毎年恒例の長唄の会である。
新年最初のお楽しみ。この為に、暮れも正月もなく頑張った♪
しかし、気が付けば世代交代を感じるなぁ・・・。
あの頃、若手だった方がすっかり中堅。若手は子供だったかも。本日のプログラムは以下五曲でした。
『舌出し三番叟』
<唄>
芳村伊四郎・今藤長一郎・芳村辰三郎・日吉小八郎・芳村伊四太郎
<三味線>
松永忠五郎・松永忠一郎・松永直矢・杵屋正叡・松永忠四朗
<笛>
福原徹彦
<小鼓>
望月彦十郎・梅屋喜三郎・望月左喜十郎
<大鼓>
望月左吉
<太鼓>
藤舎呂雪
正月らしいおめでたい曲である。ほのぼのとした曲想が大好きだ。
ほのぼの暖かな曲想を上品に。師匠の演奏を拝聴して勉強になった。
伊四郎氏の唄は「うまい」に加えて「味わい」を感じる。
人間いつまでも若いままではない。その年代年代に応じた芸風。どんな名人でも常に成長しているんだなぁと思う。
『高尾ざんげ』
<唄>
芳村伊十衛・杵屋秀子・芳村伊四絽
<三味線>
杵屋静子・日吉小暎・杵屋六多之
<笛>
中川義男
女流長唄界の大ベテランの方々の演奏。さすがに“めりやすもの”・・・暗い。いやいや、しっとりしている。
めりやすは短い曲が多いが、珍しく長い。
長唄が大好き人間ではあるが、こういう淡々とした曲想は苦手である。
なかなか気持ちが若いままで成長できていない証拠だなぁ。
淡々とした曲を「趣がある」と言った感じで堪能できるように成長したいものである。
『時雨西行』
<唄>
今藤尚之・東音 西垣和彦・今藤政貴・今藤政之祐
<三味線>
杵屋勝国・杵屋勝松・杵屋勝国穀・(上)今藤長龍郎
<笛>
鳳声晴久
<小鼓>
堅田喜三久・望月左太郎
<大鼓>
堅田喜三郎
<太鼓>
堅田新十郎
久々に勝国氏の演奏を拝聴する。歯切れがよく、表現豊かな演奏だ。「さすが勝国さんだね♪」とワクワクした。杵勝派というのは非常に華やかな奏法でカッコいい。
脇の勝松氏の撥の上げ下ろしのタイミングが勝国氏と気持ち悪いほどにぴったり。撥の上げる高さも同じで、まるで勝国アンドロイドのようだった。すごいなぁ。
喜三久氏は傘寿も過ぎているのに、若き時代と変わらずに、とてもエキセントリックな小鼓を打たれ感動した。
『都風流』
<唄>
東音 宮田哲男・東音 村治利光・東音 村尾俊和
<三味線>
杵屋五三郎・東音 宮田由多加・杵屋五助
五三郎氏の三味線は本当に「天使のささやき」である。
研精会のこの手の曲の演奏は抜群に思える。江戸の街の様子が透明感あるキラキラした映像で脳裏をかすめていく。
人間国宝である宮田氏。もうご高齢というのに、いつまでも高音が鮮やかで素晴らしい。
そういえば、唄の三枚目だけ違う方ですが、お正月ラジオの『梅の栄』と同じメンバーだなぁと思いつつ拝聴。あの演奏も素敵でしたもの。
立分れ『勧進帳』
<唄>
(下手)杵屋直吉・松永忠次郎・東音味見純・杵屋喜太郎・杵屋喜三助・杵屋正則
(上手)杵屋勝四郎・杵屋巳津也・杵屋巳之助・今藤龍之右・杵屋佐喜・杵屋長寿郎
<三味線>
(下手)稀音家祐介・杵屋彌四郎・今藤政十郎・杵屋龍市郎・稀音家一郎・(上)杵屋弥宏次
(上手)杵屋巳太郎・杵屋六治郎・東音高橋智久・岡安喜三郎・芳村伊十冶郎・(上)杵屋勝正雄
<笛>
(下手)藤舎名生
(上手)藤舎推峰
<小鼓>
(下手)藤舎呂船・藤舎呂英・藤舎成光
(上手)藤舎呂秀・藤舎呂裕・藤舎呂凰
<大鼓>
(下手)藤舎円秀
(上手)藤舎清之
“立分れ”とは上手・下手で二つのチームで共演する思考の演奏らしい。どんな趣向の演奏なのだろうとワクワク。が幕が上がれば・・・長唄協会の合同演奏のミニチュア版かぁ。
下手チームと上手チームの色合いがあまりにも違うので、私的には「ちぐはぐ」に感じた。
舞踊で、長唄・清元・義太夫の掛け合いとかありますけれど、あれは違うジャンルだから楽しい。でもなぁ。
しかし、お囃子は藤舎流一線の先生方がずらっと並んで、とても贅沢。
協調性があって「すごい!」の一言でした。
ちぐはぐには感じたが、最後は迫力ある演奏に拍手。
同時に二つの色を楽しめてお得と感ずるか、こんなのは邪道と感じるか二通りだなぁ。
本日はとても寒かったですね。
国立劇場から皇居の方を眺めると、ちょっとだけ小雪がちらついていました。
うわっ!このまま本降りにならないでくれと思いました。
お堀でマラソン大会をやっていた。トップの青年の足取りは軽やか。後ろに行くほどに足取りが重く、これかトップとの差なんだろうなぁと思った。若者の頑張る姿に感動し、
そして、演奏会で癒されました。
ルンルン♪の一日。今年もたくさんの良い演奏に出会いたいなぁ。