鶴と亀 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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「鶴は千年、亀は万年」と長寿と繁栄の象徴として鶴と亀は縁起のよいものとされている。

この長寿であるという謂れ・・・。いったい何が根拠となっているんだろう。

鶴の寿命が千年なんてありえない。

実際の鶴の寿命は動物園で飼育されたもので五十年から八十年。野生で三十年くらい。動物としては長生きな気がしますが、千年は生きない。

亀もだいたい、三十年から五十年。ゾウガメは長寿で百年以上(百八十歳という記録もあるらしい)というのもあるらしいですが、さすがに万年は生きない。

なぜ、この二種類の生き物が、長寿の象徴とか、目出度いものとされているのか、、、ちょっと興味を持ち調べてみました。



まず鶴です。

鶴の夫婦は生涯添い遂げる動物である。「共に白髪になるまで添い遂げる」。つまり夫婦ともに健やかに仲良く長生きするという事は素晴らしいという事です。結婚式等でお祝いのメッセージとして使われる言葉。その共白髪を象徴するのが鶴の夫婦である。

細見の立ち姿が仙人の姿に似ている。などなど、調べると「目出度い」と象徴される理由が様々ヒットしてくる。


鶴が縁起が良いとされたのは日本だけじゃないようです。

「鶴は瑞鳥だ」と位置づけているのは、東アジア全域のようだ。鶴も色々な種類があるが、一般的に目出度いという象徴となっている鶴は「丹頂鶴」である。確かに、姿は美しく気品がある。

しかし、姿だけでなく、その色に「目出度い象徴」とされる根拠があると思う。

北朝鮮の先代の“将軍様”も白の動物を集めていたという。「瑞獣」を集める=権力の象徴と思ったからなのでしょうね。

メラニンに関わる遺伝子異常で誕生した動物たちをアルビノと言う。先天的障害であるのですが、昔の人はそんな事を知らないので「神の遣いだ」「縁起が良い」と思ったのでしょうね。

そもそも、白という色は光を示す色であるそうです。

安倍清明で有名な「陰陽道」。これは、「原初は混沌(カオス)の状態であると考え、この混沌の中から光に満ちた明るい澄んだ気、すなわち陽の気が上昇して天となり、重く濁った暗黒の気、すなわち陰の気が下降して地となった。この二気の働きによって万物の事象を理解し、また将来までも予測しようというのもの」という陰陽思想が裏付けとなっての学問である。

この思想からも光を示す「白」は「陽」である。

このあたりに「目出度い」とか「縁起が良い」と人々が白色に対して感ずる根拠ではないか・・・

なんて、私の勝手な分析ですが。

さて、鶴は道教的世界にもよく登場するらしい。例えば、日本でも七福神としてお馴染みの寿老人(寿星老人)の乗り物が鶴だったとか。また、『崑崙八仙』という舞楽では崑崙山の八人の仙人が鶴の姿で舞うなんていうものもあるそうだ。

小説『封神演儀』の舞台となっている殷(紀元前17世紀頃)という時代。あれはフィクションですが、きちっと殷という時代はあったのですよね。その時代の出土品の中に鶴を掘った美術品があるらしい。つまり、そんな時代から「縁起物」とされていたのではないかと推測される。

日本においても、そういった思想が遣隋使とか、遣唐使によって伝わるわけですよね。

「長屋王の変」で有名な長屋王の邸宅跡から丹頂鶴が描かれた土器が発見されているそうで、やはり奈良時代にはすでに「縁起の良いもの」ととらえられていたと考えられる。


五行説という中国発の思想がある。その思想が発展したなかに五つの神獣が登場する。北に玄武・南に朱雀・東に清流・西に白虎。そして、その中央に麒麟。

この『玄武』というのは亀である。

中国では、目出度いどうのという以前に、亀の事を古くから神格化しているようだ。

亀は蓬莱山の使いと言われているが、中国の古い神話に「霊亀」という亀が存在する。霊亀は仙人の住む蓬莱山を背中に背負った巨大な亀と表現されている。

ギリシャやインドの伝説の中に「堅い甲羅を持つ亀は世界を支えている動物」という内容のものがあるらしい。そういったことから「不動」の象徴ともされているそうだ。


夫婦は一族の繁栄の基本となるものである。家族の象徴図として縁側で猫を抱いて日向ぼっこをするおじいちゃんとおばあちゃん。居間で新聞を読みながら熱いお茶を飲んでいるお父さん。台所で忙しそうに働いているお母さん。庭で仲良く遊んでいるお兄ちゃんと妹。「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」の家族。そうそう、あの家族像が所謂、日本の「家」という感じである。今はその「家」というものが崩壊して、「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」のような家族像は珍しいものになりつつありますが・・・。

夫婦は子供を産み、そして、その子供が結婚し子供を生んでいく。一族繁栄の図式である。

長寿は目出度いとされ、節目節目でやれ還暦だ、米寿だとお祝いをする。医学の技術が貧困な時代は、とにかく平均寿命が短かった。そんな中で長生きするという事は目出度い事である。

瑞獣といわれるものは数々あり、縁起の良い動物は鶴と亀だけではない。しかし、けっして「鶴虎」とか「亀龍」ではない。

「鶴」と「亀」であるという事は、それぞれ長寿の象徴とされている瑞獣である事。鶴は仲睦まじい夫婦の象徴、亀は一族の不動を象徴する。

個々の家の集合体が国家である。つまり、国家繁栄・国土安泰の象徴。

そして、一番大切なのが、日本のトップに位置する天皇家が未来永劫に繁栄する事はめでたいという事を象徴しているんだろうな。