クライエントから許可をいただいて
カウンセリングの一場面を紹介いたします。
生き辛さを抱えて、追い詰められた状態で
風舎の門を叩かれたAさんでしたが
数か月通われて
軽やかに生きられるようになったということで
カウンセリングを終了しました。
最後の日に
「また来てもいいですか?」
と聞かれたので
「心のエステのつもりで、気軽にいらしてくださいね。」
と答えたのです。
その後1年ほどして
「心のエステに来ました~」
と苦笑いしながらお越しになったAさんは
「こんなことを話したら、先生に嫌われるかもしれない。
先生は、わたしを嫌いになったりしませんか?」
と、質問されました。
「さあ、どうでしょうね」
と、わたしは微笑みました。
その日、Aさんが話されたのは
「こんなことを思った
こんな行動をした
こんなダメな自分が嫌だ」
というような内容でした。
時間が終わりに近づいて、Aさんは
最初の質問のことを謝罪されました。
「疑うようなことを聞いてしまってすみませんでした。
どうしても人が信じられなくて、不安で聞いてしまったんです。」
「これはわたしの感覚なので、もし間違っていたらすみません。」
と前置きして、わたしは本音を伝えてみました。
「わたしは、信頼されていると感じましたよ。
本当に信じられなくて不安なら
怖くて、とても聞くことはできないんじゃないかと思ったのです。」
「だから、先生は答えなかったんですか?」
という、Aさんに
わたしは
「さあ、どうでしょうね」
と微笑みました。
Aさんは大笑いしました。
そして
笑いすぎて出た涙を拭いながら
こうおっしゃいました。
「わたしの中には『人への信頼』があったんですね」
気づきの表情は美しい。
その表情に、わたしはいつも感動を覚えるのです。