新春邦楽特選 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

今年も元旦からNHK-FM放送で、お正月向けの邦楽番組をやっていた。

ラジオ何て・・・

きっと、長唄やお囃子をやっていなかったら、

そんなものがあった事すらも忘れている知れものだ。


高校や大学受験の頃は、ラジオに大変お世話になって、

深夜番組を耳に、一生懸命に勉強していたなぁ。今みたいに、エアコンなんて無くて、電気ストーブに毛布にくるまって勉強机に向かっていたのが昨日の事のように思う。

私の場合、勉強よりもラジオを楽しんでしまったので・・・(汗)

勉強の成果・・・全然上がらず。まあ、よく進学できたものです。

この受験生時代を過ぎて、邦楽以外でラジオを聴くことは無くなったなぁ。


ちょっと前まではラジカセでアンテナを合わせてラジオを聞いていました。

また、ライブで聴けない時はラジカセの予約録音機能を使って録音したものを聴いていました。

あのアンテナ合わせが難しくて・・・。

本当によい音で録音できるなんて奇跡に近かったのですが・・・

最近は、ICレコーダーでラジオ録音機能があって、面倒なアンテナ合わせがなくてもまずまず良質な音で録音できるようになった今日。文明の進化を感じますね。


さて、NHK-FMの邦楽番組。

毎日、「邦楽のひと時」なんちゅう番組がお昼前に流されている。

毎週火曜日が長唄なんですけれどね・・・。あれって!当然お囃子ありきの曲もNoお囃子の演奏が流れてくるのが気に入らない。

次第とか、三番叟のモミだしとか、獅子ものの乱序・露とかは、

所謂、能楽からのいただきもので、お囃子のみで演奏されるところなのですが、

これに無理無理三味線の手がついている。

私は、これが嫌いなのですね。こういったところは、呼吸で演奏する箇所なのですが、

それを三味線でやると非常に微妙。「何やっているの?」・・・

本当に、こういう箇所はストレスで、

何でお囃子の担当のところなんだから、無理無理に三味線を付けずに抜かないのかしらと思う次第です。

それらしく聞こえればいいのですが、私の耳にはぜんぜんそれらしく聞こえないのですよ。

元々、お囃子入りであるものは三味線・唄・お囃子があってのハーモニー。どれが欠けてもいけないものだと思うのです。

本当に、お囃子が入るものは必ずお囃子入りでお願いしたいですね。


土曜日の邦楽百選とか、この正月の特別番組にはお囃子が入る。だからとっても楽しみなのです。

今年も、杵屋宗家の『越後獅子』と今藤と宮田氏の『常盤の庭』は我が流派のお家元のお囃子で、我が師匠も太鼓でご出演。

師匠の演奏で新年を迎える事ができて本当に幸せです。

いつもドスバタとしか打てない太鼓。師匠のように柔らかく上品に打てるというのが私の例年の目標。

でも、なかなか師匠のようには打てないのです。

野蛮人かクラゲか・・・

この両極端になってしまうのですね。稽古が全然たらないからこういう事になってしまう。

お囃子は小鼓・太鼓・大皮と三つの楽器を基本操れなければありません。

どれもトップレベルというのは凡人には難しい。どうしても一つの楽器に得手が出来てしまう。

私は小鼓が得手なのですが・・・

いやいや、太鼓の名手である師匠の弟子としては・・・ちょいとまずいのでは。

今年は特に太鼓に力を入れて勉強せねばと思う今日この頃です。


さて、ラジオの方ですが・・・

元旦は

『越後獅子』

唄     杵屋喜三郎、他

三味線  杵屋寒玉、他

囃子   藤舎呂船、他


味わいある演奏だった。こういう演奏はライブがよい。ライブというのは、やっぱりその身から発せられる芸ぷらす姿形や呼吸や魂がダイレクトに届いてくるので・・・。

演奏者が高齢になれはせなるほど、ライブが良いと思うのでした。

しかし、ご次男の直吉氏の声は本当に素晴らしい。素敵だなぁ。


『勝三郎連獅子』

唄    東音皆川健、他

三味線 東音味見亨、他

囃子  堅田喜三久、他


この宮川健氏の唄が好きである。同じ東音系の国宝様も素晴らしい唄を届けてくれるのですが、例えば『紀文大尽』のような曲は、国宝様よりも皆川氏の方が私のハートに感動を届けてくれる。

上手い下手じゃない。味の問題。好みの問題。

お囃子。この曲の胡蝶の小鼓の打ち合わせはどうしても興奮してしまう。

今回は乱序・露はカットで残念でした。


『矢の根』

唄    鳥羽屋里長、他

三味線 杵屋淨貢、他

囃子  望月朴清、他


久しぶりに歌舞伎の長唄の方たちの演奏を聴いた。

やっぱり歌舞伎の方はパワフルで熱気があって素敵ですね。

最近、歌舞伎の方は田中流のお囃子がメインとなっていますが、私の中では望月宗家のお囃子の方が耳に馴染みがあって好きです。

田中は金春系なので、ちょっと私の感性に馴染めないところがあって・・・。

というか、先々代のお家元の時はそんなに感じなかったのですが、やはり、お父様が能楽の方の人間国宝でいらっしゃるので、、、。そんな事が影響しているのか、チリカラの面がちょいと惜しいと思われる事がしばしば。

これは好みの問題。私的には望月宗家の歌舞伎のお囃子の方が馴染がある程度のお話です。


二日目は

『常盤の庭』

唄    東音宮田哲男、他

三味線 今藤政太郎、他

囃子  藤舎呂船、他


宮田氏の東音と貴音の使い分けが難しい。東音として人間国宝を頂いているので、人間国宝同士という事で今回は東音なのであろうか?

師匠ご出演の曲なのでお囃子メインでどうしても聴いてしまいますが、安定して素敵な演奏でした。

神舞は本当に興奮する。きっとたぶん・・・今年のババ抜き稽古でお目に掛ると思われるこの曲。

聴くのは楽しいけれど、演奏の事を思うとブルーである。

神楽が確か無かったですよね。ちょっと残念。


『鷺娘』

唄    杵屋東成、他

三味線 杵屋勝国、他

囃子   堅田喜三久、他


正月から地獄の責め苦に遭っている女の曲か・・・

しかし、素敵な演奏だった。唄の東成氏の声は素晴らしい。何年か前に温知会にデビューされてそれが初出会いだったのですが、いつも上手いなぁと感動です。

ちょっとしたところが直吉氏に似ています。

女心をざっくり抉っちゃう現在の三羽烏は、

きっとたぶん・・・

杵屋直吉・日吉小間蔵・杵屋東成の三人だと思う。

美声プラス何かがある三人ですね。

・・・

・・・

・・・

これも好みの問題ですが。



はあ、早くライブの演奏を聴きたい。

初ライブは十八日。国立の主催演奏会。我が師匠は『二つ巴』の太鼓です。

この曲の太鼓は本当に素敵で、師匠の演奏は初体験。ちょっと楽しみです。