翁千歳三番叟を聴いています | fuyusunのfree time

fuyusunのfree time

長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

次回の太鼓の課題曲。
長唄の三番叟ものは「能であっては能であらず」という謡曲の『翁』がベースとなっている曲。
その中で一番格式のある曲とされています。
約40分弱くらいある曲。長いです。お囃子盛りだくさん。実際に演奏するのは大変そうですね。
三番叟はご祈祷色の強い曲。小鼓の掛け声一つでも、他の曲では聞いたことのない独特な掛け声が多く聞かれます。
そうそう、亡くなった大皮の師匠が
「三番叟は神を表現するんだ」とか仰っていました。「宇宙につながるんだ」とか「そんなんじゃ豊かな大地を耕すことなんてできない」とか指導を受けたことを思い出します。
三番叟はとってもグローバルな曲で、地球レベルを超えて銀河を超えて無限な宇宙に発するメッセージ。三番叟ものというとそういうイメージを持っています。

『翁千歳三番叟』を聴いていると、
今まで出会った「舌だし三番叟」とか「操り三番叟」の大きさをはるかに超えている感じがします。
本当にすごい曲だなぁ。

三番叟の演奏に太鼓は本来ないものなのだそうです。
『翁』=『式三番』のお囃子は笛と三人の小鼓でほとんど演奏。三番叟の部分のみ大皮が加わる。
舞台上に太鼓方はいるけれど、式三番の演奏には出番なく、次に続く『老松』とか『養老』など脇能から参加するのだそうだ。
三番叟ものに太鼓が入るのは、歌舞伎系の三番叟もの独自のものらしい。
「本来ない」のためなんでしょうね。この『翁千歳三番叟』の太鼓。約35分くらいポツンと「あなたはなぜここにいるんでしょう」状態。で、最後の方チョロッと活躍して終わってしまうのですね。

大好きな曲なんですが・・・
お付き合い期間が短そうな予感がします。