自分が抱えている傷に触れると痛いもの。 | そのままでいいよね☆ゆるなら風舎

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くにのまほろば《奈良》大和郡山市で
『カウンセリングルーム風舎』を営んでいる女性カウンセラーの日記です。
カウンセリング・箱庭療法・心理学レッスン・セラピスト支援などをしています。

誰も悪くなくても

自分が抱えている傷に触れた時は、痛いものです。

 

 

晩年の母は高次脳機能障害でした。

 

半身麻痺で介護度が高く

施設で暮らしていましたが

自分の状況がよくわかっていないことが幸いでした。

 

昔の教え子が仕事場に遊びに来たとか

先日出かけた時に、親戚の誰それさんとばったり会ったとか

(実際にはあり得ないことなのですが)

にこにこと話してくれたりしました。

 

わたしは

「へえ~、そうなんだ。元気にしてた?」

などと話を合わせていました。

 

母の心が穏やかであれば

それがなによりだと思っていたのです。

 

脳障害で以前のような交流ができないことは

わたしにとっては悲しいことだけれど

その状況を自覚していないのは

母にとっては幸いなことだと思っていました。

 

 

そんなある日

「(あなたの)お母さんは幸せだと思う」と言った人がいました。

 

言いたいことはわかるのです。

わたしと同様のことを感じていたのだと思います。

 

脳障害ゆえに自分の現状をわかっていない母は

穏やかに過ごせていて、よかったねということなのでしょう。

 

ところが

わたしは、とても酷いことを言われた気がして傷つきました。

腹も立ちました。

 

なぜか?

 

それは

わたしの中に悲しさや辛さがあったからです。

 

母の話すことに合わせて、穏やかに過ごすことを

わたしは選択していたのだけれど

悲しさや辛さは心の中に常にあったわけで

 

「お母さんは幸せだと思う」という、その人の言葉が

わたしの痛み(悲しさや辛さ)に触れてしまったんですね。

 

もちろん、相手には悪意はありません。

相手にはわたしの(心の中の)傷なんて見えないのだから。

 

そして、わたしは

その人にわかってもらいたいとは思わなかったので

「そうですね」

と、短く返事をするに留めました。

 

 

相手に悪意はないことや

相手の意図は違うのだということが

頭で理解できていても、傷ついてしまうときってあります。

 

相手も悪くないし、自分も悪くない。

それでも、自分は傷ついてしまう。

そういうことってあります。

 

 

そんなときは、自分のケアをすることです。

相手を理解することで、理屈でなんとかすることは難しいですから

しっかりと自分の味方になって、ケアをする。

 

泣くでもいいし

歌うでもいいし

踊るでもいいし

食べるでもいいし

ケアの仕方は、自分に合った方法で。

 

人に話すのはいい方法ですけれど

話す相手は選ぶ必要があります。

 

「相手はそんなつもりじゃなかったんじゃない?」

などと、わかりきっていることを言ったりせず

「それは痛かったね」

と、痛みを認めてくれる人を選んでくださいね。

 

 

 

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