![]() | 長唄全集(2)英執着獅子/雛鶴三番叟 芳村伊十郎(七代目) (1998/10/21) コロムビアミュージックエンタテインメント この商品の詳細を見る |
今度お稽古する事になった「英執着獅子」。
はじめ音楽を聴いた時は、獅子物なのになんとなく地味という印象がありましたけれど、聴けば聴くほどその華やかさを感じます。
今の歌舞伎はすごい照明の数で照らされたとても明るい舞台で演じられていますが、この曲が初演された頃はろうそくの炎で照らされた暗めの舞台で演じられていたんですよね。
まさしくそんな感じがこの曲から伝わってきます。
揺らめく光の向こうに華々しさがある。とっても幻想的な風景。そんなものが感じられます。
現在、失いつつある日本の奥ゆかしい美。
古いものに関わると、私はそういったものを感じます。
「連獅子」の狂いでは、その獅子の勇壮さがストレートに伝わってきて“カッコいい”という言葉そのものなんですが、この「英執着獅子」の狂いは、はじめて聴くとなんて大人しい狂いなんだろうという印象です。
『狂い』と言えば「連獅子」の狂い。そんなイメージを持っていると、なんとなく欲求不満になってしまいそう。
けれど、何回かこの『狂い』を聴いていると、底力のようなものを感じます。なるほど、ストレートな表現の多い現代に生きているから、私の感性が鈍っているんですね。
江戸時代の日本人は、ああいった心の底の方で鑑賞する心の余裕があったのだろうなぁと思いました。
さてさて、八月のお稽古に向けての予習勉強。
この曲はスタートが素舞台と踊りようでは違うようです。
また、素舞台でも「・イヨオー」とヒカエで始まるものと、出端ではじめるパターンがあるそうです。けれど、どうもヒカエで始まるパターンが多いようです。
ヒカエというのは、「タ」と打って「イヨオー」と一声掛け声を掛けて終了の手。これで終わっちゃう。そして、延々待ってスタートするのが小鼓の一調です。延々待たされた挙句に超難解というか覚え難い小鼓のソロです。
もう、すでにここで躓いている私です。やっと2/3くらい附けを見ないで音源に合わせて打てるようになりました。
そうそう、「鏡獅子」経験している私はまるっきり手が同じの『狂い』なんてへの河童なんですけれど、ところがところがメロディーが違うために手が動かない羽目になっています。
さてさて、とんだ難曲に出会ってしまいました。