コバちゃん | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

コバちゃんとは、私の愛用の小鼓です。

コバちゃんは、立川の方の古道具屋さんで母が出会った楽器です。
お囃子を始めたばかりの母が、
「楽器が欲しいなぁ」という事で手ごろな値段で、使える楽器をあちらこちらで探していたのだそうです。
たまたま、何かで立川に用事があって、フラッと入ったお店で、コバちゃんに出会ったのだそうです。

そこの古道具屋さんのご主人。
長唄が大好きな方だったらしく、先日、私を超感動させてくれた、松永和風氏のお弟子さんだった方なのだそうです。
長唄つながりで話が弾んで、
「そういえば、小鼓を探しているんですが、そういったものが入ってくることはないのですか」
とご主人に聞いたそうですよ。
そしたら、
「ちょうど、先日、小鼓が入りましたよ」という事で出して下さったのだそうです。

コバちゃんは、もともと、品川の方の宮司さんの持ち物だったようです。
たぶん、趣味でお能の小鼓とかやっていたんじゃないかな。。。
なんとなく、長唄系という感じがしないから、私は絶対にお能のお囃子の小鼓と信じています。
亡くなった大皮の師匠の見立てでは、明治のものぐらいらしく、楽器としては新しい方です。

さて、コバちゃんの名前の由来は
亡くなった大皮の師匠が
「この皮は古馬だなぁ」と言ったところから、“コバちゃん”です。
普通、小鼓は子馬の皮を使います。
その昔は、腹児・・・つまり、誕生前の子馬の皮が最高級品だったようです。
今は、いろいろな問題で、新しい皮に腹児はないと思いますが。。。
しかし、コバちゃんは普通の小鼓の皮に比べて、ややゴツイ感じ。
という事で、亡くなった師匠は「古馬だな」と仰ったのだと思います。

コバちゃんが家に来て二十年以上経ちます。
コバちゃんのおかげで色々楽しませてもらっています。
ありがとう、コバちゃん。

しかし、楽器との出会いは縁ですね。
もし、道具屋さんのご主人が松永和風さんのお弟子さんじゃなかったら。
母が立川に行く用事がなかったら・・・
「こんなところの古道具屋さんに小鼓なんてないわよね」と母がその店を素通りしていたら・・・
コバちゃんと出会っていなかったかも知れませんね。

そして、もしコバちゃんが無かったら、私はお囃子をやっていなかったかも。
そりゃ、前々からお囃子に憧れていましたけれど、
絶対にやりたいと思ったのは、家に楽器があって、楽器をいじって遊んでいたから。

全てが縁なのですよね。
人生って面白いですよね。