花の古布 | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

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~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

先週も数点の古布を手に入れました。

 

まずは 作品の材料に使う縮緬の無地のセット。

茶系と緑系のはぎれが揃いました。

 

 

 

無地は意外と使う機会が多いのですが 近年の着物の色無地などは 作品に使うには 柔らかさや色合いなどの質感が細かいパーツ部分には使いにくく できれば大正時代から昭和の戦前くらいまでの布が私にとっては一番使いやすい布です。

江戸縮緬は 色合いや柄も良く 使いたいのは山々ですが 布自体が弱っていたり 状態の良いものは 価格も跳ね上がるので なかなか手が出せません。

 

作品のパーツが小さいものなら 柄物の布であっても うまく無地部分を利用できるのですが 同系色の無地セットは とても便利に使えます。

 

 

柄物も2点 落札。

こちらは 明るい青地の錦紗

 

 

 

地色の青は 今が盛りの朝顔の様なきれいな色ですが生地自体に傷みは無いものの 思っていたより くすみがあるのがちょっと残念・・・

 

 

布一杯に広がる柄は 花々の間に平安朝の道具が描かれています。

 

菊や藤の花の合間に 観世水や千鳥など水辺の様子が描かれた貝桶。

貝桶は 平安貴族たちの遊び 《貝合わせ》に使う蛤の貝殻を収納する一対の容器。

貝合わせは 蛤の内側に書いた絵や歌をふたつ合わせる遊び(現在のカルタ遊び)です。

 

 


撫子や菊の合間には 扇。

扇の上に描かれている朝顔みたいな葉っぱの赤い花は 何の花でしょうかね・・・

 

 

 

桔梗とアヤメの後ろに見えるのは 花車でしょうか。

 

花車

 

 

描かれている季節の花だけ見ても 作品のデザインとして使えそうな柄ですね。

 

 

 

 

 

こちらは とても威厳さえ感じる模様の縮緬で 華やかな菊や牡丹の合間に銅鏡が描かれています。

 

 

 

 

 

 

銅鏡は 古代中国に起源を持ち 日本や朝鮮などの東アジア 古代エジプトで 祭事や祭祀用具としても使われた青銅製の鏡で ガラス鏡が普及するまで広く使われました。

日本での神話には銅鏡が《三種の神器》の一つとして登場したり 神道の信仰の対象として 祀っている所もあり 近世では 大名などの嫁入り道具としても用いられました。

博物館などで見る銅鏡は緑色の緑青が付き 鏡として使えないことが多いですが 元々は銅を鋳型に入れて鋳造後 鈴メッキをし カタバミやザクロ 梅酢などのクエン酸で磨くことで 美しい鏡面が作られたそうです。

 

古布に描かれている銅鏡は鏡面ではなく 東アジアの趣を感じられる模様が描かれた裏側(裏鏡)です。

裏鏡の中央にはつまみがあり 飾り結びがされた紐が付けられています。

和の花に異国情緒が感じられる模様が描かれた銅鏡の縮緬。

どんな方がこの着物を着たのでしょうか。

 

 

 

 

 

以前 大磯駅前の澤田美喜記念館内に 隠れキリシタン遺物コレクションを見に行った時 光を当て壁に投影させるとキリスト像が映し出される貴重な魔鏡を見てきました。

解説にこの魔鏡の素材は記載されていませんでしたが 魔鏡も銅で作る物があるようですね。

 

 

 

古布に描かれた模様から 多くの事を教えてもらっています。

着物に描かれた模様(特に古い着物)を 一つ一つ丁寧に見て行くと面白いですよ~~