『本心』 | そのままでいいよね☆ゆるなら風舎

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くにのまほろば《奈良》大和郡山市で
『カウンセリングルーム風舎』を営んでいる女性カウンセラーの日記です。
カウンセリング・アートセラピー・心理学レッスンなどをしています。

『本心』  平野啓一郎

 

 

母と二人暮らしだった青年が

事故で亡くなった母のアバターを注文するというところから

物語は始まります。

 

VRのヘッドセットを装着し

母のアバターと交流するわけです。

 

この設定だけだと

生前の母の面影と暮らす孤独な青年

のような感じがしますよね。

 

ところが

アバターの母との交流から

彼は、現実世界での人との交流が広がったりもする。

 

複雑な事情を持った登場人物が、丁寧に描かれていて

誰一人、手前勝手に人を決めつけたりしないのが

この作品全体に流れている温かさなのかなと思いました。

 

アバターを制作したVRシステムの担当者の

一見冷たく感じられるような態度の中にも

やわらかさ、温かさが感じられました。

 

作品の中では端役なので

仕事上の彼女しか描かれていませんが

彼女の奥行きも知りたい気がするくらい

人が丁寧に描かれているんです。

 

ラストの主人公の決断に

心地いい読後感を覚えました。

 

 

 

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