邦楽絵巻『義経記』-静と義経を巡って | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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先日、藝大21(演奏藝術センター企画公演「和楽の美」)の企画演奏会に行って来た。

相変わらず藝大の奏楽堂のホールはピュアな感じで、とっても雰囲気のよいホールである。

ちょいと座席が硬くて、長い時間だとお尻が何気に痛くなるのが難点だが、しかしお洒落なホールである。


さて藝大らしい企画演奏会でした。

長唄をはじめ、筝曲・雅楽・義太夫・能。そして日本舞踊。そして、フィナーレは洋楽とのコラボレーション。

舞台美術を観ても、さすが芸術全般を網羅している藝大だからこそ。トータル的に様々な芸術のコラボレーションがとっても気持ちいい。そんな感じの演奏会でした。


プログラムを拝見すると、出演者は全員が本名なんですよね。ですから「この方だれかしら?」と思って舞台を拝見するとお馴染みの方々だったりする。

我が師匠も本名でご出演。何気に不思議な感じ。何せ芸名が本名の如しなので・・・。

さて、本日のプログラム一つ一つのレポを♪


■雅楽『変奏曲 越澱楽今様-神泉苑 雨乞い』

雅楽というのは、とっても広い宇宙を感じさせる音楽である。なのに日本の音楽としての歴史は超古い。

その雅楽の世界に何故か長唄がコラボ。雅楽の演奏に長唄の方が唄われた。宇宙空間に天女の声がおおらかに響くという感じ。

その音楽に合わせての舞も素晴らしかった。

静御前をやられた方。踊りが大きくて上手だなぁと思ったら・・・存知よりの方でした。

この方の踊りは大きくてピンとしていて大好きなのです。


■義太夫『義経千本桜-鳥居前・吉野山』

女義さん方の演奏でした。浄瑠璃の竹本駒之助という方は人間国宝なのですね。

本日、特別出演のようです。得した気分♪


■筝曲生田流・尺八・邦楽囃子『西海に沈む-春の海によせて』

今回の背景はCGを効果的に使用して、視覚的にもとても楽しい舞台構成である。

昔、ディズニー映画の『ファンタジア』を思い出される。特に、このプログラム海をイメージしたCGとのコラボであったのでそういう感じがした。

視覚的な強弱と、音楽的な強弱がぜんぜん合っていなかったので、ちょいと不満。

一緒に観劇していた母に不満を言うと、日本の美は多少ずれていた方が美しいとの事。いやいや、多少を超えている気がする。

しかし、迫力のある演奏で、演奏自体はとっても素敵でした。


■能楽 半能『船弁慶』

能は入場して演じて、退場するまですべてが芸術ですよね。とても不思議世界です。幕のある舞台が常識な現代人には、この古典である能楽がとっても新鮮に感じられる。

しかし、長唄の『船弁慶』と歌詞がほとんど似ている気がする。

まあ、この作品がもとで作られた長唄なので当たり前ですが。

謡曲を聴きながら「あれ?!この歌詞知っている」と思わずルンルン気分。変な奴です。


■筝曲山田流『静』

藝大の教授をされている萩岡松韻氏の声は本当に素晴らしい。

三十年くらい前に、彼の記念演奏会に行ったことがある。あの頃はヤングで容姿も優れていて声も素敵。いやいや、今もダンディでいらっしゃいますが・・・。それ以来のファンであります。

その松韻氏の作り出す、神聖で透明感のある穢れなき空間で踊る白拍子の舞はとっても素敵でした。

凛とした舞の中に漂う悲しみ。そんなのを感じました。


■能楽 一調『勧進帳』(「安宅」より)

小鼓一調と謡だけの舞台。たった二人なのにとても迫力があって、能楽の世界って本当に男性的で憧れの世界だと思いました。


■長唄・邦楽囃子『安宅勧進帳』

やっとお馴染みの世界♪

何年か前に師の音締に憧れて一年くらいご教授いただいたM師匠。現在、藝大で教鞭をとられているらしい。やっぱり元師匠の音締は美しくうっとり。とくに上調子だったので・・・。

本当にたった一年ですが得たものは大きかった。なかなか時間の問題でお稽古の継続ができなくなってしまったのですが、、、、憧れは今も継続。そして元師匠の演奏を拝聴しては、しばらく耳に残る音締の余韻をじっくり味わっている。どうしたら、あの様な音色を三味線から出すことができるのだろうか。


■フィナーレ

邦楽と洋楽のコラボレーション。この世界がとっても好きです。

邦楽の世界は指揮者がいなくても奏者の協調性によって一つの音楽が流れる。しかし、洋楽というのは指揮者というリーダーがいないと駄目なんですよね。とっても不思議。

西洋人に協調性がないからなのだろうか?!だから、まとめてくれる指揮者という専門職が必要なのだろうか?・・・よく分からない。

昔、バレエの先生に『白鳥の湖』の第二幕の四羽の白鳥の話を思い出す。

西洋の有名バレエ団の四羽の白鳥は四人の心が一致し、すべての動きが統一している。これは四人の協調性で己の役割を十分承知して一つの作品を作り出す一員という意識があるからなのだそうです。

しかし、日本の方々は個々の個性が出てしまうために四人の心が一致していなく首の角度から足の角度まで合っていないので汚い。みんな作品全体を考えるのではなく「私が、私が」と自我の方が先頭に出てしまう傾向にあるんだよね。・・・と・・・

まあ、最近の日本のバレエの水準が上がっているので、当時の話なのですがね。。。

この話から、西洋人は協調性に優れ、日本人は自我が強いというイメージがある。

が、、、自我が強くて「自分さえよければ」の日本人の古典の音楽なのに指揮者がいなくても素晴らしいハーモニーが育まれる。常々不思議に思うところである。


この演奏会当日。作詞をやっている友人の作品発表がされる演奏会があった。

現代音楽の作詞も難しいのに、長々と長唄の歌詞を作るというのは超難しそうに思えるのだが・・・。

いつも彼女の作品に感動。そして心から尊敬。

藝大の演奏会のチケットを確保している事、すっかり忘れていた私。

彼女からご案内を頂き「ぜひぜひ伺います」なんて返事して・・・ダブルブッキングしてしまった。

藝大の方は師匠が携わっている舞台ですし・・・

悩んで悩みぬいて藝大の方に行ったのですが・・・。

いやいや、本当に失礼な事しちゃいました。気を付けなくちゃね。スケジュール管理。

LINE乗っ取り事件以来、携帯に変なメール山ほどだし・・・。

仕事の方は退職者が何人かいて人手不足で忙しいし・・・。

あれもこれも覚えなくちゃとお稽古関係の方も気分だけ忙しいし・・・。

スケジュール管理がスマホだからなぁ・・・。それなんだゆなぁ。

ついついアナログな手帳にスケジュール書き込みミスが。いやいや、所詮は言い訳。本当にごめんなさいです。・・・楽しみにしていたのになぁ。