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ある人はある場所を好み、べつの人はべつの場所を好むのです
(「まちねずみジョニーのおはなし」 ビアトリクス・ポター)
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グランフロント大阪で
「ピーターラビット展」を開催しています。
高校から大学にかけて、大好きだったピーターラビット
細密な絵と
顔料水彩の微妙な風合いが
今でも、とても好きです。
たくさんの絵本が出ていますが
お話はシンプルです。
シンプルなお話の中に
作者の頑固さと柔らかさ、しなやかさを感じて
ビアトリクス・ポターとはどんな人だったんだろうと
思いを馳せてみたりしていました。
わたしの持っていない本の原画も
いくつか展示されていて
物語の文章が抜粋されていました。
その中のひとつに
ポターの、人に対する姿勢を見たのです。
『ある人はある場所を好み、べつの人はべつの場所を好むのです』
このお話では
まちねずみは
田舎がたいくつで、町へ帰ります。
いなかねずみは
町がめまぐるしく危険で、田舎へ帰ります。
どちらがいいとは言わない。
それぞれの「いい」がある。
彼女の作品は
ある意味、容赦がありません。
かえるは虫を食べるし
犬はあひるの卵を食べてしまうし
うさぎは畑を荒らし
農夫はうさぎを追う。
もし彼女がジャングルを描いたとしたら
ライオンはシマウマを食べるでしょう。
それぞれの正解があることを
ただ静かに見ている視点
それを象徴した言葉だと思いました。
そして
実は、この言葉には続きがあります。
『わたしは田舎が好きです』
「わたしは」ということを
ちゃんと大切にしているんですね。
「わたしは」を大切に思うことと
「あなたは」を大切に思うこと
ポターの視点は
わたしの今に繋がっている。
そんな気持ちになりました。
