毎年一月に開催される、国立劇場主催の長唄の演奏会。
長唄界の重鎮・名演奏家方を拝聴できる、毎年新年の楽しみイベントです。
しかし、世代交代を感じます。毎年のように名演奏を聴かせて下さった先代の五三郎氏。プログラムに「杵屋五三郎」という名前が無いだけで違和感を感じます。・・・五三郎氏の出ていない邦楽鑑賞会。確かこれで三度目になると思いますが、未だに違和感が続いています。
『土蜘蛛-切禿-』
<唄>
杵屋直吉・松永忠次郎・杵屋佐喜・杵屋正則
<三味線>
杵屋勘五郎・松永忠一郎・杵屋廣吉・杵屋直光
<笛>
中川義男
<小鼓>
藤舎呂船・藤舎呂英
<大鼓>
藤舎呂秀
<太鼓>
藤舎呂雪
世代交代を感じさせた一番でした。従兄弟同士がしっかり父が受け継ぎ守ってきたものを引き継いだという感じ。
まだ、彼らのお父様はお元気ですが、しっかりそのお父様の芸を引き継がれ「まだまだ長唄は安泰です」というアピールを感じました。
直吉氏の唄は本当に色気があって素敵です。また、三枚目の佐喜氏は美声プラス今日は男性っぽい男らしさを感じる唄でした。
今日はいつもと違って、あまりよくない席で拝聴したのですが、違う角度から師匠の太鼓を拝見し、あらたな発見がいくつかありました。だもなぁ、目にしっかり焼き付けたつもりでも、家に帰って実践するとやっぱり全然違うのですよね。どうしてかしら?!才能ないなぁ。
『熊野』
<唄>
吉住小代君・吉住小美園・吉住小与ひで・吉住小紀花
<三味線>
吉住小三代・吉住小三友・吉住小しな・吉住小星代
<筝>
萩岡松韻
<笛>
福原百七
<小鼓>
望月佐武郎
<大鼓>
望月左吉
<太鼓>
望月左喜三郎
研精会系の女流の方々の演奏でした。珍しくお囃子入り♪
しかし、超長い曲。淡々とした演奏に美しい筝の音色についつい客席で船を漕いでしまいました。
この曲のお囃子はよく知らないのですが、それでもなぜかお囃子が入るというところで覚醒♪私ってすごいね(?!)と思いました。
機会があったら勉強してみたいけれど、
ちょっと難しそうだった。
『吾妻八景』
<唄>
杵屋東成・今藤長一郎・今藤政之祐
<三味線>
杵屋六三郎・杵屋弥宏次・(上)杵屋彌四郎
今の長唄界で一番歯切れの良い三味線を弾かれるのではないでしょうか。
私は六三郎氏の三味線。けっこう好きです。
彼の歯切れの良い撥裁きから作り出されるメロディは総天然色の映画の世界のようです。
こんな三味線が弾けたらなんて思いますが・・・。当たり前ですができない。
こんな三味線が弾けたら、三味線って何て楽しい楽器何だろうと思うだろうなぁ。
東成氏はダンディーなマスクに甘い歌声だ。関西の唄い手さんでナンバーワンなのでしょうね。
今藤の美声の若手を引き連れての江戸名所案内。その情緒にうっとりとしてしまいました。
またこのメンバーでの演奏を拝聴したいです。
『賤機帯』
<唄>
東音 宮田哲夫・東音 谷口之彦・東音 山口太郎・東音 小澤拓也・東音 鈴木祟晃
<唄>
今藤政太郎・今藤美治郎・今藤長龍郎・今藤政十郎・(上)東音 宮田由多加
<笛>
鳳聲晴之
<小鼓>
堅田喜三久・藤舎呂裕
<大鼓>
堅田喜三郎
<太鼓>
堅田新十郎
鞨鼓二杯目でタテ小鼓以外が楽器を置いたので、まさかと思いましたが・・・。
四世藤舎呂船作調の「風の一調」入りの賎機でした。ちょっと意外で吃驚ですが、考えてみたら政太郎氏のお父様が作調されたものですから注文だったのでしょうね。
けれど、特殊バージョンなのだから、プログラムに『賎機帯-風の一調入り-』と書いて欲しかったなぁ。
そして、解説にもきちっと「風の一調とは」と書いて欲しかったなぁ。
宮田氏の唄。垢が幾層もはがれて、年々素敵になっている。「この人は化け物」と思わせる凄さである。
良い演奏を拝聴いたしました。
今年も良い演奏を耳にして、
やる気満々!
そうそう、清元の『青海波』『北洲』のCDを入手。懐かしい志寿大夫の浄瑠璃(^^♪
よいものを手に入れてニンマリ^^です。