芸大定期演奏会に行く | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

昨日は芸大の定期演奏会に行ってきました。

師匠が非常勤講師をされているご縁で、この数年前よりほぼ毎年伺っている会です。

私、この芸大の奏楽堂の雰囲気が大好きです。とっても流れている空気がピュアで穢れがない感じがしますから。


芸大音楽学部の邦楽科は長唄もあれば能も筝曲もお囃子も日舞もいろいろな専攻科目が存在しています。

ということで、いろいろな邦楽を楽しめるという醍醐味があります。

・・・ただ、小唄・端唄のような俗曲はないなぁ。

一番レアなのは雅楽ですかね。全部同じに聞こえますが、いろいろ作品があるようです。

雅楽には、大陸系から伝わった“唐楽”。半島系から伝わった“高麗楽”とあるそううです。

今日、演奏されたのは唐楽六調子の一つである『平調音取(ひょうじょうねとり)』。そして『林歌(りんか)』。この曲は高麗楽がもとで作られた唐楽なのだそうです。

そういえば、韓流の時代劇を観ていると、よく雅楽様の音楽を耳にします。あれがきっと高麗楽なのでしょうね。華流の方ではあまり雅楽調の音楽を耳にしている記憶がない。


観る前は「きっと眠くなるんだろうなぁ」と思いましたが、見始めるとそのワールドに引き込まれてしまう“能”。けっこう能のワールドは好きなのだが、なかなか能鑑賞の機会に恵まれず、私にとってはレアな日本古典芸能の一つである。

観世流の仕舞『笠之段』と宝生流の舞囃子『海人』を鑑賞。 宝生流の舞囃子。お囃子の手組に注目。やっぱり長唄のお囃子のトッタンものは能から来ているんだなと改めて感動。ただ違うのは、段をとる時、長唄の場合は三拍子で上げるけれど、能の場合は太鼓だけで上げていることを発見。この手組はきっと太鼓がコンダクターの役目を果たしているのかもとか思いながら鑑賞しました。


尺八の演奏。杵屋正邦氏の作曲の『月と竹』。杵屋正邦氏が尺八の曲を作っているなんて。。。ちょっと吃驚でした。

いつも尺八の演奏を聴いていると、耐えきれぬ睡魔に襲われるのですが、

昨日の演奏では打楽器が入っていたので、とても楽しく拝聴できました。打楽器のパワーはすごいです。


筝曲は山田流は舞踊曲『夢』という演目でした。シェークスピアの真夏の夜の夢をモチーフに作られた舞踊曲の一部だそうです。かわいい妖精が出てきて楽しかったです。

王妃を踊られた方は憧れの舞踊家さんです。一つ一つの形がとても綺麗で今日も感動いたしました。

「真夏の夜の夢」・・・いいえ「初冬の夜の夢」を見させていただきました。

筝曲の生田流は宮城道夫氏作曲の『菊の栄』。深海さとみ氏の演奏は本当に熱い演奏だと思う。あの小さな華奢な容姿のどこにあんなパワーがあるのだろうか。

三絃で富山清琴氏がご出演。あの方の地歌が大好きで・・・。あの美しい声を拝聴できなくて残念でした。


最後に長唄『角兵衛』。今日の目玉はカンガルーの皮を使用した三味線のお披露目。

このご時世、動物愛護団体からもかわいいワンちゃんやニャンコの皮を使った三味線。日本のイメージを悪くする一つの要因でもある。現在、ほとんどが輸入に頼って犬や猫の皮を調達しているのたそうですが、だんだん入手が厳しくなっているようです。

合成皮革の開発などされていますが、その使用感が悪い。そのために音締を大切にするプロの方々には受け入れが厳しいようで、

「何とかせねば」と、今後の三味線の皮をどうするかを考える団体があるとか。

その研究者によって注目されたのがカンガルーだとか。

オーストラリアでは人に危害を加えたり、田畑を荒らすことから、毎年百何十頭のカンガルーが駆逐されているのだとか。その駆逐したものの有効利用。

単純になるほどと思いましたが、、、

ひねくれ者の私。

動物愛護団体はきっとカンガルーの皮についても「残虐だ」と難癖をつけてくると思います。

何せ、それが理由で欧米では毛皮のコートとかダメなんでしょ?!

なかなか、邦楽の今後も生きるのが難しくなってくるのですね。


ところでカンガルーの三味線。なかなか良い音締でした。ちょっとドスコイという印象もありましたが、、、。


今年も芸大ワールドをいっぱい楽しむ事ができました。初冬の夜の夢を楽しむ事ができました。