ピーターパンとウエンディの話は
映画や演劇として、よく知られています。
その有名なワンシーン
ウエンディがピーターに
「あなたにキスをあげたいわ」と言って
キスを知らないピーターが
何をくれるのかと思いにこにこしながら手を差し出す。
恥ずかしくなったウエンディは
持っていた指ぬきを、ピーターの手に乗せる。
この指ぬきの暗喩は
あちらこちらで使われていて
見つけると、なんだか嬉しくなります。
漫画「サイファ!」では
サイファが、友人のアニスの16歳の誕生日に
月球儀と一緒に指ぬきをプレゼントします。
後に2人はお付き合いすることになるのですが
ここに、ちゃんと伏線があったんですね。
ドラマ「アストリッドとラファエル」は
自閉症のアストリッドと熱血刑事のラファエルがタッグを組み
事件を解決していく物語ですが
同時に、この二人の女性の友情物語でもあります。
親しい友達はいたことがなく、誕生日祝いもしたことがないアストリッドが
悩んだ挙句、ラファエルの誕生日に指ぬきをプレゼントする
というエピソードがあります。
「サイファ!」においては恋愛感情
「アストリッドとラファエル」においては友情
どちらも、指ぬきは愛の暗喩です。
あなたを大切に感じているというメッセージなんですよね。
こんなふうに考えていて
ピーターパンの原作者ジェームズ・バリーの凄さに、今更ながら気づきました。
裁縫をしていると、針で指をついてしまうことがあります。
指ぬきをあげるというのは
少しでもあなたが痛い思いをしないように守るものを渡すということ。
あなたはわたしにとって大切な存在なんですよ
というメッセージです。
自分が指ぬきになるのではなく
指ぬきを相手の指にはめるというのではなく
あくまでも渡すというところが絶妙です。
それを、使うのかどうか、使うのだとしたらいつどのように使うのかは
相手任せなんです。
(さらに言えば、指ぬきを受け取るかどうかもその人次第ですね。)
こんな愛を受け取ったとしたら
たとえ指ぬきを使わなくても
その指ぬきを持っているだけで、勇気が湧きますね。
文学作品の表現の奥行きを感じると
とても嬉しくなります。
余談ですが
原作では
このキスと指ぬきのやりとりはウエンディとピーターではなく
ウエンディの母親のメイミが子どもの頃
ピーターと会ったときの話です。