1昨日は名古屋に言ってきて、農業に詳しい人達といろいろ話したりしたんだよね。
愛知県は何回も行ってるけど、名古屋は久しぶり。

ナナちゃん人形も見てきた。でっかいねぇ
今日は愛知県のイチゴ新品種 愛きらりのことを聞いてきた話と熊本県のイチゴ新品種のゆうべになどの話。
https://note.com/ichigo_radio/n/nc4f7c33886d8?sub_rt=share_pb
いちごラジオというイチゴ好きな2人の女子が、2週間くらい前に’愛きらり‘のことを話しているから、ちょっと興味が湧いていたところでもありましたね。
いちごラジオというイチゴ好きな2人の女子が、2週間くらい前に’愛きらり‘のことを話しているから、ちょっと興味が湧いていたところでもありましたね。
実は、ボクはまだ‘愛きらり’を食べたことがなくて、なので味の論評はしませんが、育種の狙いはなんとなく分かります。
親が系統13-18♀(♀章姫✕♂かおり野)✕系統12-21♂(♀あまおとめ✕♂章姫)という組み合わせで、
あまおとめは(♀とちおとめ✕♂さがほのか)という組み合わせなので、単純にゲノム比率は章姫50%、かおり野25%、とちおとめ約17%、さがほのか約17%です。
1番の狙いは極早生、次に大果と多収、あまおとめからはとちおとめの硬い果実とさがほのかの整形果と、あわよくばあまおとめの糖度とかかおり野の炭疽病抵抗性が引っ張って来れたら…という育種ですね。
ただ、かおり野の炭疽病抵抗性(特に宝交早生からの抵抗性因子)はポリジーンをかき集めたものなので、たくさんの実生を使って炭疽病菌の接種➜選抜しなきゃいけないけど、これは相当に数をこなして、コツも要るから難しいです。そこまで踏み込んだかどうかは分かりませんが🙄
病害抵抗性はともかく、愛知県の品種だから、育種目標は達成しているはずで、極早生で大果、多収にはなってるはず。
この辺の育種の基本は愛知県は絶対に外さないと思う。だけど、ボクの感想としては章姫のゲノム比率が高すぎるんで、交雑後代は完熟近くなると軟らかくなりやすいことは避けられないんじゃないかなぁ🙄と思った。果実の硬さは軟らかい方が不完全優性で、ポリジーンだからね。
それで、いちごラジオの2人の女子も「若どりしすぎて、果実が半分くらい白いものが出回ってた。ちょっと酷いんだ。半分白いってちょっと……🥺」、と語っていたんだけど、これは大果であるがゆえに色回りが遅く、かといって完熟にすると軟化とスレで出荷しにくくなってしまうというので、早採りして果実が半分白い愛きらりを見ていたんだと思います。
実際に、愛知県の人に聞いたら、「果実のヘタ寄りの白いのが残りやすいクセがあるから〜」と言ってたから、事実そういう性質があって、しかも完全な流通での克服は難しいんだろうね🤔
愛きらりの商圏範囲を聞いたら、北陸と中京だそうで、現時点であまり 関東市場はそれほど考えてはいないようです。
愛知県は伝統的にはトマトにせよ、キャベツにせよ、大規模出荷を図るうえで大きい東京市場でのシェアを伸ばしてきた産地だから、愛きらりの場合は不思議だな〜と愛知県の人が言ってました。
いろいろ事情を察すると短距離あるいは中距離輸送で北陸、中京中心に出荷という戦略で固まったということなんじゃないか!?と思いました😀 なぜ大阪を飛び越して北陸なのかは?だと思いますが🙄
だから、東京で待っていても、完熟の愛きらりは食べられないんじゃないかと思います
それでも、愛きらりを導入している農家は、収量も多いし、農家収入は増えてるそうだから、産地としてはこれでいいんじゃないかと思いましたね
しかし、紅ほっぺの1.8倍の収量というのは本当だとしたらバケモノだね〜
基本的に農産物の育種は美味しいのも大切だけど二の次で、たくさん採れるのが大事。農家も濡れ手に粟のようにたくさん穫って、儲けるのが大事です。
だから、愛きらりは多収というだけで、尊敬します
そりゃ、どっかの10粒2000円、3000円の品種がいつまでも売れたらいいけど、それは贈答用だけしか続かない。収量が多けりゃいいけど……ふつうの人は買わなくなるよね🤔
全然違う話だけど、愛知県で丸のまま食べられるイチジクの愛知イチジク1号の話を聞いた。

まだ、流通は2030年くらいからだけど、試作を食べた人は甘くて美味しいと言ってたね
皮も気にせず食べられるということで、桝井ドーフィンより小粒だけど、これは台風の目になりそうなヨカンがします。
イチジクは、ワインとかにも合うフルーツなんで、これは期待大だと思うな〜。出回り始めたらボクも食べてみたい😀
次に、熊本県のゆうべにの話。

ゆうべに
熊本には7月上旬に行ってきました。
ゆうべには、熊本県農業試験場で育苗しているところを見てきたけど、さらに次世代品種の育成もしているようです(選抜しているところは当然非公開)。
外国人の施設見学はお断りしているそうです。
熊本県はイチゴ生産量だと日本で3番目なので、考え方としては、その生産力をフル動員して、大量生産、大量販売と系統出荷の強みを生かすことになるよね。
それで、東京市場にも当然たくさん荷を持って行きたい。ところが、2025年のトラック輸送問題…
トラック運転手の労働時間は、1日8時間・週40時間を原則とし、時間外労働や拘束時間には改善基準告示で具体的上限が定められた
という法改正があって、ゆうべにも東京に持って行ける時間が1日のびちゃった
それで、流通対策として、1列並べの平パックで、下にウレタンみたいな資材を敷くことで1日輸送が延びても大丈夫になったとのこと。
けっこう苦労してますね〜
それで、つい最近、愛媛県の紅プリンセスがまた中国に盗まれて流出して、もう市場に出回っているとかで、「熊本としても何か対策考えているか?」と聞いたら、県庁では対応を考えているそうです。
ただ、ボクの予想じゃ、いくらゆうべにが大量生産、大量流通できる品種でも、シャインマスカットや紅プリンセスみたいに中国や韓国で作られまくりはないと思う。
なぜなら、中国でもこういうのを高く買ってくれてるのが、上海や香港、その他資本階級層のお金持ちくらいだからです。
北海道行ってビックリしたけど、二条市場で1パック3000円の高価なイチゴを中国人(イントネーションから明らかに大陸の人)が買ってるのを目撃したけど、やっぱりそれなり高級品種ばかりだよね。
あまおう、古都華、とちおとめ…。
ゆうべには、優れた品種だと思うけど、一般消費者向けのアピール度はそこそこと言ったところで、グーグルで検索すると、「ゆうべに まずい」が相当上の方でヒットします😅 でも、イチゴを自分で買って食べる人はイチゴマニアばかりじゃないから、これでイイと思うんだよね。
ゆうべにの育種を考察すると、親は07-13-1♀とかおり野♂で、07-13-1は味の良さと赤い色合い、かおり野からは極早生と炭疽病抵抗性をもらってきて、たぶん大果も狙った育種なんだと思う。
実際に極早生のメリットは大きくて、熊本としてはこれで当面がんばるんだと言ってた。ただ、福岡のあまおうみたいなブランディングにならないところが悩みだと言ってましたね。
07-13-1の親は明かされてないけど、たぶん親はさちのか、さがほのかあたりかな🙄 丸っこいので、久留米交配の中間母本も入っているかもしれない。

これがゆうべにの色合い。
まぁまぁの大果で揃えられて、これだけ着色すれば良いのでしょう。とよのかが色が淡くて、その子どものさがほのかも少し色合いが淡かったから、大果でこれだけ着色すれば十分かもしれませんね。
ちなみに、市場の人が言うには、イチゴで色と艶がないのは高くは売れません。少なくとも京浜市場でずっと働いてきた市場の人(横浜丸中、川崎、全農、藤沢、小田原中央、小田原青果……)とは付き合ってきて、皆そう言うよね。
だから、そこはボクもこだわりました😀。
ところで、佐賀の人とか福岡の人とも雑談したんだけど、あまおうはやっぱり偉大な品種で、あれを超えるのは相当難しいらしい。
あまおうに炭疽病抵抗性が付いたら、それは完全な品種だと、佐賀県の人が言ってました。
福岡の人は「福岡県にはイチゴしかない」みたいに言うくらいだから、相当入れ込んでますよね
あまおうは大果で早生、真っ赤な色合い。12月から十分に出荷できて、収量は基準点の10㌃4トンくらい。比較的に高値で固定だから、4トンでも問題ないです。
3〜4月に出荷ピークが来るのが弱点だけど、それでも味を含めてバランスで見ると、非常に優れてます。
あまおうを作った三井寿一さんは一度お会いしたくらいですが、やっぱり凄まじく食味調査したみたいで、そこはボクも意気投合するよね。
ただ、それも前室長の伏原肇さんという先駆者がいてこその三井さんの実績だと思う。伏原さんとは研究会で名刺交換してますけど、さすがに日本のイチゴ産業をリードされた方だと思う。
あくまで、育種は極早生、大果、多収とかの育種目標の達成がゴールなんだけど、やはり食べ物ですから、人間の舌で判別して、魂を入れる必要があります。
ボクは身近な育種担当者には、『画竜点睛を欠くことにはならないようにすべき!』と主張するんだけど、竜の目は人間の感覚を盛り込むことです。
頭のいい人が意外とヒットする品種を作れないのを見てきたけど、やはり最後の魂入れを忘れてる気がする。だけど、魂ばかり注入しても、味ばかりで低収量とかではダメなんで、やっぱりバランス感覚だよね😀



