お軽と勘平 着物柄は木賊兎文 | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

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~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

ボチボチ作っている  お軽と勘平のタペストリー

只今 主役の二人のアップリケに手を付け始めました。

アップリケは 布が重なる下の部分から始めるので まずは お軽さんの上半身

 

 

 

ここまで来て ふと思いました。

作品は 古布を使って作るので 元絵と同じ柄の布はありません。

今までは似たような布を使って作ることがほとんどでしたが 今回 お軽さんが着ている着物柄は何だろう・・・?

 

 

調べてみるとこの柄は《木賊兎文(とくさうさぎもん)》

木賊は 湿地に自生するシダ植物で 江戸時代半ばに うさぎと組み合わせて着物や陶器の柄として流行したとされています。

一緒に描かれている黄色い花は 八重ヤマブキ。

泉や池などの水辺と組み合わせて 着物柄に用いられたとのこと。

 

 

 

木賊は日本庭園などの植栽に用いられることも多く ギャラリー&茶房 結さんの中庭に植えられています。

 

中庭

 

 

木賊の茎の表皮には プラントオパールという珪酸が蓄積して硬化するため ザラザラしていて 木材や金属 爪などを研ぐ 砥石やサンドペーパーのように使われたことから《トクサ(砥草)》と名付けられました。

実際に木賊は 和傘の骨や印鑑の印面を磨く道具としても使われているそうです。

明治時代の小話にも 草履の擦り減りがあまりにも早いのを嘆いた郵便夫が 擦り減らなそうな材料として 木賊で草履を作ったというくだりが出てきます。

 

また うさぎやグリスリー(北アメリカに生息する大型のハイイロクマで ヒグマの仲間)等の野生動物が木賊を食用にしているそうですが 実のところ うさぎは 木賊を食べるのではなく 歯磨きに使っているとも言われています。

・・・・というのも 兎は草を食べる時 前歯で咬み切り奥歯で磨り潰して食べるので 歯の擦り減りが激しく 一生歯がのび続けます。

特に前歯は 1年で1㎝以上伸びるので ものを食べる時によく噛んだり 歯ぎしりをして伸び過ぎによる不正咬合を予防します。

そのため 兎は木賊を食べるというより 歯磨きに使うと見られています。

別名の《ハミガキグサ(歯磨草)》は かつてトクサの茎を歯磨き粉の代用として使っていたことに由来するそうです。

 

 

そんなうさぎと木賊のかかわりは 昔から知られていたようで 文様や絵画のモチーフとして使われてきたのでしょうね。

歌川広重も《月夜木賊に兎》という作品を描いてます。

 

 

こちらは 丸山応挙の《木賊うさぎ図》

 

 

 

前置きがすっかり長くなってしまいましたが お軽が着ていた着物に丁度良い柄の手持ち古布が無かったので 最初は 色合いが似た布を使おうと思っていました。

でも 昔の浮世絵師は 遊び心や洒落心を作品に織り込むことが多く 芳藤さんもお軽には 兎に因んだ木賊柄の着物を着せていたんです。

これに気づいたからには 似てれば何でもよいではダメなんだよね・・・ショボーン

 

歌川国芳も登場する猫たちに着せる着物はこだわっているものが多く 口上猫に《猫に小判》のことわざから 小判柄の裃を着せています。

 

 

この時は 手持ちの布に元絵よりも一回り大きいですが 小判柄の古布があったので使いました。

 

 

 

でも 今回は 同じような布が無い!!

さあ~~~困ったガーン!!

無地の布に 柄をアップリケや刺繍をして着せようか・・・・

そうすると 着物が分厚くなって もたついた感じになってしまいそう・・・ショボーン

 

そこで思い浮かんだのが 去年作った国芳のタペストリー《甲子の鼠》でも使った奥の手!!

 

 

 

お供え餅を狙いに来たこの鼠の着物 お供え餅柄なんですが 当然のごとく こんな柄の古布は手持ちがありません。

 

 

 

そこで アクリル絵の具と顔彩で 布に柄を描いて仕上げました。

 

 

 

今回も 布に木賊と八重ヤマブキを描くしかなさそうですね。

とりあえず 昨日はお昼過ぎまでかかって カットした着物のパーツに下絵描き。

 

 

さすがに見本の絵と首っ引きで下絵を描いたら ジワジワ肩こりが始まったので 夕飯の買い物がてら カフェ暖さんに行き 珈琲タイムで一休み。

 

 

 

リンゴのタルトをいいただいてきましたが テイクアウトできる分が残っていたので とっても美味しかったタルトと オートミールのリンゴのケーキをお持ち帰り。

甘さ控えめなオートミールのケーキは 朝ごはんにも丁度良いと聞いたので 今朝のご飯に頂きました。

 

 

 

午後4時半 昨日 暖さんの前から見えた西の空。

 

 

 

電柱が超邪魔だけど 帰宅途中 信号待ちの橋の上で見えたビーナスベルトの富士山。

 

 

 

きれいな富士山に癒された後 次の信号待ちで迎えてくれたのは ねぐらに帰る前に待ち合わせ中のカラスたちガーン

多い時には 隙間が無いほど電線にカラスが停まります。

 

 

 

そして 夜の家事を済ませてから 夜なべ仕事です。

 

下絵を描いた着物と帯のパーツに色を付け 刺繍にしようかと思っていたコーナーのヤマブキも描きました。

アップリケが全部終わったら 輪郭にステッチをかけ 元絵に近づくように仕上げていきます。

 
さ~て 今日は 着物チクチ縫い付けて行こうと思います。
元絵にどこまで近づけるかな・・・