全身麻酔 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

全身麻酔というと、アメリカのウィリアム・モートンが1846年にエーテルを用いて全身麻酔をかけ手術を公開したというのが公式な全身麻酔の初めてものがたりです。
しかし、それより40年前に花岡青洲が朝鮮朝顔を全身麻酔として用いて乳癌の手術をした。
本当はこちらの方が早いのですが、鎖国の日本でのことですし・・・
と、看護学校時代に薬理学の先生が口惜しそうに仰っていました。
ところがですね。もっと口惜しがっている人がいる。それは1800年前の事です。
昨日のレッドクリフの中の登場人物で、華陀という曹操のお抱え医師。本当はこの人が全身麻酔を初めて用いて手術をした人なのだそうです。麻酔薬として何を使用したかは不明です。
彼は、この映画でも曹操に愛想をつかして姿を消します。
本当のお話では待遇に対する不満をもって曹操のもとを去り、曹操の怒りをかって獄死してしまうのだそうです。医者というのは、この当時の中国では身分が低かったようです。彼は身分の高い士大夫(科学官僚)だったのだそうです。なのに医師の扱いしかしてくれない曹操にムカついて彼のもとを離れたのだそうです。
華陀は色々な事を記録に残していたそうですが、投獄された時に彼の妻が「医術を修めても、結局は投獄され殺される」と言って、彼の大切な記録を全部燃やしてしまったのだそうです。
幸い一部残ったそうなのですが、鶏やブタの虚勢術とかそういった類の記録のみ・・・
もし、全身麻酔を用いた治療法の記録が残っていたら、医学の歴史もずいぶん変わったかも知れません。

曹操という人は非常に短気で、戦略に関わる重要人物も、その時の怒りに後先を考えず殺してしまう。レッドクリフの戦いの敗因は彼の短気さが故のように思います。
この華陀も、頭痛もちの曹操の頭痛を治せる唯一の医師だったそうです。それをすっかり忘れて怒りに任せて華陀を殺してしまう。殺してしまって「しまった・・・俺の頭痛はどうすればいいんだ・・・」と気が付く人だったんですね。曹操という人がもう少し器の大きい大将だったら・・・。華陀の奥さんがもう少し彼の業績の重要性を知っていたら・・・。
「もし・・・」なんて言っていても仕方がない事ですが、つい思ってしまいます。