翁千歳三番叟 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
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昨日の演奏会の『翁千歳三番叟』は変わった趣向のものだった。
前半の翁の部分を義太夫の『寿式三番叟』。後半が長唄の『翁千歳三番叟』と筝曲山田流の『翁千歳三番叟』を編曲して掛け合いの形式にしたものであった。
もともとは河東節の『翁千歳三番叟』があって、そこから長唄や筝曲に発展したようだ。
ふーん♪一つ物知りに^^

長唄等の三番叟は能の『翁』をベースに色々な曲に展開されている。
しかし、能が成立する以前から、五穀豊穣を願う郷土芸能としてあったものである。そして翁猿楽の様式をとどめているものが『式三番』なのだそうです。
翁は長の象徴。千歳は若者の象徴。そして、三番叟は農民の象徴なのだそうです。
さて、『式三番』はとても格調のあるものとされている。
決まり事が沢山あるんですね。例えば小鼓は三調でなければならない。真ん中にタテ小鼓。これを頭取と呼ぶ。両脇の小鼓はワキ小鼓で、下手側が胴脇と呼び、上手側が胴先と呼ぶ。
式三番に大皮も使うけれど、大皮が入るのは三番叟の部分からだそうです。ずっと待っているんですね。いやいやもっと可愛そうなのが太鼓。太鼓は式三番が終わって続けて上演される脇能から演奏するんですね。ずっとずっと待っていなくてはいけない。
昨日は翁の部分が義太夫で、笛と小鼓がお囃子を付けていた。式三番の形式に則っての演奏だと思う。
楽器を取る場所とか、締緒を外す場所とか、楽器に息を掛ける場所・・・。全部全部決まっているみたいですね。すごい♪と思いました。

こういった神事に近いものは、以前このブログでも書いた気がするんですが、
「女は穢れている」とされて、女性の演奏にあたっては一定の条件があったりしていたみたいです。
演奏ばかりか、女性が楽屋見舞いに来る自体ダメだったり、女性と同じ火を利用した食べ物を食べちゃいけないとか・・・。現代的感覚でいうと、女性蔑視!とんでもない!失礼極まりない!!という感じです。
もしかして、かたくなに「女性は」と思っている能楽師の方もいらっしゃるかも知れません。そんな方が昨日の舞台を見たら卒倒してしまいますね。長唄も地歌も筝曲も踊りも女性の出演者の方が多かった。

23区のはずれの田舎から、上野のお山までエッサエッサ。
特別企画の『翁千歳三番叟』を拝見しただけでも、エッサエッサと言った甲斐がありました。