本人はリハビリによって運動機能の改善があり「できる」と感じている。が、客観的に一人歩きするには不安定。かえって転倒リスクが高くなったと思われる。
この方が退院して在宅に戻るなら、ADLアップは必須な事である。
が、これからずっと入院生活継続であるなら、看護管理しやすいADLでよいと思うのです。
下手に運動機能がアップされてしまうと、事故リスクが高く、看護者は事故に遭遇するたびに嫌な思いをするし、患者は受傷して痛い思いをする。叱られて精神的苦痛を味わうと負の体験をする。
そして、以降この患者さんにはレッテルが貼られてしまうと共に、他職種(リハビリ)に対して負のイメージを持ってしまう。「あなた方が無暗にADLを拡大するから事故を起こしてしまう」・・・患者さんのADLアップは嬉しい事なのですが、場合によって「負」になってしまう傾向にある。
この文を読んで、リスクメインで患者さんのADLアップを望まない看護師に対して違和感を感じられるかもしれません。
私たちだって、患者さんに自立していただきたいのです。
重要なのは目標の共有。
リハビリは、患者の「家に帰りたい」というニードをもとに、在宅移行を目標としていたかも知れない。
介護者から「在宅は無理。子どもも小さいし、仕事も忙しい」という情報から、医療看護は在宅復帰は難しい。
その情報を共有する事で関わり方は変わるのではないでしょうか。
他職種との目標の共有は患者さんの混乱を防ぐことができますね。
「認知症ケア加算」は微量でも病院の儲けとなる事なので、ぜひぜひ導入してもらいたい制度です。
うちの病院はみんなに対して看護計画しないといけないですが。。。
お金の問題以上に、力を入れるという事は充実するという事なんですがね。
・・・
しかし、
「研修を受ければOK」という感じで、手荒な研修に感じました。
これほど伝わらない研修は初めて。
講師の伝えたいという意思を感じない。
制度の資格を得るための研修で、内容よりも参加する事に意義があるという感じですかね。
勉強にはなったけれど、非常に不愉快になった研修でした。
また、訛りは仕方がない事なのですが、訛りのために理解できなかったことが多々あった。
看護協会のアンケートに書きたかったけれど、
「あんた訛っているから何言っているか分からない」と差別している感じなので遠慮した。
全国的に発信する場合は標準語を心がけて欲しい。
前の病院の上司に出会う。看護の世界も狭いものである。