藤舎流の若手の演奏家の方々の演奏会。毎年、暑いこの季節に熱い演奏を聴かせてくれます。
この会に行き始めて、七年くらいになる。
若手ねえ・・・。もう中堅以上の方もいらっしゃるような・・・。
一般の社会では四十代は中堅とか職場によってはベテランに分類される。
けれど、邦楽の世界って四十歳前後なんて若手に分類されるように思います。
五十歳くらいになってやっと中堅かな???
七十歳ちかくなって、やっとベテランと呼ばれる。そんな社会が邦楽の世界のように思います。
芸の世界。それくらいにならないと真髄に到達しないのかも知れない。
『橋弁慶』
もう二十年以上も前に、このタテ小鼓の方が某演奏会でこの曲の大皮を演奏されたのを覚えている。
私は彼女のクールな装いに反して地の底で熱く熱く熱を発するマグマの如しの大皮が好きでした。当初、私は大皮をお稽古していて、彼女を目標としていたのを覚えています。
相変わらずのクールな装い。素敵だなぁ。
牛若丸と弁慶の出会いの曲。主人公は弁慶。豪傑で力強い若き弁慶を感じさせる演奏だったと思います。
さて、この曲には太鼓が入らない。
この会でいただいた解説によると、
「長唄に先行した芸能である能楽では、両手で打つ太鼓はリズムが際立つために人間より離れたもの(精霊や化身の類)を表すのに多く用いられた」
へえ!そうなのですね。
以前より、この曲や『勧進帳』などになぜ太鼓が入らないのか疑問に思っていたのですが、そういう事だったのですね。謎が解けてうれしいです。ありがとうございます。
『魚樵問答』
海の民と山の民の問答。別世界で生きる二人。会話がかみ合うわけがない。けれどなぜか通ずるものが・・・。
非常に哲学的なストーリー。
とても楽しい曲なんですが・・・。もうちょっと全体的にメリハリある演奏だったらよかったのになぁ。
そこがちょっと残念でした。
きっとたぶん、この曲はコミカルな曲想だと思うのですが、こういった曲を楽しく聴かせてくれるという事は難しいことなのでしょうね。邦楽って難しいですね。
『蜘蛛拍子舞』
迫力のあるよい演奏でした。大好きなタマの部分も素敵でした。
タテ小鼓をされた方は女優さんも兼業されている方。とても美しい彼女。
素敵な演奏家さんなのですが、線の細さというか、ガラス細工のような繊細さというか・・・
いつももったいないなぁと思っていました。
けれど、今日はその線の細さが感じられず、とても迫力のある演奏を聴けました。
この曲の小鼓唄の部分。私は、美女に変身していた土蜘蛛が正体を現すという凄みだけではなく、土蜘蛛の口惜しい気持ちとかそういったものが全体から伝わってくるといいなぁと思っている。
よい演奏の時って、本当に迫力と共に土蜘蛛の悲しさというか口惜しさというかそういうのが感じられるのですよね。
今回は、迫力があってよかったけれどプラスワンが足らなかった。という事で、私の好みとしては残念な演奏でしたが・・・私の好みですから!!!・・・好みを別にすればとっても良い演奏だったと思う。
また来年が楽しみです。
演奏会後は、何人かで食事(?)しながら、ワイワイガヤガヤ。
とある方に御馳走していただいてしまいました。
「御馳走様でしたm(_ _)m」
楽しい話。ありがとうございました。