『汐汲』・・・あれは?! | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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長唄『汐汲』。謡曲の『松風』が題材というのは知られていますが、
あの主人公・・・生きている松風ではない!?
松風・村雨姉妹は、須磨に流刑にあった在原行平という男性に恋をした。でも、ある時行平は罪を許されて姉妹に烏帽子と狩衣を残し去っていくんですね。二人は行平を思いつつ生涯を終えてしまうのだけれど、その思いの強さに成仏できなくて幽霊に。ある時、旅の僧にお経を読んでもらって成仏する。
この『汐汲』は、後半の幽霊となった松風が、行平の残した烏帽子と狩衣を纏って舞う場面。

そもそも、あの曲の主人公が幽霊とは思っていなかった・・・。
しかし、ある踊りの会で、花道のすっぽんから登場したのを見て
「???」と思ったんですね。
あそこから登場するのは、この世のものではない登場人物とか、妖怪とかそういうものが登場するところ。
何でかなとずっと思っていました。
で、いろいろと調べて、
あれは松風の幽霊という事を知った。

この『汐汲』の主人公は幽霊というのは、我がホームページの長唄コーナーでも紹介しましたが・・・。
今日、ぜんぜん違う本で
あの主人公はキツネの化身だと書いていた人かいて吃驚でした。
お囃子の手組で「来序」と呼ばれる手がある。これは狐の化身など動物が人に化けて登場するときなどに使われる手です。「来序」と「早来序」と二種類あるんですがね。。。
『汐汲』の太鼓地(踊り地)の最後の方に早来序に似ているような手がついているんですね。
著者は明治、大正、昭和と歌舞伎のお囃子をされていた方。
きっと、単に「早来序」まがいの手がついている以外の何かがあって仰っていると思いますが・・・。

舞踊の鑑賞だけでは、
「うわっ♪綺麗」だけで終わってしまいそうですが、
よくよく勉強すると、奥が深いんだなぁと思います。

須磨には関守稲荷神社という古い神社があるという。
松風に化けたのは、ここのお稲荷様ですかね???
・・・考えすぎ?!